アイスタイルでは、これから変化のスピードがますます早くなる時代に向けて、イノベーション視点を常に持ち、事業を創り切り開いていくためのサポートプログラムとして、「美容業界DX推進 研修プログラム」を提供しています。そのなかから今回は「美容業界イノベーションワークショップ2Days」の詳細と花王様で実施した事例をご紹介します。
「美容業界イノベーションワークショップ2Daysプラン」は、美容業界のDX推進のために必要なトレンドの理解、部署をまたがった議論が可能な「ブリッジ⼈材」育成⽀援、イノベーション関連の「リスキリング」を目的としてアイスタイルが未来戦略コンサルティングを得意とするD4DR株式会社と共同開発したプログラムです。
このプログラムが目指すのは、イノベーションや新規事業に対する「推進力」の強化です。参加メンバー間でイノベーションと変化を見据えた新規事業への理解と向かい合い方のレベルが揃い、日々の業務の延長線上ではなく、長期視点で未来のビジネスを考え、アクションに落としていくまでの手法を身につけていただけます。
プログラムは主に3つのパートに分かれています。
プログラム全体を通して必要な未来視点と、現状からの積み上げで将来を考えるのではなく、10年後など長期視点で市場や消費者の変化と合わせて自社、自ブランドのありたい姿を描き、そこからいまやるべきことに落とし込んでいくバックキャスティングの手法を学びます。
美容業界において現時点でどのようなイノベーションがグローバルで起こっているのかを約25個のキーワードからひと通り理解し、その成り立ちや背景に興味を持つことで、次の情報収集の基礎をつくります。具体的には美容業界のイノベーションをテーマにしたメディア「BeautyTech.jp」が2017年11月から取材したのべ1,300記事(2024年3月現在)をもとに、最新のイノベーショントレンドの集中的なインプット講座を受講いただきます。
D4DRが開発した5年〜20年後のテクノロジーや社会変⾰、消費者の⽣活や⾏動変容を⾒通し未来戦略につなげる「未来コンセプトペディア」。同フレームワークでは「技術変化」「社会・産業でこれから起こること」「ライフスタイル・価値観の変化」「消費者インサイトの変化」のカテゴリーにおいて、その事象を体系的に解説し、まとめた約150枚の「未来コンセプトカード」を用意しています。このカードや、生活者のインサイトや社会課題を網羅的に整理した「生活者インサイトカード」「社会課題カード」を使用しながら、1)と2)でインプットした内容や自社や自ブランドのビジョンなどの立場から10年後の「あるべき姿」をまずは個人で描き、その後チームですりあわせつつプランを磨いていきます。
2023年10月には花王株式会社様にて同社のブランドマネジャーやマーケティングの担当者など約30名にご参加いただき「美容業界イノベーションワークショップ2Days」を実施しました。リーダー層の方々が、業務の延長線だけでなく、集中的に美容のイノベーションと社会の変革に目を向け、そこからバックキャスティングでビジネスを考えるきっかけになれば、というのが実施の背景でした。
参加者は5〜6名の6グループに分かれ、10月16日開催の1日目はディスカッションも交えつつパート1とパート2の集中的なインプットを講座形式で行い、このインプットをもとに、パート3のうち個人ごとの興味や関心を掘り下げるところまでのワークショップを行いました。
10月20日開催の2日目は個人でビジネスプランを創発、またそれをグループで共有してグループによるビジネスプランを創発し、さらにそれを会場全体で発表して評価しあったり、具体的なアクションプランを作成したりするところまでを行いました。
パート1では「未来視点とバックキャスティング思考について」というタイトルで、D4DR株式会社 代表取締役社長/コンサルタント FPRC主席研究員 藤元健太郎氏が、まずは美容業界だけでない、全般的な過去から現在までのテクノロジーの発展、また、この先の未来がどのようなものになっていくと一般的に言われているのかを解説。その中で、将来あるべき未来の様子から、逆算して現在おこなうべき活動やその優先順位を決める手法である「バックキャスティング思考」についてレクチャーを行いました。
パート2では「美容業界イノベーショントレンドの理解」と題し、株式会社アイスタイル BeautyTech.jp編集長 矢野貴久子が解説。「まずはグローバルの美容業界でどんなイノベーションが起こっているのか全体像とその背景をつかみ、ここから先の新しいトレンドへの親しみを持ってほしい」と、BeautyTech.jpの記事、あるいは編集部の調査からのグローバルトレンドを紹介しながらの講義です。
このセッションでは、キーワードからテーマを大きく6つに分け、「生成AIが美容業界にもたらすインパクト」「止まることのないパーソナライズの潮流」「オンラインショッピング体験、メタバースとWeb3」「ヘルスケア、ウエルネスとも融合するR&D」「誰から買うか、どこで買うか、リテールテック」「SXとソーシャルアクション」をそれぞれ紹介し、「あなたは、生成AIに対してどんな期待と不安をもっていますか?」など、テーマごとに参加者の知識の定着を図るディスカッションも交えました。
続いてパート3では、「『自分主語』で未来事象を考える」をテーマに、まずは参加者個人で興味や関心がある事象を掘り下げるワークショップを実施しました。
会場のテーブルに並べた、広く世界で起こり得る、全般的な未来事象を4つのカテゴリー「技術変化」「事象・起こること」「社会・産業で起こること」「ライフスタイル・価値観」に体系的に整理した約150種類の「未来コンセプトカード」の中から、参加者個人個人が、気になる事象のカードを思い思いに手に取りました。「このカードがなぜ気になったのか?」の理由を深掘りして考え、それをチーム内で発表し、ディスカッションを行いました。
参加者は、自分の思いや気づきをグループ内で発表することで、自分の考えが言語化・整理され、自分の興味・関心の傾向を確認でき、その背景にある経験や知見・今の状況、感情を内省しつつ、他の人の考え方との共通点や違いを発見できます。
10月20日開催の2日目は、1日目で発表した個人の思いや気づきの内容をもとに、まずは個人でビジネスアイデアを創発しました。顧客として想定する生活者の「基本属性」や「志向性」などを具体的に思い描くため「生活者インサイトカード」、また環境問題など今後大きな社会的課題となっていく要素を網羅的に整理した「社会課題カード」も使用しました。
そして個人のビジネスアイデアをチームに共有し、チームとして⼀つのビジネスアイデアを作成しました。
チームで作成したアイデアは客観的な⽴場で評価し、花王様がもつ強み等も踏まえて深掘りするため、それぞれのチームで作成したアイデアを、会場全体で発表し、4つの評価軸ごとにアイデアに1(低評価)〜5(⾼評価)の点数を付けて、参加者全員で評価を⾏ってもらいました。
さらに、チームで作成したアイデアは、バックキャスティングの視点で、具体的なアクションプランに落とし込みました。どのようなビジネスモデルとするか、顧客へどのように提供するか、そのために必要な技術や、提携企業等を具体的に検討。各グループでは短い時間で白熱した議論が交わされました。
2日間を終えた受講後のアンケートでは、受講後の満足度は5点満点中5点をつけた参加者が64%、4点をつけた参加者が32%で、4点以上が96%となりました。研修内容が今後の実務に役立ちそうかという問いには5点が54%、4点が36%で、4点以上が90%となりました。
アイスタイルでは美容業界DX推進 研修プログラムの「美容業界イノベーションワークショップ2Days」において、導出したビジネスアイデアをさらに整理し、その企業が目指すべき未来像をテーマとして設定。その実現に向けた変化要素とその企業が短期的・長期的にとるべき具体的なアクションを洗い出して、ロードマップの作成にも伴走することが可能です。
>>美容業界DX推進 研修プログラム「美容業界イノベーションワークショップ2Daysプラン」についてお問い合わせはこちら