@cosme編集長・篠田による定期連載。ユーザーの姿を通して気づいたこと、そしてちょっと先の未来のことなどについて独自の目線で語ります。Vol.19のテーマは「夏の美容に今、求められていること」について。
7月に突入。奄美地方で梅雨明けとのニュース。私が住む関東地方の梅雨明けが待ち遠しい。気づいたら7月に突入し、2021年も後半になってしまっている。コロナ禍になってから、時間感覚が鈍ってしまったような気がしてならない。
そんななか、@cosmeでは、7・8月の特集を公開しました。テーマは「求めているのは、解放感」。今回は、いま美容で求められている解放感について、お伝えしたいと思います。
@cosmeが伝えたい解放感のひとつは、美容で解放感を感じる、です。この特集を組むにあたって、@cosmeユーザーへ「夏の美容に求めるものは何?」というアンケートをとりました(回答者数203名)。その結果をあらわしたインフォグラフィックがこちら。
爽快感やひんやり、崩れない、ベタつかない、清涼感、サッパリなど、夏ならではの言葉が並んでいます。そこで、解放感が得られる美容情報を発信しよう、となりました。スッキリとするテクスチャーのアイテムや、爽快感を感じる香り、またひんやりするコスメはここ数年たくさんのアイテムが発売されいます。日本の暑い夏にまずはフィジカルで解放感を感じてもらいたい、というのがこの特集を組んだひとつめの理由です。
そして、ふたつめの理由はもっと内面的なこと。
例年であれば、長い休暇をとって旅に出たり、旅に出なくても自分の時間を思いっきり楽しんだり、人それぞれ楽しめたはずの夏。今年はまだ自由に行動するのは難しそうな気配です。そこで、美容が心を解放してくれるツールになるよ、ということをお伝えしたかった、というのがふたつめの理由です。
例えば、当然と思っていたスキンケアやメイクの工程を見直してみて、自分が勝手に作っていたルールからの解放だったり、これまで使ったことのなかった色をメイクに使ってみたり……。そうすることで、ユーザーにより自由に美容を楽しもうよ!というメッセージを伝えたい、という想いがあります。
そして、期せずして入ってきたのがPinterestの広告ポリシー改訂のニュース。Pinterestは、SNSのひろがりなどで、年齢や性別に関係なく多くの人が体型にまつわるイメージとメンタルヘルスに関わる問題で苦しんでいることに配慮して、2021年7月からあらゆるダイエット広告(画像・文言ともに)を禁じると発表しました。
また、夏を前にダイエット広告が増えることを考慮し、ユーザーにダイエット広告のプレッシャーを与えないようにするとも謳っています。そして「あらゆる人が自分の居場所だと思える環境を作るため」にサポートをするとも。
美容の情報は、外見に直結するからこそメンタルヘルスの視点がより重要と考える私は、このPinterestのニュースに大いに共感しました。多様性という言葉を目にすることが多くなりました。美容文脈でいうと、いろんなメイクをしていい、ジェンダーに関わらず美容を取り入れていい、と言われることが多いと感じていますが、本質的には、どんな個性も受け入れる、という精神に宿ると考えています。
この夏は、多くの人が何にもとらわれない自由な気持ちで美容を楽しんでくれたら、と願っています。
この連載に対するご意見・ご感想などぜひお聞かせください。より良い美容業界のためにみなさまと対話していけたらと思っております。
写真・文/篠田慶子
profile
篠田慶子(しのだ けいこ)
@cosme編集長。東京都生まれ。大学卒業後、ファッション誌でスタイリスト・編集者を経験。その後、フリーペーパーの編集者を経て、株式会社メディアジーンにてcafeglobe編集長、GLITTY編集長を経て、2017年10月に独立し、現職に至る。Pinterestのフォロワー数は26万人を超える。