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受賞アイテムから読み解く”今”のユーザーの気持ち|@cosme上半期新作ベストコスメレポート2021

作成者: @cosme for BUSINESS編集部|Jun 10, 2021 1:00:00 AM

アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する「リサーチチーム」があります。1600万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの知見をご紹介します。今回のテーマは「ビューティトレンド総まとめ!~2021年度上半期新作ベストコスメ版~」です!

はじめに

2021年上半期。昨年に引き続き新型コロナウイルスの影響を強く受ける化粧品業界。マスクで隠れてしまう口紅やチークなどメイクアップ商品は言うまでもなく、長期化による景気の不安定さからか、スキンケア化粧品も見直すという流れも生まれているといった声も耳にします。

こうした厳しい状況の中、株式会社アイスタイルはこの半年間(昨年11月1 日~本年 4月30日)に発売された新商品を対象とした中から今、生活者が支持している商品を表彰する「@cosmeベストコスメアワード2021 上半期新作べストコスメ(https://www.cosme.net/bestcosme)」を発表いたしました。

美容への関心が高い@cosmeメンバーの動向をみると、市場データからだけでは見えてこないポジティブな側面も垣間見ることができます。これから紹介するデータは決して一般女性の傾向とは言えないかもしれません。

しかし、いまこの苦しい状況の中でも積極的な消費行動を続ける彼らの動きには、コミュニケーションや製品開発のヒントが詰まっていると考えています。

スキンケア引き続き好調◎、メイクアップも回復の兆し↗

「ベストコスメアワード」の話に入る前に、2021年上半期@cosmeで起きた変化について触れておきます。

以下のグラフは、昨年の5月、10月に続き、今年5月に1万人の@cosmeメンバーに対し実施した最新の調査(以下、ユーザーアンケート)の結果です。

半数以上が「スキンケア化粧品への支出」が『増えた』と回答。2020年は、おうち時間が増えたことや、マスクの肌荒れケアなどによりスキンケアに力を入れる傾向がみられましたが、その流れは引き続いている様です。

続いて「メイクアップ化粧品への支出」をみてみると、@cosmeメンバーにおいてさえも4割が『減った』と回答しており、依然と厳しい状況であることが分かります。

しかし、時系列でみると『減った』と回答した人の率は減少しており、昨年と比較すると回復傾向がみられました。

人と会う機会やマスクを外す機会が少しずつ増えていることや、日々のスイッチや、自分のテンションをあげるためにメイクを再開したという声も聞かれています。

また、ユーザーアンケートでは約半数が「マスクを外した時の血色のなさが気になるようになった」と回答しており、マスクで隠れる部分のメイクの必要性を感じ始めている人も少なくないようです。

コロナで深まる絆。ビューティでみんなと繋がりたい!

もうひとつ、@cosmeからみえるポジティブな点として「クチコミ投稿数の増加」が挙げられます。昨年同期間と比較し、+23%のクチコミが投稿されています。コロナでテスターが使用できないなど制限された状況の中で、少しでも役に立てればという想いや、不特定多数の誰かとの繋がりを感じられる場となっているのかもしれません。

また、内容の変化としては、友人や母、パートナーにプレゼントを贈るといったようなクチコミが昨年12月頃から増加しているという点に注目をしています。環境の変化に困っているであろう中、自身がいいと思ったものを勧めたいという気持ちや、せめてもの気分転換にと周囲を慮る様子がクチコミから見て取れます。

SABON(サボン) バスソルト ハニー・ピーチ
“プレゼント用に購入。ガラスの容器で高級感があり見た目も可愛いです。寒い冬そしてコロナでの自粛期間の癒しにとても良いプレゼントかと思います。バスソルトの保温、甘い香りに癒されます。”

d プログラム アレルバリア ミスト
“マスク生活で頬が荒れる…とBAさんに相談したところこちらをオススメしていただきました。 コスパも良いので、コロナ禍で役立つプレゼントとしても喜ばれました。”

ネイルホリック ネイルホリック
“感染対策で なかなか外出出来ずにいるネイル好きの母にネイルで息抜き出来たら、と思いかわいい箱につめかえてプレゼントしました。”

これらの事実から、彼女たちにとってコロナ禍の制約された生活の中で、美容が「社会や人との繋がり」を担う存在となり得ているのではないか、そう感じています。

しかし、新商品の受け入れはシビアの訳

次に、毎年11月1 日~ 4月30日に発売される新商品の数を調べてみると、2020年度から2年連続で減少していることが分かりました。各社理由は様々だとは思いますが、コロナが何かしらの影響を与えている、と考えるのが自然ではないでしょうか。

また、全クチコミのうち新商品が占める比率を調べてみても、今年は過去5年と比較して低い数値であることも分かっています。発売される商品数が減っても、新商品への受け入れが高かった昨年と比較し、長期化するコロナが、生活者側のマインドにも変化をもたらしているのではないか、そう感じさせます。

生活者側の気持ちを考えるうえでベースとなるのが、いま生活者は「安心感」を求める心理が高まっているというものです。安心感と新しさを感じられるリニューアル製品が人気であることを昨年末にお伝えしています。

詳しくはこちらから https://www.istyle.co.jp/news/press/2020/12/1201-bc.html

さらに、ユーザーアンケートから、コロナによる購買行動の変化も生じていることが分かりました。

カテゴリーにより差はみられますが、特に肌にふれる面積が高いカテゴリーで「より考えて慎重に選ぶようになった」と回答する率が高い傾向がみられています。

「店頭にいる時間を少しでも短くしたい」「テスターで試せない」「衝動買い起きにくい」今の環境下では、新商品はもう少し様子をみてから、という気持ちが芽生えているのではないかと感じています。

以前から「限定」「先行」などへの注目は高いですが、いま購入しなくてはならない理由を作ってあげることがコロナ禍ではより重要となりそうです。限定は、期間限定、店舗限定、色番限定、限定デザインなどあらゆる意味の「限定」を意味します。(※なお、今年の上半期新作ベストコスメ 総合大賞に輝いた商品は「期間限定発売」後、「定番化」された商品です)

シビアな状況下で受け入れられた新商品 -「マスク」悩みに応える

こうした状況の中、選ばれた「@cosmeベストコスメアワード2021 上半期新作べストコスメ」。例年以上に、生活者のニーズが色濃く反映された商品と言っても過言ではないでしょう。

総合上位10商品からみえる共通点からその傾向を紐解いていきたいと思います。

<受賞商品一覧>

今年の総合上位10商品は、スキンケア・ベースメイク・メイクアップアイテムがバランスよくランクインしました。

特徴の一つめは、アイテムを超え「マスク悩み」を解決してくれる商品が多かった、という点です。

スキンケアでは「マスク荒れやニキビ」悩みに、ベースメイク・リップメイクではティントを中心とした「マスク崩れ・落ち」悩みを解消してくれるような商品が多くみられています。

昨年はスキンケアで言えば、化粧水や美容液などのベーシックケア、ベースメイクでは下地といった肌をきれいに見せるものが人気の傾向でしたが、今年はどちらかというとスペシャルケア・レスキューケアを新商品に求める傾向にあるようです。

「リップメイクする人、しない人」両者が抱える「マスク」悩みに応えた 総合大賞 キャンメイク

総合大賞を受賞した「キャンメイク プランプリップケアスクラブ」もマスク悩みに応えてくれる商品です。

「マスクをするようになってから、唇のかさつき 荒れ 皮むきが出るようになりました」といったクチコミが示すように、長期化するマスク生活は唇にも影響を与えています。

さらに、落ちにくい口紅を使うことで唇に負担をかけている例も少なくありません。また、プランパー効果でふっくらとハリのある唇に仕上がるため、口紅をしていない人がマスクを外した時に感じる「血色の悪さ」も解消してくれる商品なのです。

ユーザーアンケートの結果によると、マスクをしている際にリップメイクをする人・しない人は二分しています、両者のニーズに応えることができる商品であったことが受賞の一因と言えるでしょう。

しかし、ミスリードをしてはならないのが、決して「リップケア・リップクリーム」カテゴリーのニーズが高まっている訳ではないという点です。カテゴリー全体へのクチコミは、この半年間で昨年同期間と比較し1割以上減少しているのです。唇悩みを解消してくれる商品というだけでは、総合大賞にまで選ばれなかったかもしれません。プランパー×スクラブが重要なポイントであろうと考えています。その理由は次の章で詳しく説明させていただきます。

生活に変化を!家の中にエンタメを!

総合上位10商品に共通する2つ目の生活者のニーズ。

それは、楽しめる・世界観に没頭できる商品が多く選ばれているという点です。総合大賞の「キャンメイク プランプリップケアスクラブ」や「KANEBOカネボウ スクラビング マッド ウォッシュ」は【プランパー】や【スクラブ】という新しさや、【質感が変化する】楽しさがあります。同様に「エリクシール エリクシール ルフレ バランシング みずクリーム」は【白あん、こしあん】と表現される新感覚なテクスチャーが話題となっています。

今までにない剤型への好奇心は、テスターで気軽に試すことができない分、余計に高まっているのかもしれません。

また、「SUQQU(スック) シグニチャー カラー アイズ」や「ディオール ディオールスキン フォーエヴァー クッション パウダー」からは商品の色味やパッケージの世界観に没入する様がみられました。

共通して言えるのが、閉塞感のある日々に変化をもたらしたいという想いです。大それたものでなくてもいい、ちょっとした変化を家の中にも取り入れたい。そうした願いを叶えてくれる商品を長期化するコロナ禍に求めたのであろうと、推察しています。

ただ、変化をもたらしてくれるものなら何でも受け入れられるという訳ではありません。前半にご紹介した通り、いま生活者の商品選びは「慎重」です。さらに、日々の生活に変化をもたらせてくれる可能性があるものを取り入れるのは冒険でもあるのです。慎重になりすぎず冒険できること、そのバランスが非常に重要であると考えています。

冒険初心者でも手を出せることの大事さ

総合大賞の「キャンメイク プランプリップケアスクラブ」のクチコミは、控えめであることを伝えるものが散見します。

“荒れてるところにスクラブやプランパーの刺激を与えるのが怖くて今まで気になっていても使えませんでした。口コミを見てみたら他社のものよりどちらも控えめと書いてる方が多かったので「これならいけるかも!」と踏み切りました。結果、大正解!”

KANEBO / カネボウ スクラビング マッド ウォッシュも同様です。

“スクラブの洗顔は顔がヒリヒリしたり、合わなくなってピリピリしたりすることが多かったのですが、今回の洗顔は大丈夫でした!細かい粒子の、スクラブが溶けて、そのあと泡が立つびっくり感 笑”

ともすれば「物足りない」と感じられてしまう懸念もありますが、慎重な消費傾向にある生活者の気持ちにこれまで以上に寄り添ってあげることが、いまは必要とされているように感じます。

これが、3つ目のポイント。誰もが気軽に取り入れられるものであるという点です。

冒険のハードルを下げるという意味では、「手ごろな価格であること」、「近所で購入できること」、「使い切れるサイズ感」「信頼できるブランドであること」「リニューアル商品である」など様々な要素が挙げられるでしょう。受賞商品からはそうした共通点が見て取れます。

おわりに

今回ご紹介したようにマスク悩みを解消する商品が多く発売されましたが、まだまだ十分だとは言い切れないでしょう。

ユーザーアンケートでは、5割の人が「マスクにメイクがつくため/崩れてしまうため」にメイクアップの支出が減少したと回答しており、未だ解決しきれていない悩みなのです。

今後もこうした商品が多く生活者の手に届くことが期待されます。

一方で、不満を抱えながらも生活者は、アイメイクを頑張り、小顔に見える・血色の良くなるマスクを見つけ、「マスク生活」に慣れてきているのが現状です。この半年間でも10ポイントもの改善がみられています。

また、他者への印象を聴取したところ5割の人が「マスクをしていることで、見た目や印象が良くなる人が多いように思う」と回答しました。


そして外した時のギャップも感じられています。


この1年で、初対面がマスク姿という人も増えたのではないでしょうか。ユーザーアンケートでは全体の約6割が、特に新しい出会いの多いであろう、10代では8割以上もの人が「マスクをしている時の顔しか知らない人がいる」と回答しています。勝手によいイメージを作り上げられ、ギャップを持たれてしまう可能性は今後も増えていくことが予想されます。

そうした事象に気づき始めているのか、半数が「マスクを外した顔が見せるのが怖いと感じることがある」と答えています。


いずれ訪れるマスクを外す日に向けて、笑顔でいられるように。今後はマスクを外した時にいかにギャップを感じさせない顔をつくれるか、バランスや程良さ、マスクで隠れている部分のメイクテクニックやケア方法がこれまで以上に求められていくのではないか、そう感じています。

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