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2022年日本の美容業界を牽引するキーワード:「DX→BX」「企業経営に組み込むSDGs」「一歩踏み込んだパーソナライズ」

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パンデミックがもたらしたニューノーマルな生活習慣が固定し日常化した2021年が終わり、世界的に不透明な社会状況が続くなかでも、より開かれた“次の段階”を模索する2022年が幕を開けました。この1年の美容業界の動きを振り返るとともに、新しい年の行方を示唆するキーワードをもとに、2022年のトレンドを予測します。

日本ではデジタルシフト→DXBXの動きが加速

パンデミック対応に追われた2020年は、手探りでのオンライン接客→ライブコマース→ツール選定の試行錯誤が始まり、2021年には非接触を前提としつつ、「人(キャラクター)が売る」ヒューマンタッチを加味する動きが加速し、ライブコマースやSNSプラットフォームを介して販売するソーシャルセリングにも注目が集まりました。エスティ ローダーのように百貨店などの店頭で接客を担当するBA(ビューティアドバイザー)が、おすすめのアイテムを紹介するライブ動画を配信し、それまでに行っていたInstagramライブに比べ、1回あたりの売上が約500倍になった事例もあります。

また、2021年にはこうした部分的なデジタルシフトから、DXBXの入り口に立つまでに至りました。ここでいうBXとは、DX推進の本意であるビジネスそのものの改革=ビジネストランスフォーメンションを意味します。そして2022年は、このDX体制づくりの本格化が進むのは必至です。これに伴い、ビジネス設計はもとより、経営戦略に沿ったクリエイティブ戦略をいかに立てるかが重要になり、テクノロジーとビジネスの双方を理解し、具体策を現場に落とし込んでいける「ブリッジ人材」を育成・活用できるかが鍵となるでしょう。たとえばコーセーでは、独自開発したBC(ビューティコンサルタント)とユーザーをつなぐカウンセリングプラットフォームを始動させ、DECORTÉ(コスメデコルテ)」のサービスとして導入しました。

202201_btjtc1_2DECORTÉ Personal Beauty Concierge
画像提供:コーセー

一方、気候変動や環境保護、多様性や“誰も取り残さない”公平性における課題を受け、2021年には、「SDGs」は社会や企業が一体となって推進していくべきとの考え方が一般にも徐々に広まりはじめました。今後は、“やっているふり”ではなく、いかにして企業経営のなかにSDGsを組み込むのかが問われてくるでしょう。その際に大切なことは、そもそも“なぜ”SDGsをやるのかという、企業にとってのパーパス(目的)を今一度考えてみることではないでしょうか。義務感で施策を進めるばかりでは、組織内に浸透しにくく、実効に欠けることにもなりかねません。たとえば花王では、ESG戦略として「Kirei Lifestyle Plan」を掲げ、花王の従業員を含めた生活者一人ひとりが、Kirei Lifestyleを手に入れるためにSDGsを進めていくというメッセージを発信しています。

同じく、今やビューティ企業にとって必須の施策である「パーソナライズ」はますます深化が求められると考えられます。AI/ARによる分析にもとづく肌診断やメイクのバーチャルトライオンは、化粧品ECにおけるインフラになりつつあります。そんななか、カネボウ化粧品傘下のKATE2021年に発表したLINEアカウント内サービスの「KATE MAKEUP LAB.」は、ユーザーの自撮り顔画像からAIが顔の特徴点を計測し、独自のロジックで解析した顔タイプを分類表示するのみならず、各自の魅力を引き出すパーソナルメイクメソッドまでをも提案するものです。こうした、いわば“一歩踏み込んだ”レコメンドやアドバイスを提示するサービスは、2022年以降、続々と登場することが予想されます。 

202201_btjtc1_3KATE MAKEUP LAB.
画像提供:KATE

あわせて、パーソナライズのもう1つの側面である、消費者をマスとしてひとくくりにするのではなく、個人に向き合ったアプローチをする姿勢をかんがみると、一人ひとりのユーザーに寄り添うことをビジネスの軸とする新興D2CP2Cブランドがさらなる台頭をみせそうです。その背景には、大手OEM企業などが、単に商品の製造代理をするにとどまらず、化粧品を作りたい個人やD2Cブランドの要望やこだわりを聞き取り、商品企画、開発、製造、物流、そしてマーケティングまで伴走するトータル支援型サービスを開始。またワンストップで海外OEMや容器、包装パッケージ企業とマッチングするプラットフォームやRaaSストアなど、支援ソリューションが数多く登場していることがあげられます。2022年は「誰もがブランドを発信できる時代」の元年となるかもしれません。

2022年、グローバルでは「進化型オムニチャネル」と「メタバース」が拡大

一方、グローバルでは、各国の休業・外出規制が解除され始め、リアルなコミュニケーションへの渇望から実店舗の価値が見直されて、オンラインとオフラインの双方を活性化するオムニチャネル化を積極的に推進する動きが顕著です。一例では、ドラッグストアチェーン「ワトソンズ」「Superdrug」などを擁するビューティ&ウエルネス領域の大手リテーラーA.S. Watson Groupは、アジアとヨーロッパで展開する、グループ傘下の16,000以上の店舗と100を超えるデジタルプラットフォームをシームレスに統合し、オンとオフの在庫管理を一元化した進化版のOMO施策として、独自のO+OOnline plus Offline)リテール・エコシステムを構築しています。

こうしたエコシステムレベルのオムニチャネル・ストラテジーの意図は、消費者がいつでもどこでも、あらゆるチャネルで買い物をできるようにすることで、より豊かな顧客体験を創造しロイヤルリティを高めて囲い込むところにあります。日本においても、先述したDXBXの文脈において、こうした動きの加速が進むことが予測できます。

202110月、Facebookが社名をMetaに改めたことをきっかけに、「メタバース」への注目が一気に上昇、一番ホットなトレンドワードに躍り出ました。英「シャーロット・ティルブリー(Charlotte Tilbury)」は、2020年に本格的なバーチャルストア旗艦店を開設した仮想空間ショッピングの先駆者で、2021年にはユーザーが友人を招待して、ビデオチャットで実店舗さながらにリアルタイムの会話をしながらバーチャルストアでの買い物が楽しめる新機能を追加。さらには、2022年中にユーザーがアバターを作成してバーチャルストアを自由に歩き回れる機能を実装する予定で、オンラインショッピングをメタバースの次元に引き上げることを狙います。

202201_btjtc1_4友人とビデオチャットで会話しながら買い物ができる
シャーロット・ティルブリーのバーチャルストア
出典:Glossy

中国でもアリババグループが、いち早く「アリ・メタバース」「タオバオ・メタバース」などの言葉の商標登録申請をしており、既存のECプラットフォームにメタバース空間を設けようという意図が感じられます。中国では、生身の人間により近いルックスのバーチャルヒューマンが活動の幅を広げており、日本企業Awwが開発に協力したバーチャルアイドルAYAYIはアリババに“入社”し、Tmall上で開催された「メタバースアート展」のイメージ動画では、P&G、「キールズ」、中国化粧品ブランド「CHANDO(自然堂)」などとコラボしています。

202201_btjtc1_5AYAYIがP&Gやキールズとコラボした
「メタバースアート展」のイメージ動画より
出典:Weibo

このほか、バーチャルファッションショーでモデルを務めたReddiや、TikTokの本家中国版Douyinへの動画投稿で人気を博す柳夜熙(リュウイェシー)など、バーチャルヒューマンをマーケティングに活用する事例が少しずつ増えており、彼らがメタバース空間で活躍する時代はそう遠いものではなさそうです。

Text:そごうあやこ(BeautyTech.Jp編集部)

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