COLUMN

トレンドコラム

2023年の美容業界の行き先はいかに。注目のキーワード5つ

2023年の美容業界の行き先はいかに。注目のキーワード5つ サムネイル画像

2022年が終わり、2023年が幕を開けました。この1年の美容業界の動きを振り返るとともに、新しい年の行方を示唆するキーワードをもとに、2023年のトレンドを予測します。

「社会性」
サステナブルから社会性へ。問われ続ける存在意義

2022年は美容大手から新興ブランドまで、カーボンニュートラル、またはカーボンネガティブの実現を目標に掲げる企業が多く現れました。B Corp認証を取得する美容企業も増加、利益を追求するだけではない、社会性のある事業が次々と登場しました。

サステナビリティや透明性の重視は当たり前で、その先の「社会性」、つまり、社会にとって意義がある企業やブランドなのかが問われはじめています。アイスタイルとWWDJAPANが共催したJapan Beauty and Fashion Tech Awards 2022で、受賞企業のほとんどが「社会性」を高く評価されての受賞だったことも象徴的です。

20221223_1<@cosme for BUSINESS トレンドコラム>
ビューティとファッション領域の「人を幸せにするイノベーション」を表彰。
「Japan Beauty and Fashion Tech Awards 2022」

2022年に本格始動した、全国のシングルマザーら経済的困難を抱える世帯に、化粧品メーカーが持つ余剰在庫のコスメを詰め合わせ、支援団体などを通じてギフトとして無償提供する「コスメバンクプロジェクト」は、参画企業の数が初回実施時の17社から2022年クリスマス向けの「秋冬ギフト」では38社へと増え2023年もその輪を広げていく模様です。

image001-4<@cosme for BUSINESS トレンドコラム>
コスメバンクプロジェクト本格始動、
経済的困難下の女性世帯にコスメギフトを配布

「化粧品の新しい『売り方』」
アフターパンデミックのリアル回帰、顧客最優先の視点

コロナによる厳しい制限が徐々に緩和され、実店舗に客足が戻っています。対面接客や、実物を見て触って確認できるトライアルなど、リアルでの体験価値が見直されてきています。

一方で、Eコマース需要が逆戻りすることはないでしょう。消費者はその時々の自身の状況に応じて、一番好ましいショッピング方法を選び、オン/オフラインを巧みに使い分けるようになりました。

そこで企業側にとって必要となるのが、オンとオフのフォーマットをシームレスに融合させ、顧客のいる場所が店舗であっても自宅であっても、複数のチャネルにわたって簡単・快適にアクセスできる“体験”を提供していくことです。

20221104_1@cosme for BUSINESS トレンドコラム>
2人の経営者が語る、Beyondパーソナライゼーションを実現し、

Wao!がある顧客体験を創造するためには?

例えば、資生堂は、20229月、販売チャネルやブランドごとに提供していた会員サービスを、1つのIDに集約することで、顧客一人ひとりに合ったシームレスなカウンセリングや美容サービスなどの会員特典を提供する新たな会員サービス「Beauty Key」を開始しました。また、PRENO(プレノ)による化粧品DX自動販売機が複数企業で採用され、新たに販売チャネルとして浸透するなどの動きも見られます。

アイスタイルでも化粧品ブランド向けに、旗艦店 @cosme TOKYOを「ブランドとユーザーとの出会いの場」として活用いただき、複数の販売チャネルの活性化につなげていただく、サブスクリプション型の出店サービスを開始し、展開中です。

main-6@cosme for BUSINESS トレンドコラム>
アイスタイル吉松CEOが思い描く新しい化粧品小売のあり方

「co-store戦略」とそのサービス構想

「過剰在庫と機会損失の低減」
需要予測やサプライチェーンマネジメントへの取組みがより活発に

適切な在庫管理は、ビジネスでの機会損失を防ぎ、商品が欲しい消費者に確実に販売することで利益を確保することにつながります。オムニチャネル化が進み、買い方の自由度が増すなか、大量廃棄にもつながるアパレルや化粧品の過剰在庫問題と、それを解決するための予測システムやサプライチェーンマネジメントにどのように取り組んでいるのか、ブランドは社会的にもしっかり説明を果たすべきステージにきています。

20220701_1<@cosme for BUSINESS トレンドコラム>
資生堂やニューロープの化粧品需要予測AIが叶える、
過剰在庫や機会損失の低減

「メタバースは新段階へ」
現実世界に次ぐ第二の市場となるか

2022年はメタバース元年とも呼ばれ、美容業界においても、セフォラのデジタルビューティイベント「セフォリア」など、ラグジュアリーからマスブランドまで、多くの企業がメタバースに参入しました。

image001-2<@cosme for BUSINESS トレンドコラム>
NFTも配布、セフォラのデジタルビューティイベント「セフォリア」

現時点では、そのほとんどの施策がまだ初期段階にあり、2023年は引き続き、メタバースによって、どのように消費者とブランドのつながりを深くすることができるかの模索が各社で続きそうです。

しかし、今後数年間でメタバースが急激に進化し、ユーザーに単なる楽しみや興奮をもたらすだけではなく、メタバースが日常生活の一部となって、より大きな影響を与えるようになる可能性を示唆する専門家もいます。 

2022年12月、ロレアルは、メタバース向けゲーム・アバタープラットフォームの「レディ・プレーヤー・ミー(Ready Player Me)」と、ビューティパートナーシップを結び、「メイベリン ニューヨーク」と「ロレアル プロフェッショナル」が、レディ・プレイヤー・ミーのアバター制作のために、世界各国4,000以上のプラットフォームとアプリで使用できる、独自のメイクアップ・ルックとヘアスタイル・ルックをそれぞれ5パターン提供すると発表しました。

20230113_2出典:日本ロレアル プレスリリース

プレスリリースのなかで、ロレアルグループのチーフデジタル&マーケティングオフィサーであるアスミタ・デュバイ(Asmita Dubey)氏は、「私たちは、美の未来は、フィジカル、デジタル、バーチャル空間すべてに広がるものになると信じている。当社のブランドは、仮想空間、ゲーム内でのカスタマイズ体験、仮想世界での広告、仮想アンバサダーやインフルエンサーを使って、没入型の新しい仮想体験を創造している。Web3やメタバースにおける美の未来の礎を築くのは、とてもエキサイティングなこと」と語り、メタバース活用が本格化し、現実に次ぐ第2の市場としてエコシステムが確立する未来が、すぐそこまできていることを感じさせます。

「新定義『クリーニカルビューティ』」
クリーンビューティはもはや当然。科学的根拠を重視する流れに

ここ数年にわたり美容業界を席巻してきたクリーンビューティは、大手化粧品メーカーが買収や投資によりクリーンビューティブランドを傘下におさめる動きが加速し、一方でクリーンビューティ専門小売が統合するなど、グローバルでは急速な再編が進んでいます。こうした流れを受け、クリーンビューティの次の段階として注目されるのが、科学的根拠にもとづいた効果・効能を提示する製品やサービスである「プルーフベースドビューティ(proof-based beauty)」です。

有害が疑われる成分を使用しない安全性や、環境負荷が少ない天然原料を採用するなど、「クリーン」であることはもはや当然の前提となり、そのうえで各自の悩みや課題を解決に導く機能性を備えている製品を求める、消費者の声の高まりがその背景にあります。ここには、昨今注目が集まる、クリーンな成分や処方に加えて、製品パフォーマンスに臨床的(クリニカル)な論拠があることを示す「クリーニカルビューティ」をうたう製品群も含まれます。いずれにしても、ナチュラルやピュアであることを良しとして重点をおいてきたユーザーが、改めて“科学の力”に目を向け始めたともいえるでしょう。

Top image: metamorworks via Shutterstock

  1. 前の記事

トレンドコラム一覧へ戻る