2023年6月26日、株式会社アイスタイル チーフクリエイティブオフィサーである大木秀晃が登壇し「新施策『@cosme Week』にみるユーザーを動かすマーケティング戦略とは」と題したウェビナーを開催しました。このなかで大木は、新施策の概要を紹介するとともに、その背景にあるこれまでの@cosmeのマーケティング戦略がどのように変化し、そして、今後は何を目指していくのかについて語りました。
冒頭で大木は、2019〜2023年の4年間に、@cosmeのマーケティングが大きく変化したことを明らかにしました。そして、それまでの拡大路線の結果、施策や方針がバラバラになっていた「メディア」「EC」「店舗」を1つの核のもとに結ぶ「One@cosme」を構想し、「クリエイティブの統合」「ユーザー体験の統合」「マーケティングの統合」という3つの統合を推進したと説明します。
「2019年当時、@cosmeは拡大しきっていた。クチコミメディア、美容ポータル、ECサイト、実店舗など、創業時には予想をしていなかった領域にまで事業が広がったため、いわばビジネスの最前線であるそれぞれの部署がバラバラに、その場に適していると考えた広告や販促を行い、部分最適のマーケティングとクリエティブを展開していた。その結果、企業としての統一性に欠け、ある意味とり散らかった状態になってしまっていた。One@cosmeにはほど遠い状況だった」(大木)
前職は大手広告代理店で、主に企業の中長期ビジョンの策定やクリエイティブ経営、コンセプトワークなどの分野で活動してきた大木は、「マーケティングとクリエイティブは表裏一体」であるとして、「強いマーケティングは、強いクリエイティブの上にこそ発現する」ものだとします。いわば、「企業活動の屋台骨としてのクリエイティブ」という、この考え方をもとに、まず改革に着手したのが、クリエイティブの統合であり「クリエイティブ強度」を高めることでした。
“クリエイティブ”という言葉は、創造する行為や思考であったり、あるいはその結果としての制作物だったりと、いろいろな意味で使われますが、大木は「クリエイティブとは表面の話ではない。企業、ブランド、経営の本質を形(デザイン)にすることだ」と定義します。つまり「@cosmeとは何ものなのか?その目的(パーパス)は何か?を考え抜き、@cosmeの本質に立脚し、かつ、インナー(社員)にも、アウター(企業・ブランド)にもわかりやすく、極力シンプルに」表現することが必要だというのです。
こうして、アイスタイル創業20周年イヤーにデザインを一新して発表されたのが、新コンセプト「Dot & Space」と@cosmeの新ロゴでした。これは、モノ・コト・ヒトをつなぐ場という「@cosmeのなりわいの本質」を表していると大木は説明し、このDot & Spaceのデザインは、メディアやECのみならず、2020年当時に開業したばかりの東京・原宿の旗艦店「@cosme TOKYO」の内外装にも使用されていると明かします。
次に、ユーザー体験を統合するにあたっても、本質的にシンプルであることを心掛けたと大木はいいます。長年、増改築を積み重ねたため、わかりにくくなっていたアプリを、ユーザー(点=ドット)とブランド(点=ドット)がつながる体験を軸にした「マイコスメアプリ」として、2021年にアップデートしました。すなわち「情報メディアから、ユーザーと商品をつないでコスメと出会えるアプリへの変革」(大木)を行ったのです。美容情報などがトップにくるのではなく、商品基軸のインターフェイスに変更するとともに、購買前行動の見える化を図りました。
「マイコスメアプリでは、アプリの商品ページで気になったものや買ってみたいものをLIKEすることをユーザーに推奨している。LIKEした商品はマイコスメとして一覧できるので、ユーザーにはメモ代わりになる。@cosme側には、購入まで至っていないユーザーがどんなものに興味を持っているのか、購買前行動という貴重なインサイトの把握ができる」(大木)
気になる商品はあるが、まだ買ってはいないというユーザーの背を押すには、マーケティングの力が必要です。現状、@cosmeのユーザーはロングテール型で、ほぼ毎日アプリを開き何らかのアクションをするヘビーユーザーが一定の割合でいる一方で、たまにアプリを開く程度の数多くのライトユーザーが存在しています。こうした方々に「月に一度は@cosmeを利用してもらいたい」との思いから生まれたのが、マーケティングを統合する「マンスリー戦略」です。マンスリーを目標の基準とすることで、集客が弱い月の底上げと、強い月のさらなる強化をし、ユーザーの定着率やリピート率を上げていくことを目指します。
そこで発案されたのが、2023年4月からスタートした、ユーザーコミュニケーションとしての新施策「@cosme Week」です。毎月1日〜7日を@cosme Weekと定め、今月のトピックスなどの特集や、同期間限定の@cosme SHOPPINGにおけるポイントバックなどのキャンペーンを発信するのに加え、これまで毎月個別に最適化していた各施策も、月初の1週間に集中させて、ユーザーに「月初はお得なことがある」というイメージを持ってもらい、アプリの訪問頻度を上げることにつなげていきます。
これまでは「理想のユーザー行動」というものは設定してこなかった@cosmeですが、マンスリー戦略を基軸にした@cosme Weekを設けることで、自分たちの思いを伝える、ユーザーに向けた集中的なアプローチが可能になり、@cosmeとしてのCRM(顧客関係管理)の強化を図ることを大木は示します。
@cosme Weekは専用ポータルを設け、「出会って楽しい」「買って楽しい」をキーワードに、毎月の特集テーマと連動した記事配信やプレゼント施策、お得なキャンペーン情報を発信し、ユーザーの方々が定期的に@cosmeを訪れることを促します。さらには、6月の「@cosme SPECIAL WEEK」、12月の「@cosme BEAUTY DAY」と半年ごとの大型ショッピングイベントと連動させることで、年間マーケティングに大きなリズムとシナジーをもたらす計画です。
そして、@cosme Weekが目指すのは、コスメ選びで失敗したくない一方でワクワク感を求める気持ちを持つ「自分に似合うコスメに出会いたい生活者」と、市場に商品が溢れるなかで「ユーザーと接点を持ちたいブランド」をつなぐ機会の創出です。そのため、毎月1日〜7日の@cosme Week期間中は、@cosmeの内外からユーザーの流入を強化するとともに、@cosme Weekにあわせてユーザーにアプローチできる3つのキャンペーンメニューも用意しています。
>>現在、2023年10-12月実施分を受付中。詳しくはこちらから