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頭皮ケアカテゴリーのクチコミ数は10年前の5.8倍に。拡大するヘアケア市場の生活者ニーズを探る

作成者: @cosme for BUSINESS編集部|Feb 6, 2025 8:34:59 AM

2024年11月19日開催のウェビナー「拡大するヘアケア市場と背景にある消費者ニーズの変化とは?」では、株式会社ヴァリューズ マーケティングコンサルタント 水野夏菜氏と株式会社アイスタイル @cosmeリサーチプランナー 西原羽衣子が、拡大するヘアケア市場やその中でも10年前の5.8倍にクチコミ数が増えている頭皮ケアカテゴリーのトレンドや実態を紹介しました。

国内最大規模の250万人のインターネット行動ログデータを保有し、同データの分析事業を展開するヴァリューズ。今回のウェビナーでは、最近のヘアケア市場および頭皮ケア市場のトレンドや実態に関して、同社の分析からわかったことを、@cosmeの2,000万件を超えるクチコミの分析からわかったことと共に紹介しました。

10年前と比べてヘアケアカテゴリーの商品数は1.7倍、クチコミ数は2.7倍に

冒頭アイスタイル西原は、@cosmeにおいて「シャンプー」は「ファンデーション」と並んで2大検索ワードであること、加えて、1年間で発売されるヘアケアカテゴリーの商品数は10年前と比べて1.7倍に、1年間で投稿されるヘアケアカテゴリーのクチコミの数は2.7倍に増加していることを紹介しました。このうち頭皮ケアに関してはそれぞれ2.3倍、5.8倍に増えており特に拡大しているといいます。

2014年度と2024年度のヘアケアカテゴリーの商品数とクチコミ件数の比較

ヴァリューズ水野氏は同社が2024年10月18日~2024年10月22日に20〜59歳の女性1万1,367人に対して行ったアンケート調査結果から年代によって異なる髪の悩みを紹介。若い世代特有の悩みとしては、コテやヘアアイロンを使用することによる「髪の痛みやダメージ」「枝毛・切れ毛」そして「フケ・頭皮のかゆみ」があるといいます。「白髪」は30代から増え始め、40〜50代では悩みのトップに。「髪のボリュームが少ない」も気になる人が30代から増えてくると解説します。

年代別の髪の悩み(ヴァリューズが2024年10月18日~2024年10月22日に20-59歳の女性1万1,367人に対して行ったアンケート調査結果を集計)

ヘアケア意識が高い層は、美容やファッション全般に対する意識も高い

ヴァリューズの調査ではさらにヘアケアに対する意識の高さにより生活者をセグメントし、普段から「美しい髪を保つための方法についてよく情報収集をしている」「美しい髪を保つための毎日のケアに時間を掛けている」といったヘアケアに対する意識・行動がある人を「ヘアケア意識が高い層」と定義し、そうでない「一般層」と比較しました。


すると、ヘアケア意識が高い層は20代以下が4割を占めていることがわかりました。また、若いにもかかわらず、一般層と比べて年収が高く、使用するシャンプーやドライヤーの価格帯 も高く、シャンプー・コンディショナー以外にもスペシャルケアアイテムや、ヘアマッサージャー、ナイトキャップ等の利用率が高いことがわかりました。

さらにヘアケア意識が高い層は、ヘアケアに限らず美容やファッション全般に対する意識も高い様子が伺えました。日頃から情報に触れる機会が多く、SNSや雑誌など様々なメディアから情報を得ていました。「自由 に使えるお金が多く 自己投資という意味でヘアケアに着手 されている方が多いようだ。商品の質にこだわり価格帯がやや高いものでも手を伸ばしてくれるユーザー像が想像できる」と水野氏は分析します。

「ヘアケア意識が高い層」と「一般層」を比較 

ヘアケアカテゴリーでスキンケアブランドの影響力が強まる

それでは現在、具体的にどんなヘアケア商品が人気となっているのでしょうか。@cosmeのクチコミ件数上位10位のヘアケア商品を2024年度と10年前の2014年度で比較したところ、ポイントが3つあったと西原は紹介します。

1つめは@cosmeベストコスメアワード2023 総合大賞を受賞したオルビス「エッセンスインヘアミルク」や、コスメデコルテのトリートメント前のブースター「AQ ブースティング トリートメント ヘアセラム」など「スキンケアブランドが発売するヘアケア商品」が2024年度は上位10位に4商品も含まれていたことです。2014年度にはそうした商品は1つも見られませんでした。「ヘアケアカテゴリーにおいてはインディーズブランドのプレイヤーが最近増えているが、スキンケアブランドも影響力を持ち始めている」と西原はいいます。

2つめのポイントはサロン専売品が2024年度のトップ10には見られない代わりにuka「uka スカルプブラシ KENZAN」やReFa「ReFa LOCK OIL」といった、サロンによるホームケアアイテムや美容師のスタイリングテクニックにヒントを得た商品がランクインしていることです。西原は「購入場所が限られるサロン専売品は生活者の支持を得にくくなっていると思われる。一方でいま話題のReFaは、サロン以外にネットや百貨店、バラエティショップでも購入でき、アベイラビリティーが高い。またドライヤーで『行きつけの美容室で勧められた』という理由で人気に火がつき、その後ブラシやスタイリング剤、シャンプー等、高温多湿化した気候のなかで悩む人の多いうねりなどの髪悩みを捉えた消費財の展開もはじめ、話題化に成功している」と解説します。

3つめは一般販路品の価格の上昇です。トップ10入りのうちドラッグストア・バラエティショップで購入可能な商品は、2014年度はほとんどが1,000円以下だったのに対し、2024年度は1,500円前後と価格が上昇していました。

@cosmeのクチコミ件数上位10位のヘアケア商品の2014年度と2024年度の比較

重視され出した試用体験の機会。「シャントリ」など業界用語もクチコミに増加

さらに@cosmeのヘアケア・スタイリングのカテゴリーに投稿されたクチコミを2024年度と2014年度で比較し、増加したワードと減少したワードを調べたところ、減少したワードの1位は「CM」で、10年前の10分の1でした。

一方増加しているワードとしては「トライアルサイズ」(7.2倍)、「ロフト」(5.9倍)があり、購入場所が10年前と変わっていたり、試用体験の機会が重視されている様子が伺えます。

また「シャントリ」(17.3倍)や「インバス」(4.0倍)といった本来美容師やメーカーで使われていた業界用語が増加。「特化する」(5.5倍)、「着目する」(4.6倍)、「処方」(4.3倍)といった言葉を使用し、専門的な情報に言及するクチコミが増えており「プロの方々によるSNSでの発信も増え、生活者は自分の目的に合ったヘアケア方法を探すことができ、より詳しくなっているのだろう」と西原は分析します。

@cosmeのヘアケア・スタイリングのカテゴリーに投稿されたクチコミの中で増加したワードと減少したワード(2014年度と2024年度の比較) 

ほかにも髪色の自由化の流れを表してか「ブリーチ毛」(5.5倍)の悩みが増加。いっぽうブリーチしてスカスカになってしまった髪の質感の対義語としてか、「ちゅるん」(6.7倍)、「プルン」(4.2倍)といったワードも増加していました。

さらに気候の高温多湿化の影響はヘア系のクチコミにも現れており、例えば「ベタベタ」(7.2倍)というワードはベタベタを嫌がる人が増えているからだと西原は指摘。「前述のオルビス『エッセンスインヘアミルク』など、人気商品がオイルではなくミルクであるというところがそれを如実に表している。しっとりではなく、さらさらが気温上昇の影響を受けての今の日本人の好みではないか」といいます。

ヘアケア意識が高い層は、8割が頭皮ケアに関心を持っている

冒頭で商品数、クチコミ投稿数ともに特に増加しているとご紹介した頭皮ケアのカテゴリーについてもウェビナーでは深掘りしました。

前述のヴァリューズの調査でも「ヘアケア意識が高い層」のうち8割が頭皮ケアにも関心を持っており、3割は実際に頭皮ケアを実践。いっぽうヘアケア意識が高くない「一般層」でも頭皮ケアに対する関心は6割程度あり、全体的に頭皮ケアは注目されていることがわかりました。「頭皮ケアと聞いて想起する目的は?」という問いには頭皮のトラブルだけではなく、健康な髪づくりや美容のほか、睡眠・リラックス効果など回答に幅があり、様々なことが想起されていることがわかりました。水野氏は「頭皮ケアへのアプローチ手段が増え、求める目的も多様化してきているようだ」と指摘します。

頭皮ケア関心者が頭皮ケアと聞いて想起する目的

さらに頭皮ケアを行なっている人を目的別にセグメントし、「頭皮の乾燥の改善」や「フケ・かゆみの改善」など、頭皮の悩みを持つ層と、「顔のリフトアップ・たるみの改善」「顔の血色UP・くすみ予防」など美容効果を期待する層に区分し、20〜30代と40〜50代でさらに分け、計4セグメントで分析したところ、20~30代では頭皮の悩みを持つ層のほうが多く、40〜50代では美容効果を期待する層が多くなりました。「若年層は皮脂が出やすいことから頭皮トラブルがおきやすく、40代以降は顔のリフトアップなどアンチエイジングを意識したケアにシフトしていくと考えられる」と水野氏は解説します。

年齢による頭皮ケアの目的意識の変化

また、頭皮ケアを行なっている人が頭皮ケアに関心を持ったきっかけは、頭皮の悩みを持つ層の半数近くが、「自身で悩みを自覚したこと」なのに対し、美容効果を期待する層では比較的「美容師」や「メディアからの発信」がきっかけになっている割合が高いことがわかりました。

頭皮ケアを行なっている人が頭皮ケアに関心を持ったきっかけ

ほかに、頭皮の悩みを持つ層は頭皮ケアシャンプーでの対策が中心なのに対し、美容効果を期待する層はヘアブラシやヘアマッサージャー、自分の指や手を使ったセルフマッサージをおこなったり、美容院・サロンで施術を受けたりする割合が比較的多く、頭皮ケアへの平均投資金額は美容効果を期待する層の20〜30代が4つのセグメントのうち最も高いこともわかりました。

頭皮ケアの実践内容と投資金額

情報収集の方法については頭皮の悩みを持つ層は「ドラッグストア」「インターネット検索」などの割合が高く、美容効果を期待する層では「美容院」「インターネット検索」「YouTube」の割合が高く、このうち20〜30代はX、Instagram、YouTubeや、@cosmeなどクチコミサイトでの情報収集する人の割合が特徴的に高いことがわかりました。

頭皮ケアを行なっている人の情報収集方法

「頭皮ケアに美容効果を期待する層」が@cosme上で増加

@cosmeのクチコミ件数上位10位の頭皮ケアカテゴリーの商品を2024年度と10年前の2014年度で比較したところ、10年前にはランクインしていたツバキ油などオイル類が見られなくなったかわりに、プレディア「ファンゴ ヘッドクレンズ SPA+」をはじめとした頭皮ケアに特化した多様なアイテムが並ぶようになりました。

そして、@cosmeの頭皮ケアカテゴリーに投稿されたクチコミを2024年度と2014年度で比較し、増加したワードと減少したワードを調べたところ、「心地よい」(6.0倍)、「エイジングケア」(3.8倍)といったワードが増加。ヴァリューズの調査で浮かび上がった「頭皮ケアに美容効果を期待する層」が@cosme上でも増えていると西原は言います。

@cosmeのクチコミ件数上位10位の頭皮ケアカテゴリーの商品を2014年度と2024年度で比較

@cosmeの頭皮ケアカテゴリーに投稿されたクチコミの中で増加したワードと減少したワード(2014年度と2024年度の比較)

ヴァリューズ水野氏は「頭皮ケアを行なっている人の継続意向は8割となっており、頭皮ケアは今後も習慣化していく見通しだ。頭皮ケアに関心があるがまだ行なっていない人の今後の実施意向も6割を超えており、特に美容効果に関心がある人で実施意向が高い」と頭皮ケア市場は今後さらに拡大していくと予測します。そして「年代や頭皮ケアの目的意識によって悩みには差異があるので、例えば、若年層は皮脂やヘアカラー等によるトラブルに着目したケアを、ミドル以降は髪や頭皮のエイジングケアに着目したケアをそれぞれ促すなど、そのニーズに応じた頭皮ケアの文脈づくりが重要ではないか」と示唆します。

ウェビナーではほかにも最近クチコミが増加しているヘアケア成分や、ヴァリューズが保有する250万人のインターネット行動ログデータから分析した頭皮ケア関心者のWeb上での情報収集行動なども紹介しました。また参加者の皆様から寄せられたご質問に回答する質疑応答コーナーも実施しました。

美容関心層に試用体験を促す@cosmeの「体験型コンテンツ」と「同梱サンプリング」

@cosmeのクチコミの分析からも重視されていることがわかったヘアケア商品の試用体験機会。@cosmeの「体験型コンテンツ」と「@cosme SHOPPING 同梱サンプリング」は、美容感度の高い@cosme会員に対してサンプルを配布し、試用体験を提供することができます。自ブランド興味関心層や年代等会員属性、購入ブランドなどの情報から特定層へアプローチも可能です。

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