2024年6月6日、香港と台湾の@cosmeも「@cosmeベストコスメアワード2024上半期新作ベストコスメ」を発表しました。日本と同様に香港と台湾の生活者のクチコミが反映された、それぞれの受賞アイテムの傾向をレポートします。
香港の@cosmeベストコスメアワード2024上半期新作ベストコスメは、総合大賞と9つの部門別の新秀賞を選出。香港のトレンドを反映して「肌の修復」や「透明感」をもたらすアイテムが多く選出されました。総合大賞はファンデーション部門からメイベリン ニューヨークの「SPステイ ルミマット リキッド ファンデーション」でした。日本でも話題となった同商品はコスパ良く、軽やかなメイクアップがかなう「怪物新人」と香港でも発売当初から話題になっていました。
香港では以前から自然な仕上がりがメイクのトレンドであるなか、今年はとくに「透明感」が注目され、新作のベースメイクやメイクアップアイテムも、自然な軽さで肌の透明感を引き出すものが多く登場。化粧下地部門では皮脂くずれ防止下地でありながらヌーディーカラーで粉っぽさのない使用感のソフィーナ プリマヴィスタ「ファンデブースト<皮脂くずれ防止>」が、口紅部門ではシアーでみずみずしい仕上がりのイヴ・サンローラン「YSL ラブシャイン リップスティック」が新秀賞を受賞しました。
スキンケアでは感情と肌状態の関係性は切り離せないとして、肌ストレスの話題が多くあがり、ストレスを受けた肌のために、「抗ストレス修復」を主機能とするスキンケア製品が発売され、注目されました。美容液部門ではイヴ・サンローラン「ピュアショット ナイト リチャージセラム」、ブースター部門ではSOFINA iP「ベースケア セラム 土台美容液」、マスク部門ではP&GとASワトソンによる日本の皮膚科学研究者が開発したスキンケアブランドaio「密集修護面膜(日本未発売)」など、ストレスを受けた時の肌トラブルを未然に防ぐため、肌の修復力や強さを高めることを目的としたスキンケア製品が受賞しました。
そのほかの部門の新秀賞は、化粧水部門がfresh「升級版紅茶酵素抗氧精華水(日本未発売)」、フェイスクリーム部門がイニスフリー「コラーゲン グリーンティー セラミド バウンス クリーム」、日焼け止め部門が雪肌精「スキンケアUV エッセンス ジェル」でした。
また、香港の@cosme STOREの販売実績から選出する「香港 @cosme STORE ベストヒット賞」も1位から10位を発表。第1位はエテュセ 「アイエディション (ジェルライナー)」で、2023年12月発表の2023年度ベストヒット賞総合1位から連続受賞となりました。第2位は同じくエテュセの「アイエディション(マスカラベース)」、第3位はダーマレーザー「スーパー VC100 マスク」でした。
台湾の@cosmeベストコスメアワード2024上半期新作ベストコスメは、新作コスメ913アイテムの中から、総合大賞と22の部門別新秀賞を選出。「スキンケアプロセスの細分化」「保湿至上主義」「フォギーなマットメイク」といったトレンドキーワードが浮き彫りになりました。
総合大賞はランコムの化粧水「クラリフィック デュアル エッセンス ローション EX」でした。同商品は日本と同じく台湾でも2024年3月1日にリニューアル発売。旧バージョンより全体的に使用感がアップグレード、軽いテクスチャーやべたつかない保湿感、さらに強化されたスキンケア効果で人気を集め、スコアは7点満点の6.1点を獲得していました。
22の部門別新秀賞を前年同期と比較すると、部門はより多様化。台湾の生活者が自分のニーズに応じて好みに合った新製品を選択していることを受け、部門が細分化されました。例えば2023年上半期、洗顔関係の部門は「洗顔」の1つのみでしたが、2024年上半期は、「洗顔料」「その他の洗顔」「メイク落とし」の3部門に分かれ、SENKA「パーフェクトホイップ ホワイトクレイ」、台湾ブランドDR. CINKのクレンジングとメンテナンスの2in1「花蜜酵母賦活緊緻潔顏蜜(日本未発売)」、シュウ ウエムラ「ブラック クレンジング オイル」がそれぞれ新秀賞を受賞しました。台湾の生活者がクレンジング製品に対する要求を高め、高い洗浄力とメイク落としに注目していることが窺えます。
ほかにも重点スキンケア部門が新設され、ディオールの部分用美容液「カプチュール トータル ヒアルショット」が受賞したことからは、一般的なメンテナンスプロセスに追加して局所的な肌の問題のメンテナンスのためのステップを追加する「スキンケアプロセスの細分化」の傾向も見えてきます。
台湾コスメ市場のトレンド・生活者行動の分析や予測を行なうCMRI(Cosmetic Marketing Research Institution:コスメマーケティング総研)の統計によると、2024年上半期、フェイスケアとボディケアの部門では、肌質、年齢、性別に関係なく、消費者が最も注目するケア効果のトップは「保湿」でした。リニューアル発売した台湾ブランドDR.WUのヒアルロン酸配合のロングセラー美容液「ヒアルコンプレクス モイスト セラム」(美容液部門 新秀賞)、同シリーズのノンオイル処方保湿ジェル「ヒアルコンプレクス モイスト ジェル」(ジェル部門 新秀賞)や、乾燥性敏感肌に向けたブランドキュレルの「リップケア クリーム」(リップケア部門 新秀賞)、など、保湿力が高いものが選出されています。
また台湾のメイクアップのトレンドは「フォギー」で、ベースメイク関係は、ランコムのリキッドファンデーション「タンイドル ウルトラ ウェア リキッド N」(ファンデーション部門 新秀賞)、メイベリン ニューヨークの「インスタント コンシーラー R」(コンシーラー部門 新秀賞)、メイクアップフォーエバー「HDスキン セッティングパウダー」(パウダー・フィックスミスト部門 新秀賞)、が選出されました。リップグロスも質感のあるマットな仕上がりが追求され、ディオールの「ルージュ ディオール ベルベット」が、なめらかなベルベットの質感と、ほんのりフォギーな彩度の高い発色で発売早々人気となり、リップグロス部門 新秀賞を受賞しました。
一方、日本の@cosmeベストコスメアワード2024 上半期新作ベストコスメでは、ベストシェーディング部門の第1位にSHEGLAM「サンスカルプ リキッドシェーディング」が選ばれるなど、中国ブランドが初めてランクインしたことも新たな傾向ですが、総合10位の顔ぶれをみると、9商品が日本ブランドという結果も大きな話題となりました。@cosmeユーザーのクチコミには「円安なので国産品を積極的に買っていく」といった声もあり、今季の中価格帯コスメ(ミドルコスメ)の盛り上がりとともに、物価高や値上げ、円安の影響を受けてのことと見られます。
円安の影響は日本を訪れる外国人観光客の消費行動にも現れています。
東京・原宿にある@cosmeの旗艦店、@cosme TOKYOでは中国、台湾、アメリカをはじめとする世界各国から観光客を迎えていますが、2024年3〜4月の外国人観光客の来店比率は全体の1割ほどの一方、売り上げ比率は全体の3割ほどを占めました。日本人客の客単価が6,000円前後で購入個数は3個ほどであるのに対し、訪日客の客単価は2万円弱、購入個数は10個ほどと金額数量ともに3倍ほどの差が出ています。また2023年9月にオープンした大阪・梅田の関西旗艦店@cosme OSAKAにも同様に外国人観光客が来店し、ショッピングを楽しんでいます。プチプラからラグジュアリーまでを幅広く取り揃え、日本で人気の商品がランキングという形でわかりやすく並び、また手に取って試せる明るい店内は外国人観光客にも好評です。
@cosme TOKYO、@cosme OSAKAが通訳サービスを充実させるなどさらに外国人観光客にも快適に買い物を楽しんでもらえる売り場づくりを進める一方、中国の@cosme公式SNSでは、日本の@cosmeベスコス発表を同日配信するほか関連情報を紹介。香港と台湾の@cosmeではそれぞれのベスコスのキャンペーンページで日本の@cosmeベスコスの特集記事を公開したり、日本の@cosmeへ遷移するバナーを掲出するなどして、日本の@cosmeの情報を中華圏の生活者に伝えています。
中国の@cosme公式SNSのうち「RED(小紅書)」では、日本の@cosmeで話題の商品を紹介する投稿や@cosme TOKYOで撮影のショート動画などが話題を呼びつつあり、日本の@cosmeベストコスメアワード2024 上半期新作ベストコスメに関する投稿にいいねやお気に入りがそれぞれ400以上ついています。
他にも台湾在住のKOLやKOC、日本から中国圏に向けて発信している日本在住のKOLが@cosmeベスコス受賞商品を実際にお試しできる交流イベントや、香港・台湾現地の生活者に向けたポップアップイベントも定期開催しています。
日本在住のKOLの交流イベントは@cosme TOKYOで実施。 2023年12月の@cosmeベストコスメアワード2023発表時には発表翌日に総フォロワー数が400万人を超える日本在住の中国トップKOL40人を招待し、受賞商品の体験機会を創出しました。当日の体験を通してKOLが発信した投稿には総計100万再生を超える反響がありました。
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アイスタイルでは、こうして中華圏の生活者に日本のコスメに対する興味関心を醸成するとともに、@cosme TOKYO、関西の旗艦店である@cosme OSAKAを訪れた際には心ゆくまでショッピングを楽しんでいただき、帰国後も現地で@cosmeを通して日本のコスメを購入したり、また触れあっていただく、この好循環の輪をさらに広げていきたいと考えています。
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また、アイスタイルグループの韓国ビューティプラットフォーム「GLOWPICK」でも半期ごとにベストコスメを発表しており、2024年5月30日には「2024年上半期GLOWPICKアワード / 2024 1st half(1H) GLOWPICK AWARDS」を発表しました。GLOWPICKや同アワードについてはまた別の記事でご紹介します。