【今回お話をお伺いした方】
株式会社ハーベス
化粧品事業部 事業部長
森 一由様
化粧品事業部 メトラッセ ブランドマネージャー
大池桜子様
特殊潤滑剤、フッ素コーティング剤を販売する株式会社ハーベス様の新規参入事業としてスタートしたエイジングケア化粧品「メトラッセ」。2011年に立ち上がったものの、認知度に苦戦していたメトラッセに転機が訪れたのは、2018年11月。大手美容企業でブランドマーケティング経験をもつ森様が参画し、ブランドオフィシャルのデータを活用した戦略的なマーケティングで着実に成果をあげられています。ブランドオフィシャルをどのように活用されているのか、詳しくお聞きしました。
森様が参画された当時、メトラッセは自社サイトでのみ販売を行っていました。森様は、メトラッセを初めて知ったときに「スキンケアブランドなのになぜ化粧水がないのか」と不思議に思うと同時に、実際に使用してみると「商品クオリティが非常に高く、それぞれに開発ストーリーがあり、マーケティング次第で絶対に伸びる」という確信をもたれました。
「私と大池と制作スタッフの3名体制で運用していかなければならなかったので、効率よく売上に直結する取組みを実施したいと考え、美容感度の高いユーザーが集まる@cosmeに選択・集中してリソースと資金を投入する方針を決めました。当時の認知度が低かったことから、そのほかの媒体広告については、いっさい考えなかったですね。認知がないなかでの広告出稿は、太平洋に小石を投げ入れるようなものと感じたからです。ブランドの認知拡大と信頼性のあるクチコミの蓄積、主力商品であるジュエリーソープのスターアイテム化を目指して、2019年10月からブランドオフィシャルの利用を開始しました」(森様)
大池様がさっそく取り組んだのが、ブランドオフィシャルでのコンテンツ発信です。@cosmeブログは月20本以上、メルマガ配信は月6回以上を目標に、高頻度で更新を続けていらっしゃいます。
「たとえば、ジュエリーソープには、ヒアルロン酸を凌ぐ保水力がありエイジングケア成分として話題のプロテオグリカンを高濃度で配合するなど、メトラッセの商品一つひとつにこだわりのストーリーがあります。それらをわかりやすく伝えていくことと、メトラッセはD2Cブランドで、商品を店頭で試す機会がないので、お客様が使用シーンをイメージできるように写真を多めに掲載するなど工夫してコンテンツづくりをしています。記事のテーマは、@cosme編集部から共有されるタグを意識して検討するので、そこまで大変と感じてはいません。また、@cosme編集部の記事に毎月ピックアップしていただけるようになり、その記事経由での流入も増えてきました」(大池様)
記事の反応やランク別ユーザー数の推移、@cosme SHOPPINGの売上など、ブランドオフィシャルで可視化されたユーザーの数値データ(※ブランドへの興味・関心度合いを、アクションに基づいてS〜Eランクで表示)を見ながら、毎週戦略会議を実施されているそうです。
「ブランドオフィシャルを契約して約1年半で、ジュエリーソープは洗顔石鹸カテゴリーの最新クチコミランキングで3位以内(※集計期間:210310~210609))にランクインするスター商品に成長しました。Bランクユーザー(商品に接触・体験したユーザー)が14万人増、Aランク(@cosmeで購入したユーザー)ユーザー、Sランク(クチコミ・リピート購入したユーザー)数は2倍に増加し、ブランドオフィシャルを活用した取り組みに手応えと可能性を感じています。購入者の約4割は、@cosmeブログを読んで購入されているようです。@cosme SHOPPINGでの売上増にあわせて、自社サイトの売上も順調に増えてきており、よいシナジーが生まれています。1年かけて、ビジネスの下地がだいぶ整ってきたと感じています」(森様)
2019年3月からは、フェイスクリーム「エンドルリペアクリーム」を株式会社サティス製薬様と共同で開発し、モニター価格の550円で販売する取り組みを約1年間実施されました。
「購入してくださった方にアンケートを実施して、商品の改善点のフィードバックを集めました。中には、気に入ってリピート購入してくださるファンもいらっしゃいます。現在は、2022年春に本商品化を目指して準備を進めているところです。@cosmeユーザーさんからアンケートで多数いただいたご意見を反映しており、私たちとしては@cosmeユーザーと一緒に開発した商品だと思っています。発売したら大々的にプロモーションしていきたいと考えています。また、スターアイテムのジュエリーソープとセットで使っていただきたいオイルクレンジングを現在開発中です。ラインナップを埋めるための製品開発ではなく、愛用してくださるユーザーを第一に考えた商品展開で、一品一品を大切に育てながらブランドのプレゼンスを高めていきたいと考えています」(大池様)
Text:小野梨奈