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ほしいのは世界観のヴァリエーション|連載:@cosme編集長の「いつもなにかを考えている」Vol.8

作成者: keiko_shinoda|Apr 6, 2021 11:00:00 PM

@cosme編集長・篠田による定期連載。ユーザーの姿を通して気づいたこと、そしてちょっと先の未来のことなどについて独自の目線で語ります。Vol.8のテーマは「好きな世界観」について。

どんな世界観が好きですか?

日本時間の4月26日(月)にアメリカで第93回アカデミー賞が発表される。以前この連載で触れた、私がいま美しいと感じている女性のひとりクロエ・ジャオ監督の作品『ノマドランド』は複数の賞にノミネートされており、いまから楽しみにしている。

クロエ・ジャオ監督の作品は『ザ・ライダー』と『ノマドランド』の2作品しか見ていないが、その世界観がとても好きだ。アメリカの荒野をマジックアワーに撮影した映像はとても美しく、現実的で過酷なストーリーとの対比で胸をグッと掴まれた。これは、私が好きな世界観のお話。

Twitterで盛り上がっている「ムードボード」というジャンル

いまTwitterでムードボードというジャンルが徐々に人気になってきている。そのときの気分や好きな世界観の画像を組み合わせて表現する、というもの。コラージュ的な投稿だ。

例えば、ナチュラルなライフスタイルを送っているとしたらこんな感じ。

これは働く女性の朝のムードボード。

夏のヴァカンスを楽しむならをイメージしたムードボード。

こちらは、日曜日のリラックスしたイメージを表現している。

ムードボードを作成しているアカウントは自然発生的に増えている。ムードボードのアカウントをひとりフォローすれば、そのひとがフォローしている人たちは、同じムードボードのアカウントなので簡単に見つけられる。

あらゆる世界観を届ける

ムードボードの存在は、偶然Twitterを眺めていて見つけたもの。そのときの気分を画像で表現するのがおもしろいと感じたのと、テキストのSNSであるTwitterで表現していることにも興味をもった。

そして何より感じたのは、ムードボードを作っているアカウントはその「世界観」を感じたいと思っているということ。自分の好きな「世界観」をひたすら作成し投稿しているのがムードボードのアカウントだ。

これを美容の世界に置き換えると、可能性が広がるのではないかと考えている。例えば、ひとつのリップがあるとする。そのリップはひとつのプロダクトでしかないけれど、クールでマスキュリンな世界観で表現するのと、可憐でガーリーな世界観で表現するのとでは印象はだいぶ異なる。

プロダクトは同じだとしても、さまざまな世界観を提示することで、ファンになってくれる人が増えるはずだ。年齢・性別のカテゴライズが意味をなさないいま、特に世界観の重要性を感じる。そして、ユーザーには、人生には素敵なシーンが存在して、その世界観を選ぶ自由があることを感じてほしいとも思っている。

@cosmeは、コンセプトありきのメディアとは異なり、美容に興味のある方なら誰でもウエルカムのプラットフォームだ。なので、これからは@cosmeでもあらゆる世界観を発信していきたい。

誰かの「好き」に応えられるような幅広い世界観を見つけるのも、いまの私の楽しみのひとつになっている。

 

この連載に対するご意見・ご感想などぜひお聞かせください。より良い美容業界のためにみなさまと対話していけたらと思っております。

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写真・文/篠田慶子

 

 

profile

篠田慶子(しのだ けいこ)

@cosme編集長。東京都生まれ。大学卒業後、ファッション誌でスタイリスト・編集者を経験。その後、フリーペーパーの編集者を経て、株式会社メディアジーンにてcafeglobe編集長、GLITTY編集長を経て、2017年10月に独立し、現職に至る。Pinterestのフォロワー数は26万人を超える。