@cosmeでは、定期的にユーザーさんに向けた「編集部記事」を公開しており、新作情報やトレンド(ベスコス)、商品に対するユーザーさんの反応など、様々なテーマで「商品」を軸とした内容を展開しています。
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今回は、編集部の中で「新作」を切り口に記事を作成しているおふたりへ、今年秋のコスメトレンドとして、注目されている2つと、生活者のトレンドをお聞きした内容をお届けします!
井上さん(左):福岡県出身。テレビ局、出版社、化粧品メーカーを経験し、2018年1月株式会社アイスタイルに入社。
2017年に日本化粧品検定1級&コスメコンシェルジュ取得。現在は新作情報を中心とした記事を担当。
櫻木さん(右):愛知県出身。編集プロダクションにて美容やファッションの編集経験を経て、2022年8月株式会社アイスタイルへ入社。新製品発表会やイベントへの参加など、新作情報を中心とした分野を担当。
「秋のトレンドと言えば、まずは“キンモクセイ”ですね」(井上)
ひと昔前は芳香剤のイメージもあったキンモクセイですが、いまや美容・コスメ関心層にとって「秋といえば」を想起される香りとして、各ブランドから『キンモクセイの香り』を取り入れた商品の発売が続いています。
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▼ほか、参考ページ
・キンモクセイアイテム一覧
・@cosme SHOPPING特集ページ
「以前はヘアケア製品が多かったのですが、今ではボディスクラブやシートマスクなどでも、キンモクセイの香りを楽しむための商品が数多く登場しています。生活者からのニーズに併せて、ブランドも様々な商品の展開を行っているようです」(井上)
また、その発売時期についても変化もあるようです。
「実際、キンモクセイの花が咲くのは9月頭の1週間ほどなのにも関わらず、商品の訴求は8月からされ始めています。とある店舗に寄った際は、8月時点で「キンモクセイコスメ」が店内の一部にコーナーとして設けられていました」(井上)
このトレンドの背後には、コロナ禍でおうち時間が増えたことで「香り」に対する意識がより高まっている、というユーザーの心理が考えられるそう。
単にキンモクセイの香りが流行っているからというわけではなく、その興味軸の1つとして、春であれば桜、秋であればキンモクセイとなど、季節ごとに異なる香りがさらに注目されるようになったのかもしれません。
「今後もますます香りへの興味関心や需要は増えていくと思います」(井上)
2つ目のトレンドとしてあげてもらったのは、ユーザーに大人気の「クリスマスコフレ」。以前とは少し異なるトレンドが目立ってきたようです。
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「コフレは一年、そのブランドを好きだった人が、自分へのご褒美で買うイメージですね。ギフトというよりは自分向けに買い始めてるように思います。すべてのブランドの中でどれを買おうかではなく、『私の好きなこのブランドがコフレ出すなら買おう』といった感じでしょうか」(井上)
と、まずは購入目的の変化を挙げました。そう感じた背景には、コフレの情報露出や商品特徴が影響しているようです。
キンモクセイコスメと同様に、以前に比べてクリスマスコフレの情報解禁日や発売日が早まっていることが挙げられるそうです。
「最近のユーザーの傾向として、1つの商品に対して複数のメディアやクチコミを見て『本当に自分が欲しいもの』を吟味・確認する傾向があり、これによって必然的に検討時間が長くなります。早い時期からコフレの情報を出すことで、そのようなユーザーの傾向にも対応することが可能、また、早めに手にしたユーザーによる早期の話題化が目指せることもありえますね」(井上)
「早ければハロウィンの時期には一部のコフレが品切れになることもあるそうですよ」(櫻木)
以前は華やかなアドベントカレンダーやポーチなどの特典が付いたキットも目立っていましたが、現在はアイテム自体に特別感を感じるキットが増えてきたとのこと。
例えば、人気商品のミニサイズや限定色、香りなどが含まれ、購買者にとって「このキットでしか手に入らない、そのブランドの人気・定番商品」が含まれることで、より魅力的なコフレ・キットとなっているようです。
「コフレを購入する目的が「自分へのご褒美」として購入することが増えたこと、そしてそれは“自分の好きなブランドを狙って買う”傾向が強いからこそ、ブランドさんもファンに向けて何か特別に企画している感じがありますね」(井上)
@cosme SHOPPINGの2022年コフレ売上データによると、コフレ購入者の多くがそのブランドの既存のお客様という点からも、「自分の好きなブランドを狙って買う」傾向が見られると言ってよさそうです。
またブランド側の戦略としても、まずは自社の会員やメールマガジン登録者へ先行してご案内するなど、ブランドとファンの距離感を近づけるようなコミュニケーションをとることも増えているとのこと。
「購入商品の傾向として、安いものから売れていくかと思いきや、もうファンだから、意外と一番高いセット・キットから売れていく、といったお話はブランドさんから聞いたことがありますね」(櫻木)
商品や情報があふれるいま、何で、そしてどんな活動で他社と差別化を図るかが重要であり、そのためには早期にブランドや商品の情報を露出していくことが必要不可欠といえそうです。
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最後に、ユーザーの傾向についてもお聞きしました。
「以前の“見た目や価格などで判断する”から、現在は“なぜその商品が必要なのか”“どのように役立つのか”“本当に自分に似合うのか”といった目的を持ってモノ選びをするトレンドが増えています」(櫻木)
そのトレンドは、編集記事やコラムにおいても同様のようです。
「新商品の紹介記事よりも、何かしらのクチコミや評価・評判などの+α要素のある記事が見られる傾向にありますね」(井上)
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記事も商品情報だけでなく、読者に役立つ情報や体験を提供することが求められているようです。以下、編集部が捉える「ユーザーインサイト・違い」についてもご紹介します。
「『有名な人がおすすめしている』『このインフルエンサーが紹介しているから良い』ということは、もはや関係ないように感じます。それより、実際に商品を使ったユーザーのクチコミがあること、つまりその商品が評価されていることが重視視され『実際に商品を試し、褒める人がいるなら、その商品を試してみよう』という考え方がありますね」(井上)
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以前のトレンドや有名人の意見に左右されず、個人の好みやニーズに合った商品や情報を選ぶ傾向が強まり、ユーザーは自分自身の価値観やライフスタイルに合った選択を重視し、自分の基準で物事を判断しているということでしょうか。
「@cosme編集部が行ったユーザーアンケートでも、「中の人の意見・おすすめが知りたい」という要望が多いです」(櫻木)
これもある種「実際に商品を使った人のクチコミ」として捉えられているかもしれませんね。このニーズに答えるため「@cosme編集部員・店舗スタッフがおすすめする」といった切り口の記事を出したところ、やはりユーザーからの人気が高いようです。
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「急にバズった商品の中には、発生源がわからず説明がつかないものもちょこちょこ見られます。これはおそらく、美容師さんに勧められたとか、店頭で教えてもらったとか、クラスの友達にとか。インフルエンサーの何々ちゃんがとかではなく、そういう“ほんとのクチコミ”の影響かなと思います」(井上)
『私基準』だからこそ、評判、とくに身近な人の評判はより参考にする、そしてそれが人伝いで拡散され、バズを引き起こしていることもありそうですね。
「@cosmeユーザーは“そのブランドが好き”な人が多く、そのブランドが出す新しい商品に興味を持ちます。だからこそ、ベスコスを受賞しているブランドに対する信頼が高く、新商品や変わった機能性のある商品でも、興味度や反応は高いと感じます。一方、X(旧Twitter)ユーザーは、商品の特徴や背後にあるストーリーに注目しているため、ブランドの有名・無名は関係なさそうです。その情報(特徴や背後にあるストーリー)が面白いか、話題性があるかが重要で、それらがX(旧Twitter)ユーザーの関心を引く鍵となりそうですね」(櫻木)
製品やブランドのマーケティング戦略を考える際には、対象となるプラットフォームとそのユーザー層の特性に合わせてアプローチを調整することが重要と言えるでしょう。
編集部のおふたりから、2023年秋を含め昨今の気になる傾向として3つ教えてもらいました。
\気になる傾向①/
この秋、スキンケアを中心にリニューアル/リブランディングが多い
井上「コロナ禍で、改めて研究し開発した結果が、今出てきているのかも」
櫻木「マスク緩和の影響も大きそう。素肌を綺麗に見せる今こそ、スキンケアを重要視しているユーザーも多く、そこに向けたアプローチとして絶好なタイミングな気がしますね」
井上「確かに。以前よりも、ユーザーニーズを反映した商品開発・発売しているイメージは強いかもしれないです」
\気になる傾向②/
受注生産する企業が増えている!?
井上「最近は、いつどこでなにが“バズる”かが、以前よりも予測しづらくなったと思います。急にバズって売り切れ続出、生産が追いついた頃にはブームが去った、ということもありえそうです」
櫻木「その対応策としても受注生産は効率的ですね。ファンで、本当に欲しい人は待ってくれるでしょうし、実際に受注生産でうまくいっているブランドさんもいらっしゃいます」
\気になる傾向③/
各社ともに、似たような色味になっている
櫻木「コロナ禍を経てなのか、ユーザーは一層“仕上がり”を求めてますね。綺麗に見せたいけど、塗っている感は出したくない。ひっそりと魅せるような感じ」
井上「“粘膜リップ”もその傾向からですね。カラーが強い物などは、各社の新商品を見ても減少した気がします」
櫻木「各ブランドの新商品を並べてみると、どれも似たような色味の傾向がある気がします。なんとなくブランドの世界観を前面に出す、というより、生活者のニーズやトレンドにより沿っているような感じですかね」
井上「その一方、“多様性”が尊重される今だからこそ、カラー好きな方ももちろんいるし、どっちでも良い、どっちも間違ってない。ある意味トレンドがつくりにくい、分かりづらい時代になっているかもしれないですね」
@cosmeユーザーに向け日々新しい情報を発信している@cosme編集部。今回はそんなふたりから見たユーザーに支持されるコスメトレンドについて話を伺いましたが、いかがでしたか?
季節の移り変わりと共に変化するそのコスメトレンドは、まさに『ユーザーの知りたいこと』と『ブランドが伝えたいこと』がマッチしているかどうかではないでしょうか。これから訪れる冬に向けて、ぜひ参考にしてください。
次回の「@cosme編集部へ聞いてみた」シリーズは<2023冬>を予定しております。ぜひ編集部記事とあわせてぜひご覧ください!
Text:原久美子(@cosme for BUSINESS編集部)