アイスタイルグループのGlowdayz, Inc.が運営する韓国最大級の美容レビューサイト「GLOWPICK(グロウピック)」。2024年で10年目を迎えた同サイトが発表した「2024 GLOWPICK AWARDS」では、韓国の生活者のレビューおよび投票で選ばれた人気商品を紹介しています。GLOWPICK編集長による2024年の振り返り、2025年のトレンド予測とともにご紹介します。
「2024 GLOWPICK AWARDS」は2024年11月28日に発表。2023年11月16日から2024年11月15日に集計された1万269件のブランド情報と14万8,791件の商品データベース、2万3,320名のユーザーによる33万1,605件のレビューをもとに、「TREND by GLOWPICK」 「クリーンビューティ」、新商品を選出する「ルーキー」など22部門で合計811アイテムを選出しました。このうちTREND by GLOWPICK部門では2024年のトレンドを10の具体的なキーワードで細分化し、それぞれを代表するアイテムを選出しました。
TREND by GLOWPICK部門の10のキーワードと受賞した商品は以下の通りです。
スピキュール:VTコスメティクス
「リードルショット100」
PDRN:アヌア(ANUA)
「ヒアルロン酸カプセル100セラム」
ペプチド:コスアールエックス(COSRX)
「ザ・6ペプチドスキンブースターセラム」
パッククレンザー:ハンユル(HANYUL)
「新芽のヨモギクレンジングパックフォーム」
トーンチェンジャー:VDL
「トーン ステイン カラー コレクティング プライマー」
ブラー(ぼかし)ポット:ハートパーセント(Heart Percent)
「ドットオンムード・カスタムリップアンドチーク」
オーナメントビューティ:コーラルヘイズ(Coralhaze)
「グロウロックゼリーティント」
フィックスヘアマスカラ:ナルカ(narka)
「コアリビルド ハイプフィット ヘアマスカラ」
塗るコラーゲン:CKD
「レチノコラーゲン 低分子300 毛穴 弾力 マスク」
食べるレチノール:バイタルビューティー(VITALBEAUTIE)
「スーパーレチノールC」
TREND by GLOWPICK部門の選出についてグロウピックでは、ブラーポット(リップにもチークにも使えるポット型のアイテム)がクチコミやSNSを中心に人気を集めたと解説しています。加えて、MZ(ミレニアルとZ)世代を中心に、流行よりも自身の美を追求する“追求美”がトレンドとなり、肌トーンを調整できるトーンチェンジャー製品が数多く登場したといいます。あわせて、ファッションブランドがビューティブランドを立ち上げる傾向が強いことにも注目。化粧品をひとつのオーナメント(装飾品)としてバッグや衣服にぶら下げられるアイテムの増加にも言及しています。
また、スキンケアカテゴリーでは若さを無理に追求するのではなく自分の年齢に合ったケアを行うスローエイジングのトレンドが継続したとし、消費者のニーズに合わせたスピキュール(海綿から精製された自然由来の微細針:マイクロニードル)、細胞を修復する力があるPDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)や、ペプチドなどの成分を前面に押し出した商品が注目されたとしています。そのほか、サプリメントなどのインナービューティー関連商品もトレンドになったと総評しています。
Glowdayz, Inc.クリエイティブチーム編集長 イ・ウンギョンは2024年12月12日開催の「日韓美容トレンド予測 2025」(トレンダーズ株式会社運営の美容特化型イノベーションファーム「ampule」と共同開催)で、2024年の韓国美容トレンドを振り返り、スキンケア、メイクアップ、消費者心理について解説するとともに2025年のトレンドについても言及しました。
まず2024年のスキンケアカテゴリーを代表する成分として、レチノールとPDRNの2つを挙げました。
1つ目のレチノールについては、2024年は安全性を強化した低刺激レチノールを肌の鎮静と再生を助ける成分と合わせて配合した商品が増え、「レチノールの大衆化」が起きたといいます。またレチノールのアップグレード成分であるレチナールも登場し、今後レチノールの市場規模はさらに拡大するだろうと予想します。
2つ目のPDRNは、「PDRN +ヒアルロン酸」の組み合わせによる相乗効果がSNSで拡散されたことにより話題となり、 PDRNにシナジー効果のある成分を+αしたスキンケア製品が多数発売されたといいます。
メイクアップカテゴリーでは、パーソナルカラーを強調できる、ピンク、ブルー、パープルのハイライターや、ブラーポットが大量発売されたことを紹介。「ハイライターの流行は、『カラスコスメオタク(ラメやパール製品を集めるコスメオタクを表す流行語で、ガラスや鏡の欠片など、キラキラするものを巣に集めるカラスの習性に由来する)』文化拡大の影響もあるだろう」とイ編集長はいいます。
また、メイクアップ、スキンケアともに、コレクションを目的とした生活者の需要拡大を受け、ミニサイズの商品が増えてきているといいます。このミニサイズの商品は、韓国ブランド特有の新商品ローンチのマーケティング戦略にも関係しており「たとえば商品発売前に非売品のミニサイズのプレゼント施策を実施することで、SNS上で話題感を醸成するとともにクチコミも収集できる。そして、次のシーズンに『正式発売要請殺到につき、発売しました! 』といった形で、発売前から収集していたクチコミを活用してマーケティングができる」とイ編集長はいいます。
2024年の消費者心理を示すキーワードとしては「追求美」「血糖値ケア」「専門家製品」の3つが紹介されました。
「追求美」は自分が目指す美の基準を意味し、肌タイプ、パーソナルカラーなど既存の定義に縛られず、自らが追求する美しさを志向する風潮を表しています。これを反映し、カラー、トーン、テクスチャを自分好みに作り出せるカスタマイズ商品も多数発売されたといいます。
普段の血糖値は正常なのにもかかわらず、食後に限って血糖値が急上昇、急降下する「血糖値スパイク」に問題意識を持つ人が増え、血糖値ケアに関する消費心理も増加しました。2つ目のキーワード「血糖値ケア」はこうした状況を表しています。特にアップルサイダービネガーがセレブたちの健康の秘訣として話題になり、それに関連した商品が多く発売されました。
また、専門家が使用している商品や、専門家のスキルを落とし込んだ商品へのニーズが拡大。 美容皮膚科やエステで人気のモデリングパックや、メイクアップアーティストや皮膚科医のおすすめ商品、共同開発商品といった「専門家製品」が人気となっています。
続いてイ編集長は2025年の韓国トレンドを予想し「スマートステップ美容」「セルフカスタムコスメ」「新感覚テクスチャ」「進化系マルチケア成分」の4つのキーワードを挙げました。
スキンケア・UVケア・ベースの概念を区別せず、各段階を縮小&包括する商品が注目を浴びているとイ編集長。スキンケアとサンケアを兼ねる商品が登場したり、デイクリームが復活するなど、UVケア領域がより拡大し、メイクアップ商品やボディー&ヘアケア商品にも積極的に反映されるようになるだろうといいます。
生活者の好みが細分化するなかで、生活者自らがカラー、トーン、テクスチャーをカスタマイズできる商品が成長すると見込まれます。また例えば単色アイシャドウを組み合わせて好みのパレットを作れるといった、組み立てが自由な設計の商品が、幅広いカテゴリーに拡張されると予想されます。
ゼリーやホイップクリームのようなテクスチャーや、チャームアクセサリーとしても楽しめるリップティントなど、商品を使用する過程で、視覚、触覚、嗅覚、聴覚など立体的な面白さと楽しみへの志向が、SNSでの話題性が高いこともあり強まっています。そうした需要に応える多彩な商品がビューティーカテゴリー全般で登場すると予想されます。
アンチエイジングの概念が顔だけでなくボディ全体に広がり、ボディやインナービューティとしても効果のある成分に注目が集まっています。なかでも「ペプチド」は効果効能・安全性が担保されかつ拡張可能性も高い成分として今後も人気が続くでしょう。顔やボディのケアではレチノールとシカといったシナジー成分と組み合わせ、差別化した商品も増えそうです。
GlowdayzはGLOWPICKを運営するだけでなく、アイスタイルと連携しながら、韓国に進出する日本ブランドおよび日本に進出する韓国ブランドの支援も行っています。
>>GLOWPICK と@cosmeの日韓共創施策
日本最大級の美容クチコミサイトである@cosmeとGLOWPICKの連携は、日本と韓国双方の美容市場やブランドにとって有効なバリューチェーンとして機能し、韓日におけるマーケティングに好循環を生み出しています。