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【SHISEIDO】アイスタイルの新サービス「データコンサルティングサービス」を活用し組織のPDCAサイクルや意思決定のスピードが向上

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アイスタイルグループの新会社、アイスタイルデータコンサルティング株式会社(以下ISDC)の「データコンサルティングサービス」は、柔軟にコンサルティング内容をカスタマイズしながら、クライアントであるブランドの課題整理から打ち手の提案、実行までを伴走します。今回「SHISEIDO」で実施した同サービスのPoCについて、資生堂ジャパン株式会社  SHISEIDOブランドマーケティング部 バイスプレジデント松村美穂様とアイスタイルデータコンサルティング株式会社 取締役 山内健太郎に聞きました。

【今回お話をお伺いした方】

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資生堂ジャパン株式会社
SHISEIDOブランドマーケティング部 バイスプレジデント
松村美穂様

20250501_3アイスタイルデータコンサルティング株式会社 取締役
山内 健太郎

ローンチ2年目での失速やROI低下に課題があったSHISEIDO

――SHISEIDOにはどのような課題感があったのでしょうか

松村:せっかく新製品を出しても、競合ブランドからも次々と新しい商品が出て、なかなか2年目以降まで話題化を持続できないということがありました。その結果、持続的に顧客獲得するためのマーケティングコストに対し、ROI(投資利益率)がどんどん低下していくということがあり、大きく課題を感じていました。そこで今回アイスタイルとこの課題に向き合い、何かしらの糸口が掴めないかとPoCを実施することになりました。

――今回のデータコンサルティングサービスのPoCでは3カ月間、資生堂とアイスタイルとで週次ミーティングを実施しました。具体的にはどのような内容だったのでしょうか

山内:そもそもなぜローンチ2年目に失速するのか(現状課題把握)、継続的な顧客獲得を目指せるマーケティングモデルとは(ソリューション方向性)、今後どのような投資優先度で実行すべきか(意思決定の前進)という三段階で議論を進めました。

具体的には、@cosmeのデータを用いて、まずは現状を分析し、そして競合ブランドの状況を分析し、その上で、どんなマーケティングモデルが良いのか、それを“資生堂ナイズ”された形でどういう風に投資アロケーションまで落としていくべきなのか、2社で一緒に考えていきました。

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このなかで、@cosmeの会員データを分析し、マーケティング上見ていきたいお客様の可視化を行いました。@cosme SHOPPING@cosme STOREで当該商品を購入した方のうち、クチコミ投稿が多い方ほど、発信意欲が高いと考えられるので、その方達は「イノベーター」、クチコミ投稿が少なく自ら発信していないような方達は「マス」と、クチコミの投稿数で顧客ステータスを定義して分析しました。

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そしてSHISEIDOと競合ブランドでどちらがマスまで波及できているのかを調べたところ、松村氏の発言を裏付けるようにSHISEIDOは成功している競合ブランドと比べてマスを獲得できていないことがわかりました。

さらに、競合ブランドのクチコミを時系列で分析すると、マスが増えるタイミングは、投稿されるクチコミに様々なバリエーションが見られるようになったタイミングに重なっていました。

クチコミのバリエーションが増えているということは、お客様のニーズがより多様化していると考えることができます。そしてその多様化したクチコミが、多様なニーズを持つお客様の心をさらに掴むことになり、結果マスのお客様が増えていると仮定すると、SHISEIDOの課題は、イノベーターとマス、それぞれのお客様が増えるべき時期に増えていないことではないかとなったのです。

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そのようなプロセスを経て、SHISEIDOと競合ブランドで、特にギャップの大きいフェーズはどこなのかを調べ、本当に狙っていくべきフェーズを見極め、投資配分を検討していきました。

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@cosmeに集積したファーストパーティデータを活用し、高速PDCAを実行

――データコンサルティングサービスでもっとも価値を感じた点は何ですか

松村:ISDCの体制に非常に価値があると感じました。具体的には「ビューティ特化型のプロフェッショナル」という視点で、データ分析とそのコンサルティングで伴走してくれるという点です。課題感の切り口や、示唆のポイントが、今まで資生堂社内でずっと検討していたにもかかわらず、解像度が甘かったところをクリアにしてくれたと感じます。

――ISDCではブランド様のコンサルティングにおいて、自社の強みをどのように考えていますか

山内:ISDCが一番押し出していきたいことは、我々が@cosmeに集積した美容特化のファーストパーティデータを活用していることです。我々は普段からこのデータをアイスタイルの事業のために、自分たちで分析して使用しています。私自身、これまでコンサルティングファームで生きてきた人間ですが、クライアントや他所のデータをいただくのではなく、「このデータをどう解釈するのか」「他にどんなデータがあるのか」など、扱い慣れたデータを扱い、分析することで、より精度の高い考察を可能にすることはISDCの価値だと思います。

20250207_12アイスタイルがもつデータのイメージ

――SHISEIDOとISDCの取組みでわかったことや気づきがありましたら教えてください

松村:SHISEIDOは自社のデータを持っている方だとは思いますが、まだ出会えていないお客様がどんなお客様なのかを分析するのには、購買データの拡大解釈では限界があります。これまでの分析はメーカー視点の一方的な分析にとどまっていたと今回ISDCと取り組む中で感じました。

ISDCはとても中立的にデータ分析結果から進むべき方向性を示唆してくれますが、それは初めから答えを提示するのではなく、弊社側メンバーが自分たちでしっかり考え、仮説を立て、検証していくことを促すスタイルです。それによって、この3カ月で我々のチームは高速PDCAを回していく力が飛躍的に高まったのではないか、組織自体が進化できたのではないか、そんな手応えを感じています。

山内:SHISEIDOISDCでワンチームとなって「成長していく」というと大仰かもしれませんが、そういった感覚を私も感じました。資生堂の皆さんからは回を重ねるごとに「こうしたほうがいいのでは」と積極的にご意見をいただけるようになり、ISDCもそれに合わせたデータ分析のアイデアをどんどん出し、共創型の取り組みができたと思います。

――週次の定例ミーティングにより、これまでのSHISEIDOの進め方と比べて変化はありましたか

松村:短い期間でアップデートを繰り返していくことが重要だと改めて感じました。一度大掛かりなプランを作ったあとは、それに沿って粛々と進行するということが、わりと自組織では常になってしまっているということを、今回のプロジェクトでは改めて感じました。

時代の進化のスピード感についていけていないというのは、その進行の仕組み自体の問題でもあると感じました。

ときには大きくプランを作ることも必要ですが、やはり生活者の方にSHISEIDOの商品がどういう風に愛用いただけるのか、なぜ使っていただけていないのかといった理由は常に変化しています。その中で、クイックに回していくということは、体制の理想的なあり方ももちろん、市場や生活者を本当に見るとはどういうことなのかをすごく体感できたと思います。

――今回の取組みで意志決定のスピードが加速度的に上がったとのことですが、その理由を教えてください

山内:具体的にいうと、まずそのブランドの課題解決のために、どんなお客様について知るべきなのかというターゲティングの解像度を高められます。そしてそのお客様に的を絞って分析を進め、最終的には競合ブランドとの違いも見比べながら、どんな順番でなにから優先的に着手するべきなのか、ゴール達成要件を導出できます。

ただ、それはある意味、データ的な納得感の醸成だと言えるでしょう。それだけでブランドの課題が解決されるのかというとそうではありません。

ISDCとクライアントで感性や納得感を最大化させるべく、とことんディスカッションを行うことで、意思決定のスピードが加速したり、意思決定そのものの変革がなされたりするのだと個人的には思います。

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松村:そうですね。クチコミデータはお客様の行動や知覚がたくさん詰まっているもの。今回、ISDCによるそうしたデータの見方、分析の仕方に、SHISEIDOの生活者への思いという掛け合わせがおき、マーケティングモデルのリデザインだけではなく、ブランドSHISEIDOとしても、今まで自分たちが気づけていなかったようなアプローチでお客様の拡張につながるという兆しがすごく感じられたのが大きなポイントだったと思います。

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