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@cosme上半期新作ベスコスも受賞。ローソンのコンビニコスメ「&nd by rom&nd」の人気の秘密とは

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コンビニエンスストアの「ローソン」で買えるコスメとして20233月に登場した「&nd by rom&nd(アンドバイロムアンド)」。発売当日から品切れ、その後も品薄状態が続く大ヒットとなり、「@cosmeベストコスメアワード2023 上半期新作コスメ」でもベストネイル部門の第1を受賞しています。メイクポーチを忘れたり、突然外泊をすることになったりなど、急を要する場面で重宝されてきたコンビニコスメの立ち位置を完全に変えたと言える同ブランドの人気の秘密を探りました。

韓国発の人気コスメブランドと共同開発したコンビニコスメ

&nd by rom&nd(アンドバイロムアンド)」は、韓国発の人気コスメブランド「rom&nd(ロムアンド)」とローソンの共同開発ブランドです。

韓国のブライダル企業のiFamily SCとパーソナルカラー専門ビューティクリエイター、ミン・セロム氏が共同で設立したコスメブランドであるロムアンドは、日本ではZ世代からミレニアル世代を中心に支持を集め、アイシャドウ、リップなどメイクアップアイテムでヒット作を生み続けています。

アンド バイ ロムアンドは、ロムアンドよりもリーズナブルな価格帯(550円〜1,580円)で、ベースメイクからポイントメイク、ネイルまで25SKUをラインナップし、全国12,000店以上のローソンでのみ販売されています。情報解禁と同時に主要SNSで拡散され、2023331日の発売日にはアンド バイ ロムアンドを目当てにしたお客がローソンに殺到。初日の時点で売切れが相次ぎ、3日間で30万個を販売しました。

ブランドを担当する株式会社ローソン 商品本部 生活・日用品部 化粧品担当の浅岡陽子氏は「発売日にSNSをチェックしていたが、(販売解禁の)深夜0時の段階から購入したという投稿が走り出し、朝には在庫のない店舗も多かった。とくにアイパレットは1,000円超の価格のため売れ行きが心配だったが、すぐに在庫切れ店舗が多くなったのは想定外だった」とその反響を語ります。

&nd by rom&ndの公式Instagramアカウントによる品薄のお詫び投稿 

これまでもローソンは、「インテグレート ポーチインコスメ」やファンケルのスキンケアブランド「mogu(モグ)」などの限定品や先行販売品を販売してきました。そのうえで、新たにロムアンドとの協業を選んだ理由を、「(ローソン店舗の)これまでの化粧品の購入者層は3050代がメインで、緊急時のニーズが高かった。新規客層を開拓したいという意向があり、1020代を中心に支持の高いブランドを探すなかで、ロムアンドにお声がけした」といいます。

また、ロムアンドが韓国コスメであることもコラボの理由のひとつで、「輸入量などをみても、韓国コスメが勢いを持っているのがわかる。それが意志決定の決め手になった」と浅岡氏は付け加えます。ロムアンド側でも消費者との新規接点を求めていたため、これまで販売してきたECやドラッグストア、バラエティストアと異なるコンビニとの協業を受けたのだそうです。

20230714_10株式会社ローソン 商品本部 生活・日用品部 化粧品担当 浅岡陽子氏
画像提供:株式会社ローソン

企画開発は、iFamily SCと、ロムアンドの日本正規代理店である株式会社韓国高麗人蔘社、ローソンの日韓3社で実施しました。色味や質感などは化粧品の専門家であるロムアンドにゆだね、韓国高麗人蔘社が日本人に合う色味や日本のトレンドを調査して企画に反映させたそうです。ローソンからは、コンビニコスメとして一通りメイクアップが完成するラインナップ、価格、サイズ、パッケージ、販促などについて要望を出しました。

浅岡氏は商品をミニサイズにした意図を「1020代はとても小さなバッグを持つことが多いので、持ち運びしやすいサイズで開発をお願いした。また、コンビニコスメをトライアルとして使ったユーザーが、最終的に本家のロムアンドを購入するという流れが一番いい。そのためお試ししやすいサイズとして小さくした」と説明します。

また、通常化粧品の共同開発は発売まで23年かかるケースが多いところ、「今回は韓国側の商品企画における判断が早く、1年ほどで商品化に至った」(浅岡氏)とのことで、日本でのヒットもある程度予想できる韓国の最新トレンドを知る2社との協業によるスピーディな開発も、今回の爆発的なヒットにつながった理由のひとつと言えそうです。

ロムアンドが手がけるSNS運用も強み

アンド バイ ロムアンドの公式InstagramTwitteriFamily SCが企画・運用を行っています。数ある韓国コスメのなかでも、ロムアンドと組んだ大きな理由のひとつが、SNSにおける発信力だったそうで、浅岡氏は「SNSでのユーザーの方々とのコミュニケーションが非常に上手いと思った。新しい企画のアイディアをどんどん出していただけたのもよかった」と話します。

発売前にはインフルエンサーによるレビュー動画がYouTubeに投稿され、78万人以上の登録者を持つYouTuberコスメヲタちゃんねるサラ」のチャンネルでは、アンド バイ ロムアンドの全商品を紹介する動画が48万回再生(2023711日時点)されています。

また公式アカウントでは、ロムアンドの提案で発売日にSNS投稿イベントを実施。購入者に商品を撮影してもらい、その画像をハッシュタグとともにTwitter投稿をしてもらうという内容で、投稿者に抽選で商品をプレゼントしました。このような投稿イベントはローソンの化粧品としては初めてだったそうですが、キャンペーン終了後も商品に関してや品切れに関してなど、関連ツイートが活発に投稿され続けています。

長引く欠品に対しての公式アカウントからのお詫びの投稿もロムアンドからの提案で行ったそうです。品切れが続く“人気者のコスメ”にインタビューをするイラストで、品薄状態を伝えて謝罪しながらもユーモアのある内容で、消費者の待ちわびる気持ちの醸成にも一役買いました。

ローソンで活用されるポイントカード、Pontaカードから取得したデータによると、アンド バイ ロムアンドは1020代を中心に、3040代まで幅広く購入されています。「意図していた通り1020代が来店し、化粧品全体の客層拡大にはしっかりつながった。20代の方は2点、30代の方は3点以上まとめ買いするケースも目立つ。他ブランドではない特殊な動きだった。また、インテグレートなどそのほかの美容アイテム全体の売上増にもつながった」と浅岡氏はいいます。

今後は、まず商品の安定供給を第一に、SNSも運用して、ブランドのファンを拡大させていく考えで、既存商品の新しいカラーの発売なども検討中とのことです。浅岡氏は「トレンド発信地の韓国からの最新を届けたい」といい、ローソンの化粧品事業全体では、ほかのブランドとの協業や取り扱いも視野に入れているといいます。

「地方都市など、本家のロムアンドを購入できないエリアでも、姉妹ブランドであるアンドバイロムアンドを実際に見て購入する機会を提供できた。ローソンは全国に14,000店舗あるので、各ブランドにとってはトライアルポイントとして活用いただけるのではないか。実験の場所としてぜひ活用してほしいと考えている」(浅岡氏)

Text: 臼井 杏奈
Top image: &nd by rom&nd公式Twitterアカウント

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