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クチコミは誰のためのもの?|連載:@cosme編集長の「いつもなにかを考えている」Vol.3

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@cosme編集長・篠田による定期連載。ユーザーの姿を通して気づいたこと、そしてちょっと先の未来のことなどについて独自の目線で語ります。Vol.3では、@cosmeユーザーのクチコミ投稿について。なぜ、@cosmeにクチコミを投稿するのか?ユーザーの気持ちを紐解いていきます。


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自分の話をしよう

いま「俺の家の話」というドラマがTBSで放送中だ。このドラマの存在を知ったときに、タイトルがいいな、と思った。なぜなら「俺の家」という個人的な話のドラマだということが明確に伝わってきたから。

何が言いたいかというと、「自分の話をしよう」ということが言いたかった。個人の話を。自分に起きた話をしよう。

クチコミをするモチベーション

最近、とある取材で「@cosmeのユーザーは何をモチベーションにクチコミを投稿しているの?」と聞かれた。「クチコミをしたからといって特にインセンティブはない。なのになぜ?」と。鋭い質問だなと思った。@cosmeの存在に関わる話だな、とも思った。

ちなみに、2020年は100万件に迫るクチコミの投稿があり、これは2019年よりも30%アップしている。過去の数年と比較しても、2020年はクチコミ数が大幅に増加した1年でもあった。(参照:2020年話題のコスメを総括!「@cosmeベストコスメアワード2020」12月1日発表

SNSとは圧倒的に異なる構造

では、改めてなぜユーザーが@cosmeにクチコミを投稿し続けるのかを考えてみたい。

@cosmeのユーザーの多くは、ニックネームでメンバー登録をしている。そして、本人の写真をアイコンにしているメンバーはとても少ない。つまり、誰なのかがわかりにくい設計になっている。

そして、クチコミにおいて@cosmeのメンバーがとれるアクションは、主に以下の4つだ。

・クチコミを投稿する
・クチコミを閲覧する
・自分以外のメンバーのクチコミに「Like」をする
・自分以外のメンバーをフォローする

一方通行で他のメンバーをフォローすることはできるが、DMを送るといったようなコミュニケーションはとれない。また、あるクチコミに対してのコメント機能もない。

クチコミを投稿したからといって、誰かに絶賛も批判もされにくい。バズも生まれにくい。いわゆるSNSとは圧倒的に異なる構造になっている。インセンティブもなく、SNSように目立つ存在になりにくいのが@cosmeのクチコミなのである。

そこでつながってくるのが、冒頭に書いた「自分の話をしたい」という気持ちだ。ビジネスの視点で考えると、ユーザーは、自分の承認欲求を満たしたい、少しでも有名になりたいなどの気持ちで、投稿のようなアクションをするのでは?と考えてしまう。

が、それ以前に人には、なにか感情が動いたときにそれを吐き出したい、という欲求があるのかもしれない。SNSに書き込むほどではないが、親しい友人とは話をしたいというような出来事は多くあるし、自分の存在価値を図られないアウトプットをしたいというような気持ちになることはあるはずだ。

ネット上にあるセーフティな場所=@cosme

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そういう視点で考えると、@cosmeのクチコミは、誰にも脅かされない安心できる場所になっている。安心できる場所で、自分の思ったことを素直に吐き出す、それが@cosmeのクチコミなのかな、と考えている。

SNSが生活の中に当然に存在する現代は、ネット上で安心できる場所を求めている人が増えてきているように思う。そして、コロナ禍でいまメンタル・セーフティの重要性がさらに高まっている。多くのSNSがあるなかで、2020年、@cosmeのクチコミ数が増加したことはその現れのひとつなのかもしれない。

飾らない素の言葉で、自分の思いを吐き出すーー。そういうクチコミの存在が、また誰かのクチコミを連れてきてくれる。@cosmeのクチコミはそうやって循環していると考えている。

 

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写真・文/篠田慶子

 

 

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profile

篠田慶子(しのだ けいこ)

@cosme編集長。東京都生まれ。大学卒業後、ファッション誌でスタイリスト・編集者を経験。その後、フリーペーパーの編集者を経て、株式会社メディアジーンにてcafeglobe編集長、GLITTY編集長を経て、2017年10月に独立し、現職に至る。Pinterestのフォロワー数は26万人を超える。

 

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