アフターコロナは、多様性とセルフケア|連載:@cosme編集長の「いつもなにかを考えている」Vol.18
@cosme編集長・篠田による定期連載。ユーザーの姿を通して気づいたこと、そしてちょっと先の未来のことなどについて独自の目線で語ります。Vol.18のテーマは「アフターコロナのセルフケア」について。
アフターコロナどう思う?
東京は梅雨の真っ只中ですが、この夏ペディキュアをしないことにハマっています(手のネイルは気分で楽しんでいます)。これまでだったら、夏サンダルを履くときはペディキュアをするのが当然だったのに、今年は足の爪をケアして素のままで楽しみたい気持ちになりました。とても小さなことですが、私にとっては固定概念が覆されて、爽快な体験となりました。
最近「アフターコロナをどう思う?」と聞かれることが増えました。徐々に始まったワクチン接種や部分的な緊急事態宣言解除などで、アフターコロナを具体的に考えはじめた人が多いのでしょうか。
コロナによって起こった変化
アフターコロナを考える前におさらいしておきたいのが、コロナによって起こった変化です。
あくまでも例ですが、おうち時間が増えたことによって、個人の趣味嗜好がはっきりした。それにより、自分にとって必要なもの不要なものが明確化し、消費にもメリハリが生まれた。また、オンラインでのコミュニティの活性化やオンラインでのショッピング、オンラインでエンターテインメントを楽しむ、などオンラインさえあればたくさんの楽しみを享受できることも判明。あるいは、外出が制限されていたからこそ、自然の尊さを感じるようになった。そして、健康意識がさらに高まった。などがあります。
しかし、あくまでそういう傾向ということに過ぎず、本当に人それぞれです。美容面でも同じ。マスク着用になって、メイクが薄くなったという人もいれば、アイメイクなどを楽しんでるという人もいるし、スキンケアにはまった人、ネイルにハマった人、男性で美容を始めた人など、@cosmeのユーザーは本当に多種多様です。
@cosmeのユーザーを見ていると、コロナがもたらしたことのひとつに、より自分軸でものごとを考えるようになった、というのがあるような気がしています。自分が好きなもの・したいことをピュアに実行する人が増えた、という印象が強くあります。
アフターコロナは、多様性とセルフケア
そして、アフターコロナ。きっとコロナ禍で起きた変化を引き継いで、自分軸でものごとを考える、という流れは止まらないと思っています。ただそれがポジティブに作用するのか、ネガティブに作用するのかは、コロナ以外の社会状況にも関わってくるので簡単に予想はできません。
美容において考えてみると、より自分らしさを実現できる多様性を受け入れるムードが強まっていく。その結果、メイクももっと自由に楽しむひとが増えてくるのではないでしょうか。2021年の上半期は、アイシャドウやリップの人気が再来し「美容を楽しもう!」という気持ちの変化が見て取れました。また、これまで美容を取り入れてこなかった男性にも、美容への抵抗感が薄まってきているのを実感しています。アフターコロナは、性別・年代などカテゴライズされない美容がより盛り上がっていくと考えられます。
逆に、コロナ禍で人と会わない時間が増えたことで美容の必要性が弱まったという人も少なくありません。これはネガティブなことではなく、本質的にものごとを考える人が増えた結果と捉えています。いわゆるメイクアップはしなくても、歯磨きや入浴などはするもの。つまり、アフターコロナはこれまでの美容の概念を拡張させて、日々の生活に溶け込んだセルフケアのという意味合いを含んでいくことになります。コロナ禍で精神的不安を抱えた方も多く、セルフケアの重要性は高まっています。美容がその一助となるのであれば、そういう文脈で語りかけていくことは需要があるでしょう。
多様性がもっと当然になって、セルフケアとしての美容が広がっていく。アフターコロナの美容は、そのように考えています。
そしてコロナは一気にゼロになるというわけではなく、徐々に感染者が減っていって収束していくことになると思います。なので、今のコロナ禍とアフターコロナまでの間にできる時間帯に、多様性やセルフケアをどう伝えていくのか、じっくり考えてみます。
この連載に対するご意見・ご感想などぜひお聞かせください。より良い美容業界のためにみなさまと対話していけたらと思っております。
写真・文/篠田慶子
profile
篠田慶子(しのだ けいこ)
@cosme編集長。東京都生まれ。大学卒業後、ファッション誌でスタイリスト・編集者を経験。その後、フリーペーパーの編集者を経て、株式会社メディアジーンにてcafeglobe編集長、GLITTY編集長を経て、2017年10月に独立し、現職に至る。Pinterestのフォロワー数は26万人を超える。
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