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@cosmeアプリに搭載された「ケアどき診断」。RNAに基づく「肌遺伝子モード判定」をもとユーザーに化粧品との新たな出会い方を提案

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アイスタイルは、2024年3月に設立された「RNA共創コンソーシアム」の取り組みにもとづき、花王株式会社のRNA研究を基に作成された独自AIによる肌画像解析技術と、それをもとに現在のおすすめケアを提案する「ケアどき診断」の機能を@cosmeアプリに搭載しました。この機能は、生活者に化粧品との新しい出会い方を提供する新しい指標となる可能性があるといいます。本プロジェクトを推進した株式会社アイスタイル プロダクトデータユニット プロダクトグロース本部 データマーケティング室  大久保雄矢に話を聞きました。

いまケアすると肌状態の伸びしろが大きい「ケアどき」項目を提案

@cosmeアプリに導入された「ケアどき診断」は、RNAに基づく「肌遺伝子モード判定」をもとに導きだされます。

ユーザー体験としての一連の流れは、以下のようになっています。

まず、@cosmeアプリで「今月の診断開始」ボタンを押下するとカメラが起動し、撮影された画像解析から、肌遺伝子モードが「C1(つるつる期)」、「C2(ぴかぴか期)」のどちらかに分類されます。さらに、画像解析から得られる肌情報をかけあわせて、いまケアすると今後の肌状態の伸びしろが大きい(改善の余地が大きい)と推測されるケアポイントが「ケアどき」項目として表示されます。

rna_1 お肌のケアどき診断トップページ(左)とカメラが起動後の画面(右)

C1(つるつる期)は肌のなめらかさに関連するもので、より効果を実感しやすいケア項目として「しわ」「ベタつき」「毛穴」の3項目からなり、C2(ぴかぴか期)は肌の明るさに関連するもので、重点ケアが「くすみ」「黄み」「つや」の3項目となります。そして、各3項目のパラメーター表示の中で、最も数値の低い項目が、そのユーザーにとっていま最も改善しやすいケアポイントとして提案されます。

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このような機能を追加した理由について、大久保はこう説明します。

「現在は、美容や健康に関するサービスや情報があふれており、『自分になにが合うのかがわからない』『理想の化粧品に出会えない』『いつも使っていた化粧品が、急に合わなくなった』と化粧品迷子になっている方が多くいる。こうした悩みを抱えるユーザーを少しでも減らすために、市場では新たな基準が求められている。ユーザーが今の自分の肌状態を正しく知り、多くの選択肢の中からエビデンスベースで自分にあった商品を選ぶために、肌遺伝子モードを基にしたマッチングシステムを構築できないかと考えた」(大久保)

診断者数が増えたら、肌遺伝子モードに加えて、肌質タイプや年代、購買傾向などのデータをかけあわせて化粧品のリコメンドも可能とのこと。ユーザーの商品選択やケアの判断材料として、どのようなレコメンドが最善なのかを、引き続き検討していくそうです。

RNAから分類され、肌質とも関連のない2つの肌遺伝子モード

「肌遺伝子モード判定」の基となるRNAとは、DNAとともにすべての生物の細胞に存在し、遺伝情報の伝達やタンパク質合成に関わる重要な役割を担う核酸のことです。DNAが遺伝情報を保管し、その人固有の一生変化しない設計図であるのに対し、RNAは設計図を基にタンパク質を作り出す役割を担っています。RNAは、体調や食生活、運動、ストレス、紫外線といった環境要因によって日々変化するため、その時々の肌や体の状態を知るのに有用だといわれています。

2020年、花王株式会社は、あぶらとりフィルムで顔の皮脂を採取し、その皮脂からRNAを抽出して網羅的に分析する独自技術「皮脂RNAモニタリング」を開発しました。RNAプロファイル解析から、「角化」などの皮膚バリア機能を担う遺伝子が高発現するグループ、「免疫応答」などの皮膚免疫機能を担う遺伝子が高発現するグループの大きく2つのグループに分類できることがわかり、@cosmeアプリでは、この肌遺伝子モード判定技術と各グループの肌との関連から、「C1:つるつる期」と「C2:ぴかぴか期」と名づけました。

さらにアイスタイルは、RNA皮脂モニタリングに協力した6,000人の@cosmeユーザーのクチコミを分析。C1C2それぞれ10人以上が評価をしている約800商品に対してC1C2どちらのグループの評価(商品のおすすめ度、満点は★7つ)が高いかについて評価軸のひも付けを行いました。すると、C1ユーザーで相対的に高評価、C2ユーザーで相対的に高評価、C1ユーザー・C2ユーザーともに同等の評価の商品があることが判明したのです。

rna_3C1とC2の平均値の差が商品ページにバロメーターで表示される

例えば、商品Aを使ったC1ユーザーの評価の平均が★5、C2ユーザーの評価の平均が★4だった場合、平均差はC1が+1となるため、「商品AC1ユーザーの評価が高い商品である」といえます。つまり、ユーザーが、いまの自分自身がつるつる期のC1なのかぴかぴか期のC2なのかを診断したうえで、このバロメーターを見れば、エビデンスベースに同じ肌属性と判定されたユーザーがどのように商品を評価しているのか、化粧品選びのひとつの基準となります。

月1回の測定で、自分の肌状態を知り自分自身を見つめ直す機会に

お肌のケアどき診断は、毎月1回の測定が推奨されており、診断結果は、「お肌のケアどき診断履歴」として確認することができます。大久保は、「RNAはそのときの体調や季節によっても変化するものなので、ユーザーが定期的に自分自身を知り、見つめ直す機会となるような体験にしていきたい。自分に合う商品に出会えないと悩む人に向けて、スキンケア版のブルベ・イエベに匹敵する指標を作っていくという世界観に共感するユーザーに使ってもらいながらデータの収集・開発を進めていきたい。ローンチ後もユーザーとのコミュニケーションをはかりながら、適宜改善していく予定だ」と話し、利用を促すためのプレゼントキャンペーンの実施も予定しているそうです。

アイスタイルとしては、肌遺伝子モードを化粧品選びの新しい指標として一般化させ、より多くの化粧品に肌遺伝子モード別評価をひも付けることで、企業に対してより効果が期待できる商品レコメンデーションソリューションの提供につなげていきたいとしています。

Text
:小野梨奈

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