COLUMN

トレンドコラム

TikTokらしいクリエイティブづくりで、広告効果を最大化するために知っておきたいこと

TikTokらしいクリエイティブづくりで、広告効果を最大化するために知っておきたいこと サムネイル画像

20227月、TikTok for Business Japan、リアレーション、istyle me3社共催によるウェビナー「すぐに実践できる!“美容好き”の心を動かす 化粧品ブランドにおけるTikTok活用のヒント」が開催されました。美容関連動画が急速に伸びており、化粧品ブランドのマーケティング活用事例も増えているTikTokで、どうバズを生み出すのか、当日のセッションで語られた「成功のためのTips」を紹介します。

TikTok平均ユーザー年齢は34、多様化するコンテンツ※博報堂調べ

「今TikTokの人気ジャンルはフィットネスやアニメ・漫画、エンタメ、ファッションなど多岐にわたり、美容関連動画の視聴数も、202111月現在で、スキンケアが前年同期比643%、ベースメイクが同じく538%、美容全体(主要ハッシュタグ推移)でも3.2倍に増加している」と話すのは、TikTok for Business Japan 高木千尋氏です。

20220805_2

このように幅広い層での視聴が増えている理由として、高木氏は、TikTokの持つ「フルアテンションのリッチな視聴環境」をあげます。TikTokには大きく3つの特徴があり、1つには「飽きずに次々と見られる短尺動画」であること、次に「世界観が瞬時に伝わる縦型フル画面」、そして、「動画の世界に飛び込みやすい音声ON視聴」で、これにより、TikTokはモバイルでどこからでもアクセスして目と耳の両方から動画に没入しやすく、しかも短時間で完結するため高いエンゲージメントが得られるというのです。

「たとえば、家事や育児に忙しい主婦の方でも1分以下の動画なら息抜きを兼ねて視聴でき、楽しく自分にとって役に立つ実用的な情報を手に入れられる」と高木氏は指摘し、TikTokの平均ユーザー年齢は34歳(博報堂調べ)で、決して「購買意識の低い若者向けアプリ」ではないと明かします。2021年には「#購入品紹介」がついたTikTok動画の視聴数は32億回を超え、『日経トレンディ』による「2021年ヒット商品ベスト30」ランキングでは「TikTok売れ」が1位に輝き、日本において最強の動画コマースサービスであることが認知されました。

20220805_3

こうした流れを高木氏は、消費者の「自分が欲しいものを吟味して買う」という購買行動が、「たまたま出会った商品が気に入れば買う」方向へと変化していることを表すとみています。同時に、この傾向は、物理的な接触を少なくするニューノーマルが日常となり、店頭での商品のお試しやタッチアップの機会が激減し、消費者が自宅で自分にあった美容法や製品を探す必要が生じた美容の分野でも当てはまることで、ユーザーと商品の出会いのきっかけとしてTikTokが大きな役割を果たせると高木氏は示唆します。

クリエイターの持ち味を活かし、ユーザーが自分ごとできるコンテンツを目指す

では実際に、化粧品ブランドがキャンペーンなどの成功を導くTikTokの広告コンテンツを創るには、どのような点に気をつけるべきでしょうか。

20220805_4

SNSを活用した認知拡大施策や販促施策などの企画立案から実施までを一気通貫で担当するとともに、商品の魅力を伝えるクリエイティブ制作のほか、ビューティ&ヘルス領域やメディカル領域、エンタメ領域の分野別専門人材プロダクションを多数運営し、キャスティングニーズにも対応する株式会社リアレーションの松根永祐氏は、TikTok動画制作Tipsとして4つのポイントをあげます。

1. 商品価値をよりあげるためのクリエイター選出ルール

どのクリエイターに依頼するかを判断する決め手は、フォロワー数の多い少ないではなく、「この人が言っているのだから(効果や品質など)本当だろう」「この人が勧めるのなら欲しい」と思わせる、信ぴょう性や信頼性があるかどうかだと松根氏は話します。そして、そのためには、商品の訴求点がクリエイター本人の悩みとリンクできていることが大事だとします。たとえば、商材がクセ毛をケアするシャンプーなら、縮れ毛をまとめるのにいつも困っているというクリエイターが語りかけるほうが、ユーザーも共感しやすくなります。つまり、企画を最大限表現できるクリエイターとのマッチングが鍵になるとします。

2. クリエイターをより活かすためのクリエイティブ制作ルール

まだ世の中で馴染みのない商品の場合は、日常生活に溶け込ませるなど、ユーザーが「自分ごと化」できるよう見せ方を工夫することで、より見たくなるコンテンツとなります。また、使用する言葉や表現を制限、あるいは強制するブランドレギュレーションは、最小限にすべきだと松根氏は強調します。それは、クリエイターが自分の言葉で話して、自身のリアルを不完全な部分も含めて本音で伝えることが魅力である「TikTokらしさ」を潰さないようにするためです。商品の特徴を訴えたいがために「最大出力〇〇パルスの〇〇波を10分間照射し…」などの言葉を挿入すると、普段の言葉遣いとは違い、いかにも台本を読まされている感じが出て広告臭が強まり、視聴者が離れてしまうと松根氏は説明します。

3. 案件をよりスムーズに進めるために気をつけるべきポイント

2にも通じることですが、クリエイターの意見を尊重し、クライアントの企業・ブランドとクリエイターが共創するという意識を忘れてはならないと松根氏はいいます。あわせて、衣装や音源、企画案、字コンテ、投稿下書きなどを媒体の事前審査に必ずかけることや、最新の媒体情報を常にインプットしておくことは基本ですが、とても重要なことです。

4. 施策効果を最大化させるためのクリエイティブTips

動画を視聴してもらうには、広告だと感じさせずに、ついつい最後までみてしまうための仕掛けが欠かせません。より没入感の高い縦型フル画面の動画で構成するのはもちろん、人を登場させてナマの人間の存在を感じさせたり、生声を入れたり、トレンド要素を加えるほか、冒頭で商品要素を強調しすぎると広告感が出るので、動画を商品紹介からスタートするのは控えたほうがよいとします。また、TikTokはユーザーにとって明るく前向きな場所です。商材の特徴上、ネガティブ要素を入れる必要があっても、必ずポジティブにまとめるべきだと松根氏はいいます。

6秒視聴の壁を超えてエンゲージメントを確立するには

松根氏はまた、広告の視聴率とCTR(クリック率)の関係を示す資料を提示し、6秒視聴率が高ければ、それに比例してCTRも高い傾向にあると説明します。

20220805_5

つまり、冒頭の6秒で視聴者のアテンションをつかむことができたTikTok動画は、最後まで見てもらえる可能性が高く、クリックなどのアクションにつながる確率が上がるのです。逆にいえば、成功するためには、この最初の6秒視聴の壁を越える必要があるということです。

松根氏は、商品要素は、冒頭で引き込まれた視聴者がクリックしたくなる動画の中盤以降に配置することを勧め、あわせて、商品の機能ではなく、ユーザーにどんなベネフィットがあるのかを伝える内容とするようアドバイスします。また、特別キャンペーンや、今だけ〇〇円などの限定要素、テキストや音声でクリックを促すなども、CTRの向上に有効であるとします。

TikTokの効果を最大化するには?視聴者からの質問に答えるQ&Aセッション

今回のウェビナーでは、事前に募集した参加者からの質問に加え、ライブセッションの最中にもさまざまな質問が寄せられました。そのなかの一部を抜粋し、登壇者の回答とあわせて紹介します。

Q:動画の最初に商品を出すのはNGとのことだが、ブランド名を見せるのはどうか?

A:松根氏「ブランド認知が目的の動画の場合は、6秒以内に(ブランド名を)入れるのは良いと思う。あとは目をひくキャンペーンやインパクトのあるキャッチコピーなど、まずは“引き”があるものを最初に持ってくるのが望ましい」

美容系クリエイター ありちゃん氏「私は(ベーシックな商品紹介〇選などのTikTok動画の)冒頭3秒には、必ず『毎月の支出の半分をコスメに充てる女 どうもありちゃんです』という決まり文句を自分の声とテキストで入れている。これは私のアカウントであることを見ている人に認知してもらうため。ただし、映像は変えられるので、背景としてその日のテーマの化粧品やブランド名を見せる工夫はしている」

@arichan_make

2022年上半期アットコスメで1番売れたコスメはまさかのこれでした…🫢🫢‼️ #美容 #コスメ

♬ オリジナル楽曲 - ありちゃん【美容系、コスメTikToker】 - ありちゃん【美容系、コスメTikToker】

Q:「バズる」ことを目指すクライアントが多いと思うが、バズるの定義や目安は何か?

A:ありちゃん氏「自分的には、最低でも30万〜40万視聴に達すると、言いたいことが伝わった気がする。このくらいいくと、コミュニティの反応にも熱量が感じられるし、コメント欄がすごく盛り上がる。TikTokはコンテンツが良ければ、勢いが出て、視聴数を伸ばしやすい。100万再生なども可能で、クリエイターとしては夢があるメディアといえる」

Q:スキンケア動画でバズらせるコツや、制作において心がけていることは?

A:松根氏「(映像で使用前/後の明らかな違いが見せにくく、変化に時間がかかる)スキンケアはSNSでは難しい。動画制作にあたっては、その時に流行っているコンテンツの構成やスタイルを押さえるようにしている。今だと、ハウツーやルーティーン系だ。そのうえで、クリエイターの悩みや課題を、クライアントの訴求ポイントと絡めて表現するようにしている。これによりユーザーエンゲージメントが高められる」

Q:美容系クリエイターは、最新コスメ情報をどこで収集しているのか?

A:ありちゃん氏「@cosmeなどの美容メディアや、SNS、TwitterやTikTokの美容アカをまめに見ている。それから、私の場合は実際に店舗を訪れて、店頭を確認することが多い。棚の目立つところに置かれる最新のイチ押し商品は何かとか、売り切れや欠品、同じシリーズのなかでも、どの色が欠けているかなどは必ずチェックする」

Q:他のメディアと使い分けて、TikTok広告を効果的に使うにはどうすればいいか?

A:高木氏「TikTok の大きな特徴としては、フルアテンションを生む縦型フル画面であること、『おすすめフィード』という潜在的ファン(新規顧客)を開拓しやすい独自のレコメンドシステムがある点だ。このことから、プロモーションなどをまずは知ってもらう“認知”の部分と、その次の段階である、クリエイティブを通して大まかな内容を理解してもらい、同時に、気になるとか、面白そう、好きと思ってもらう、この2つの段階を1つのクリエイティブでセットとして行えるのがTikTokの強みだ。こうしてTikTokを入り口にプロモーションやブランドに興味を持ってくれたユーザーを、より詳しく説明できる長尺動画メディア、YouTubeなどに誘導するという方法は、広く採用されている」

>>本記事の該当ウェビナー(アーカイブ動画)はこちら

CTAテスト画像
CTAテスト画像
  1. 前の記事

  2. 次の記事

トレンドコラム一覧へ戻る