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台湾・香港の@cosmeベストコスメアワード2022受賞アイテムにみる日本との共通点と独自のトレンド

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2022年12月8日に発表となった「@cosmeべストコスメアワード2022」。同日、台湾と香港の@cosmeでもベストコスメアワードが発表されました。台湾と香港の生活者のクチコミが反映された、それぞれの受賞アイテムの傾向を詳しくレポートします。

台湾発ブランドの杏仁酸を配合したアイテムもヒット。台湾の@cosmeベストコスメアワード

20221219_2台湾の@cosmeベストコスメアワード2022 キービジュアル

台湾の@cosmeベストコスメアワードは2022年で19年目。2022年は3万9,810 件のクチコミと3,269ブランドの8万2,173件の対象アイテムから、「総合賞(1〜3位)」、31カテゴリー別の「年度大賞」、3年連続で年度大賞1位を受賞したアイテムや、5年連続で年度大賞1〜3位のいずれかを受賞したアイテムが対象の「殿堂賞」、2022年下半期の新商品に贈られる「下半年新秀賞」、クチコミへのトレンドキーワード出現率などを選出基準とした「趨勢賞(トレンドアワード)」の5部門で、計74アイテムを選出しました。6アイテムが日本の@cosmeベスコスと同時受賞となりました。※2020年まではUrCosme網友評鑑美妝賞として実施

今年、台湾の総合大賞(総合賞1位)を受賞したのは、エスティ ローダーの美容液「アドバンス ナイト リペア SMR コンプレックス」です。同商品はこれまでにも2020年の下半年新秀賞や、2021年美容液部門第2位などを受賞しており、2020年8月の発売以降、堅調な支持を得続けていました。

総合賞2位は2022年上半期新作ベストコスメ総合大賞を受賞したオリジンズの化粧水「アンドルー・ワイル フォー オリジンズ アドバンス トリートメント ローション」、総合賞3位はキスミー(ヒロインメイク)のマスカラリムーバー「スピーディーマスカラリムーバー」でした。

20221219_3台湾の総合賞(1〜3位)

カテゴリ別の年度大賞を見ると、集中ケア(重點保養)部門の1〜3位は、1位が DR.WUの「杏仁酸溫和煥膚精華8%」、2位がPAULA'S CHOICE「2%水楊酸精華液」、3位がNeogenceの 「18%杏仁酸透亮煥膚精華」となり、杏仁酸(マンデル酸・アーモンド酸)や水楊酸(サリチル酸)などの酸系成分を配合したアイテムが独占しました。

杏仁酸はAHAの1種で、台湾では「最も穏やかに作用する美白成分」と呼ばれ、肌のコンディショニングを整えるものとして生活者に好まれています。また、サリチル酸は杏仁酸と比較してピーリング効果も刺激性も高いとされ、その殺菌作用と角質柔軟効果によりニキビやニキビ予防に取り入れられています。

ボディローション部門でも1位PAULA'S CHOICE「2%水楊酸身體乳」、3位 DR.WU「杏仁酸亮白煥膚身體乳」とこれらの酸系成分配合のアイテムでした。台湾発のブランドである「DR.WU(ドクターウー)」や「Neogence(ネオジェンス)」が採用している杏仁酸は、韓国コスメから広く知られるようになった成分「CICA(シカ)」のように、今後、台湾コスメのイメージを形成する可能性もある注目成分と言えそうです。

20221219_4年度大賞 集中ケア部門の1位〜3位は酸系アイテムが独占

20221219_5年度大賞ボディローション部門でも酸系アイテムが台頭

2022年最も関心を集めたトレンドキーワードとしては「A醇保養(レチノールケア)」「精華水(高機能化粧水)」「中性香水(ユニセックスフレグランス)」の3つが発表され、それぞれのキーワードとクチコミに高い相関が見られたアイテムなどがトレンドアワードに選出されました。

一つめのキーワードである「A醇保養(レチノールケア)」は、アンチエイジングや引き締め効果への需要から、2021年に引き続き、2022年も多くのレチノール配合商品が発売されており、台湾においてもレチノールの認知・浸透が進んでいることが背景にあります。

二つめの「精華水(高機能化粧水)」は、美容液を意味する精華液と化粧水を掛け合わせた新しいワードです。台湾の@cosmeに蓄積されるデータをもとに、台湾コスメ市場のトレンド・生活者行動の分析や予測を行なうCMRI(Cosmetic Marketing Research Institution:コスメマーケティング総研)によると、背景には長時間のマスク着用による肌トラブル対策への需要があります。シンプルな成分の化粧水では、もはやそのニーズに応えきれず、ドゥ・ラ・メールの「ザ・トリートメント ローション」をはじめ、化粧水のようなさっぱりとしたテクスチャーでありながら美容液レベルの高濃度処方である高機能化粧水が各ブランドから発売され、支持されました。

また、三つめのキーワード「中性香水(ユニセックスフレグランス)」は、ウッド調のオード パルファムLE LABO「GAIAC 10(ガイアック 10)」やAesop(イソップ)「タシット オードパルファム」、フローラルシトラス調のdiptyque(ディプティック)「オードトワレ ロンブル ダン ロー」など、ユニセックスで使用できる香りが話題となったことによるものです。

発表3年目となりついに殿堂入りアイテムも登場した香港の@cosmeベストコスメアワード

20221219_06香港の@cosmeベストコスメアワード2022キービジュアル

一方、香港の@cosmeでは2020年に初めてベストコスメを発表し、今回の@cosme べストコスメアワード2022が3回目の開催となりました。3年連続で1位を獲得したアイテムも現れたことからそれらを表彰する「殿堂賞」を新設。2022年下半期の新商品に贈られる「下半年新秀賞」も新設し、約1万2,000件のクチコミと約2万6,000件の対象アイテムから、「総合賞トップ10」、35カテゴリの「部門賞」とあわせて計93アイテムを選出しました。また香港の@cosme STOREの販売実績から「香港 @cosme STORE ベストヒット賞」「ブランド新人賞」も選出。このうち15アイテムほどが日本の@cosmeベスコスと同時受賞となりました。

香港の総合大賞(総合賞1位)は、日本の@cosmeですでに殿堂入りを果たしており、台湾でも今年2022年のファンデーション部門第1位を獲得したランコムのリキッドファンデーション「タンイドル ウルトラ ウェア リキッド」でした。日本においてと同様に、軽い付け心地と自然で持続力の高いカバー力、アジア人の肌に合わせた多色展開が支持されている模様です。

20221219_10香港の総合大賞

また香港で殿堂賞となったのは、こちらもすでに日本で殿堂入りをしており、台湾でも部門第1位受賞歴のあるエクセルのパウダーアイシャドウ「スキニーリッチシャドウ」と、ケイト「デザイニングアイブロウ3D」の2商品と、日本と台湾では無冠ながら、香港ではニキビケアに強い信頼が寄せられているザボディショップ「オイル TT(ティーツリー オイル)」でした。

20221219_11香港の殿堂賞

また、香港でも台湾同様に既存の化粧水と美容液の中間のような、高機能を持つ化粧水がトレンドとなっています。本来の美容液より軽い使用感を求める場合や、化粧水よりリッチなケアをしたいが手間をはぶきたい場合、または高機能化粧水と美容液で美容効果を組み合わせるなど柔軟な使用方法に支持が集まりました。

20221219_12

このアイテム群では、スイスで開発および製造のブランドで日本未発売のXOVĒ「Skin Reset Tonic(白松露防禦修護活膚水)」や日本を撤退したオリジンズの「アンドルー・ワイル フォー オリジンズ アドバンス トリートメント ローション」(先述のように台湾の総合賞第2位)のように、ホワイトトリュフや霊芝など、きのこの成分を配合していることを特徴としたアイテムが選出されており、今年の香港ベスコスの特徴的な点とも言えるでしょう。

またランコムの化粧水「クラリフィック デュアル エッセンス ローション」は、シュウ ウエムラのクレンジングオイル「アルティム8∞ スブリム ビューティ クレンジング オイル」とともに、2022年@cosmeベスコスにおいて日本、台湾、香港の3カ国同時受賞となりました。

現在香港に3店舗ある@cosme STOREの販売実績から1位〜10位を選出する、香港 @cosme STORE ベストヒット賞は、1位がエテュセのアイライナー「アイエディション (ジェルライナー)」、2位はエクセルのペンシルアイブロウ「パウダー&ペンシル アイブロウ EX」、3位はネイルホリックのネイルカラーでした。4位以下もキャンメイク、チャコットなど日本市場で馴染み深いブランドのアイテムが占める中、6位に2020年にローンチしたまだ新しいブランド、ルミアグラスの看板商品であるリキッドアイライナー「スキルレスライナー」がランクイン。日本の@cosmeでのクチコミ数が2022年12月現在約880件と、徐々に知名度を増している同アイテムが、香港の生活者にも知られ始めている模様です。

また、香港の@cosme STOREで今年から発表をはじめた新品牌賞(ブランド新人賞)は、「Love Liner」「Custom NO.333」「COCOROIKI」の3ブランドを選出しました。

このように台湾・香港のベスコスでは、市場としては日本と近しいところもありながら、各エリアで独自のトレンドも垣間見えます。

こうしたトレンド含め、いかに香港・台湾にて日本のブランドのプロモーションを進めていくかという事例を豊富にもつ台湾版@cosme、香港版@cosme。現地に進出されるブランド様にはぜひご活用いただきたい知見とサービスです。

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