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デジタル戦略から考える台湾進出・攻略 @cosme(台湾)でできること

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親日家が多く日本コスメを愛用する人も多い台湾において、@cosme(台湾)は日本の@cosmeとほぼ同じサービスを展開しています。202192日のウェビナーでは、@cosme (台湾)を運営するi-TRUE Communications Inc.代表取締役社長 陳宗明(Justin Chen)が、ユーザーの行動分析データや意識調査からみえる台湾市場の現在地とともに同社サービスをご紹介しました。

2044歳女性の65%が利用している台湾の@cosme

アイスタイルグループの台湾子会社i-TRUE Communications Inc.は、2003年創業、2004年に@cosmeの台湾版ともいえる化粧品クチコミサイトUrCosme(ユアコスメ)を開設し、以来20年近くに渡って同サイトを運営しています。UrCosme20215月のリブランディングで、サイトの呼称を日本と同じ「@cosme」に変更。9月現在、登録商品数は95,000を超え、会員数58万人超、クチコミ件数125万件超、平均月間訪問者数200(UU 120万)と、台湾の2044歳女性の65%が利用している、コスメデータ量では台湾最大規模のサイトに成長しています。

台湾ウェビナー1台湾の@cosme

2021年5月のリブランディングにおいて、サイト名の変更とともに、台湾版グローバルアプリ、@cosme SHOPPING も正式リリースし、現在の日本の@cosmeとほぼ同じサービスを台湾で展開するようになりました。

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台湾版グローバルアプリ

ブランド様向け主要サービスのひとつに、品牌館(Brand Fan Club, BFC)があります。品牌館は、台湾の@cosmeサイト上にブランドのオフィシャルページを持つことができるもので、メルマガ配信機能等を通じて、ユーザーと密なコミュニケーションが取れるように設計されています。さらにブランドページ情報をみたユーザーが次にどのようなアクションを取ったのか等、行動データを可視化して、さらに細やかなコミュニケーション設計に生かすことができる分析機能が備わっています。

ウェビナーでは、実際に品牌館を利用されている日本ブランドDAZZSHOP様の事例を、陳からご紹介しました。DAZZSHOP様は、以前から台湾において自社公式サイトを運営されていましたが、更新の手間とコスト、集客の面での課題感から20206月に品牌館を利用開始されました。開始後は月1回のプレゼント企画を継続して実施していくなかで、プレゼント当選者が使用感をクチコミし、それを見たユーザーが@cosme SHOPPINGで購入して、新たなクチコミを投稿する、という回遊を作り出し、その後のPV、ブランドフォロワー数、クチコミの累計数も順調に増加しているといいます。

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台湾の@cosmeにおけるDAZZSHOPのオフィシャルページ

@cosme (台湾)のサービスメニューとしては、そのほかにも半期ごとの新人賞や年間ベストコスメ受賞商品を対象にした「ベストコスメロゴの二次利用」サービスや、各種ランキング入賞アイテムを対象にした「ランキング/クチコミ二次利用」、@cosme(台湾)に投稿されたクチコミを自社公式サイトに自動掲出する「クチコミAPI」、タイアップページの制作など、日本とほぼ同じメニューを展開しています。

また、台湾の消費者のSDGsへの関心の高まりをうけて、各ブランドのSDGs関連ニュースやSDGsに準拠した商品を集めた特設ページを2021年8月に公開しました。ユーザーが SDGsを実践していくうえでの商品の選び方、買い方、リサイクルの仕方までを記事でレクチャーしたり、コンセプトに賛同するユーザーがサイト上でハンズアップ可能な仕組みもあるなど、ユーザーを巻き込む作りとしています。

>>@cosme(台湾)のサービメニュー概要についてはこちら

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SDGsの特設ページ

CMRIが、@cosme(台湾) のデータをもとに、台湾コスメ市場のトレンドを分析

そのほか、ウェビナーでは、@cosme(台湾)から抽出したユーザーの行動分析データや、意識調査の結果からみる台湾市場の現状やトレンド、2021年下半期の展望を陳からご説明しました。

i-TRUEでは、@cosme(台湾) に蓄積されるデータをもとに、台湾コスメ市場のトレンド・消費者行動の分析や予測を行なうCMRI(Cosmetic Marketing Research Institution:コスメマーケティング総研)も有しており、@cosme(台湾)の運営とともに、もう一つの事業の柱としています。

陳からはまず、台湾の美容マーケットサイズは日本の約9分の1であり、日本ブランドは欧米ブランドに次ぐ注目度があるものの、近年、台湾の国産ブランドが増加するに伴い、消費者のなかで台湾ブランドへの注目度が増している、ということが分析データをもとに語られました。

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@cosme(台湾)ユーザーの地域国別の注目度。
2019年と2020年に@cosme(台湾)で閲覧されたブランドを
国地域別にまとめ、その割合を注目度として数値化、比較した

また、2021年上半期のコスメ市場動向は、続くコロナ禍のなか新商品数が前年より減少するなど保守的傾向であるのと同時に、@cosme(台湾)上では、スキンケアとメイクアップの多くのカテゴリーでカテゴリー全体に占めるPV上位10ブランドへの関心度が下り、消費者の選択肢がより多様化している傾向がみて取れるとのことでした。 

陳は、「越境ECなど、購入チャネルが増え、台湾の生活者が日本ブランドの品を入手するハードルは以前より低くなったと同時に競争も増えている。台湾において日本製品への信頼感はいまだ強いものの、単に日本ブランドというだけでは今は弱い。ただ上位10ブランド以外にも関心度が分散している状況は、新規参入ブランドにとってはチャンスではないか」と解説します。

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2021年上半期の売り上げ上位10ブランドの関心度の割合変化(スキンケア)

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2021年上半期の売り上げ上位10ブランドの関心度の割合変化(メイクアップ)

また、2021年下半期の展望として、@cosme(台湾)ユーザーを対象にした意識調査の結果が紹介されました。このうち、W111111日)、W121212日)のセールでの購買行動について、2020年はどこで買い物をしたか、2021年はどこで買い物をする予定か」という問いでは、「ブランド公式サイト」と答えた人が2021年は62.5%となり、2020年の同セールにおいてブランド公式サイトで買い物をしたと答えた人の割合より18.2ポイント高い値でした。陳はこの結果について、「ここ数年、各ブランドが公式サイトの運用に力を入れるようになったこともあり、公式サイトで買うユーザーは増えるいっぽうだ。割引率は高くはないが、信頼性が担保できることを利点ととらえ、『公式サイトで買う割高感はそれほどない』という意識が消費者に広がってきている」といいます。

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2021年8月に実施したW11、W12についての
@cosme(台湾)ユーザーの意識調査結果。
(左)2020年の購入チャネルと2021年の購入予定チャネルの比較 
(右)2020年の使用金額と2021年の使用予定金額の比較

陳はまた、「今後台湾で日本ブランドを売っていくには、マーケティングの基本に忠実に、商品の情報を正しく発信し、より安心できるブランドだということを印象付けていくことが重要。その際に@cosme(台湾)上のオフィシャルページの活用や、そこから公式EC@cosme SHOPPINGに回遊をもたせることは非常に有効だろう」と説明します。

ウェビナーではほかにも台湾コスメ市場に関し様々な調査結果をご紹介しました。詳しくはアーカイブ動画をご覧ください。また、CMRIは台湾で定期的なミニレポートの配信や、年2回ブランド様をご招待したセミナーを実施しています。陳はCMRIの年2回のセミナーのタイミングで、日本在住の担当者様向けにも、@cosme for BUSINESSを通じて台湾に関する情報を発信していきたいと述べ、今回のウェビナーを締めくくりました。

>>ウェビナーのアーカイブ動画はこちら
>>@cosme(台湾)のサービメニュー概要についてはこちら

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