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【ランコム】ベスコス1位を獲得したクチコミ×EC×実店舗のメディアミックス戦略

【ランコム】ベスコス1位を獲得したクチコミ×EC×実店舗のメディアミックス戦略 サムネイル画像

日本ロレアル株式会社 ランコム事業部長(~2020年6月)
現・ロレアル社 イヴ・サンローラン・ボーテ アジア太平洋地域ジェネラルマネージャー 都築誠也 様

ランコムの「クラリフィック デュアル エッセンス ローション(以下、クラリフィック)」が、@cosmeをはじめとして各美容誌で2020年上半期のベストコスメ受賞4冠達成という快挙を成し遂げました。アイスタイルは、ランコムを擁する日本ロレアル様と、@cosmeのプラットフォームを活用したコンテンツ・Eコマース・製品開発を協働で推進する包括的なパートナーシップを20199月に締結していることから、今回のクラリフィックのローンチに際しても、さまざまな取り組みを支援させていただきました。本プロジェクトの全容をご紹介します。

<ブランドの特徴と課題>
全方位型のマーケティングから集中戦略への大転換

ランコムは、あらゆる国のあらゆる世代に向けて、“フレンチビューティ”のコンセプトに基づく全方位的なマーケティング戦略を、世界共通で展開しています。しかし、独自の美容文化が発達している日本市場では、徹底した集中戦略を採用する必要があると都築様は判断され、2013年から2015年にかけて、マーケティング戦略の大転換を図りました。

「外資系ブランドとしてベストセラー&ロングセラー製品を生み出すべく、どんなに素晴らしい新製品が出ようとも、顧客がランコムと最初に出会う場所では、絶対に同一カテゴリの製品を複数並べることはしない、“1カテゴリ1チャンピオン”を徹底すると決めました。たとえば、美容液では『ジェニフィック(正式名称はジェニフィック アドバンスト N)』1本で攻め続けるということです」(都築様)

化粧品の中でも、特に化粧水分野は日本ブランドが強く、市場競争は熾烈を極めています。ジェニフィックの成功を受け、新型コロナウイルス感染症の流行拡大直前の20202月の発売が決まっていた化粧水のクラリフィックでも、同様の集中戦略でトップを狙うことにした都築様は、インパクトのある新製品発表にあたって、包括的なパートナーシップを結んでいるアイスタイルのフィールドを最大限に生かしたローンチプロジェクトを断行されたのです。

lancom02ジェニフィック アドバンスト N

<施策>
@cosme独占先行発売と立体的な施策が奏功

 その背景には、@cosmeユーザーの皆さんが持っている「発信力」に期待を寄せ、ユーザーの皆さんとともにこの新製品を盛りあげていこうという意図があってのことでした。

 「一連のマーケティング施策のKPIとして最も重要視したのは、@cosmeのユーザーレビューに『リピート決定』と書いてもらえるかどうかでした。『リピ決定』や『リピ買い』という言葉が、そのクチコミを見たほかのユーザーの方にも確実に伝わっていくからです」

 クラリフィックの集中戦略は、まずは情報解禁日に、ブランドオフィシャル機能を使ったブログ発信で@cosmeユーザーに対して「速報」の告知から始まりました。

 その翌日には、@cosmeメンバーを招いて実施した発表会の様子をやはりブログで発信。同時期に広告タイアップ(※現・@cosme体験型コンテンツ)で製品の詳細を紹介し、プレゼント企画でユーザーが試せる機会を提供するなど、ブログコンテンツや広告タイアップでユーザーの期待感が十分に高まったところで@cosme SHOPPINGにおける限定先行予約をご案内しました。

 そして、全国販売に先駆けて、@cosme SHOPPING@cosme TOKYOでの独占販売。実は、化粧品業界の慣例からすると、百貨店などの全国発売に先駆けたECでの先行発売は異例のことでした。

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@cosme TOKYOでのクラリフィック 店頭ポップアップの様子

「@cosmeで圧倒的なリーチをとることにより、『ランコムがクラリフィックを発売することを知らない人は誰もいない状態』を築き上げ、注目する新製品を2週間も早く購入できた喜びをレビューとして書いてもらうことで、百貨店の売上も押し上げるはずと百貨店を説得して回りました」(都築様) 

そして迎えた独占先行販売当日は、ユーザーにさらに驚きとワクワク感を持ってもらうため、@cosme TOKYO@cosme SHOPPING@cosmeで同時多発的な企画を行いました。

 @cosme TOKYOでは、屋外サイネージ広告の掲出に加え、新製品を体験できるイベントの実施によって店頭がクラリフィックのイメージで埋め尽くされました。@cosmeではクラリフィックの関連ブログを15本、ブランドオフィシャル機能を使い一気に投下。これにより、アプリのトップ画面を一時ランコム一色にしたのです。

 加えて、広告企画として@cosmeや@cosme SHOPPINGのトップページをクラリフィックがジャックしたかのような期間限定配信のLPを掲載し、新製品発売に対するさらなる期待感を高めていきました。

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@cosmeの “ジャック風“ ランディングページ

<効果>
ファンとともに手にしたベスコス1位の栄冠

 「このように、@cosme・@cosme SHOPPING(EC)・@cosme TOKYO(実店舗)という3つのメディアを掛け合わせながら、集中的に施策を行いました。その結果、クチコミが増え、広告を目にしていないユーザーにも波及効果があったことから、好循環が生まれたと思います」(都築様) 

また、単に露出量を増やすだけでなく、正しく製品の価値を訴求しながら、ファンのエンゲージメントを高めることを大切にされたことで、@cosmeには「あらゆる肌悩みに対応してくれそうなので購入しました。(中略)期待して二本購入したので使い終わる頃どんな肌になるか楽しみです!」「酵素の力で肌のターンオーバーを整えてくれると聞き購入しました。(中略)導入美容液と並行使用し1週間経ちますが、肌が明るくなり少しシミが薄くなってきた気がして、継続使用した後の肌の変化が楽しみになる化粧水です!」といった、商品の内容をしっかりと理解したうえでの高評価のレビューが続々と投稿されていきました。 

そして全国販売開始から40日間連続で@cosme SHOPPINGでの売上ランキング1位を記録。全国発売から約1ヶ月後には@cosmeでの化粧水ランキングでも1位を獲得したほか、美容誌などのベストコスメの受賞にも至りました。

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撮影/五十嵐 真

<その他の施策・今後の展望>
顧客とともに進化し続けるブランドへ

 最後に、都築様の事業戦略における考え方を表すエピソードの一例として、ランコムのもうひとつの人気アイテム、ジェニフィックの「美肌菌」のニックネーミングについてご紹介します。美肌菌とは、ランコムが定義した皮膚常在菌叢(そう)のことです。 

「かつてランコムでは、製品がメディアに露出する際に、テクノロジーとサイエンスの詳細を全面に打ち出すことで、その説得性を高めてきました。しかし、SNSが隆盛する今の時代においては、事実としてテクノロジーとサイエンスによる裏付けはありつつも、『美肌菌』という“SNS映えするコンセプト”を打ち出すほうが重要であると考えました」(都築様) 

「美肌菌」というキャッチーなニックネームは、ジェニフィックの商品画像とともに、@cosmeのレビューだけでなく、他の美容アプリのクチコミや、TwitterInstagramなどのSNSでも、数多く投稿される結果となりました。 

都築様は、戦略は入口と出口が大事だといいます。ブランドにとって正しい戦略をたてることが入口とすれば、出口は「顧客にランコムというブランドがどう見えているか」です。それを知るために、ユーザー向けの新製品発表会にも参加し、顧客の目線に立って追体験することをとても大切にしているそうです。ランコムの目覚ましい成果の裏には、常識や固定概念に縛られることなく、いつも顧客に寄り添い続けてきた都築様の姿がありました。


Text:
野本纏花

 

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