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COLUMN

トレンドコラム

【事例分析】台湾で動員9万人を記録した「体験型OMO」の舞台裏|Z世代を惹きつける空間設計と顧客データ(CRM)活用の戦略

【事例分析】台湾で動員9万人を記録した「体験型OMO」の舞台裏|Z世代を惹きつける空間設計と顧客データ(CRM)活用の戦略 サムネイル画像

日本ブランドに対する注目が年々高まる台湾コスメ市場。しかし、個別のブランドが単独で現地に進出・展開する場合、「高額な出店・プロモーションコスト」「現地での認知獲得の難しさ」「単発イベントで終わり顧客データが残らない」といった大きな壁に直面することが少なくありません。

2026年6月10日(水)から6月22日(月)までの13日間、台北の一等地「新光三越デパート南西1館」にて開催された、台湾@cosme主催の第5回ポップアップイベント「@cosme Beauty Ranking Tour 美妝遊樂園 #PRO級コスメ体験」は、こうした海外展開の課題を突破する1つの先進モデルとなりました。

本イベントが「先進モデル」と位置づけられる理由は、単なる一回限りの話題化や物販イベントにとどまらず、従来の海外展開における構造的な課題を解決する3つの統合的な仕組みを確立・実証した点にあります。

  1. 個社の参入障壁を下げる「共創型プラットフォーム」
    (単独出店のコスト・運用負荷の削減)

  2. テクノロジーを活用した「自発的探索から接客へ繋ぐOMO体験」
    (現地での認知獲得と質の高い商品体験の創出)

  3. LINEログインによる「スムーズな体験参加と継続的な顧客接点」
    (リアルタイムのデータ蓄積と個別追客)

本レポートでは、2023年より回を重ねて進化してきた自社主催ポップアップの最新事例から、累計約9万人(1日平均約7,000人)を集客し、Z世代を中心とした潜在層の囲い込みと顧客データ(CRM)獲得を同時に実現した「体験型OMO」の戦略と実践知を、@cosme(台湾)現地チームの知見とともに解説します。

館内全体を巻き込む集客設計
「認知」を確実に「体験」へ変える立体プロモーション

海外市場でのマーケティングにおいて、最初の壁となるのが「現地生活者への認知拡大」と「イベント会場への誘引」です。今回のイベントでは、台北でも屈指の活気を見せる中山商圏の中心地「新光三越台北南西店」の9階イベント会場(約140坪)を拠点とし、主に2つの要素(集客ルート)を組み合わせて立体的な集客を実現しました。

オンラインからオフラインへの送客
特設ページの開設と@cosmeプラットフォームの活用

台湾@cosmeのWebサイトやアプリ、SNS、メルマガなどの自社メディアを通じた事前告知に加え、オンライン上に専用の「特設企画ページ」を開設。特設ページ内では事前情報の発信にとどまらず、オンライン上で体験できる各種診断コンテンツ(パーソナルカラー診断やフレグランス心理診断)や肌診断の事前予約、会場マップの確認、限定クーポンの事前配布などを一元的に提供しました。来場前から「自分に合うコスメに出会える」期待感を醸成し、事前診断やクーポン受取をきっかけとしてリアルなイベント会場へとスムーズに導く、強固な「オンライン to オフライン(O2O)」の送客ラインを構築しました。

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館内フリー客の呼び込み
館との取組連携による館内動線ジャック

百貨店(新光三越)を訪れるフリー客(買い物客)を9階会場へ確実に導くため、MRT(地下鉄)駅出口付近での基本情報の告知から始まり、デパート1階入口の大型LEDディスプレイ、地下通路のデジタルサイネージ、さらにはエレベーター内の「9階ボタンの隣」への告知ポスター設置にいたるまで、館内全体の動線に応じた緻密な誘導を設計しました。なお、こうした館内での露出や誘導施策は、会場パートナーである新光三越との事前協議や話し合いを丁寧に重ねる中で、連携施策として決定・実施されたものです。

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これらオンラインと館内動線の両面からのアプローチにより、13日間の会期中に累計約9万人(1日平均約7,000人)を集客し、1人あたりの平均滞在時間は約820秒(約14分)に達しました。

ではなぜ、これほど長い滞在時間が生まれたのでしょうか。イベントの空間設計にあたり、@cosme(台湾)現地プロジェクトチームが何より重視したのは「単なる商品購買の促進」ではなく、来場者一人ひとりの意識を変えるストーリー(ジャーニー)の構築でした。

企画の段階から、イベント全体を「自分を知り(Identify)、心で感じ(Experience)、より良い自分へと近づいていく(Evolution)」という体験ストーリーとして設計。入り口でいきなり購買を促すのではなく、オンライン診断や入り口の肌診断で「自分に合うものを知りたい」という探求心を醸成し、その悩みに対応する解決策や商品がすぐ近くで見つかる空間構成にしています。さらに、スタンプラリーなどの周回施策だけに頼るのではなく、来場者が自発的に足をとめて回遊を楽しめる空間動線を組んだことが、平均約14分という深い滞在につながりました。

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1社単独の限界を突破する
共創型プラットフォームによる「国境を越えた商品体験」

1社単独での海外イベント開催や販路開拓は、多大な費用と現地運用のハードルが伴います。これに対し@cosmeは、複数ブランドが共同で美容トレンドの熱量を創出する「共創型プラットフォーム」として機能しています。

会場には、日本(約70ブランド)、韓国(約50ブランド)、台湾(約30ブランド)、欧米(約30ブランド)など、多様な国や地域の計約180ブランド(物販は約100ブランド、約1,600点)が一堂に会しました。SNSで話題性の高いトレンドアイテムや、現地の実店舗では通常手に入りにくい注目商品を豊富に取り揃えるとともに、台湾未発売のアイテムも34商品展示。生活者にとって「ここに来れば最新コスメがすべて試せる」場を構築しました。さらに今回の目玉として、これまでの日本・台湾に新たに韓国を加えたアジア3地域(日本33商品、台湾66商品、韓国27商品)のベストコスメ受賞商品・計126商品を一斉に自由にお試し体験できる「ベスコスウォール」へと拡張・展開しました。

海外市場へ単独で参入する場合、イベント企画や現地運用にかかる費用と負荷はブランドにとって非常に大きな壁となります。@cosmeが提供する共通のOMOパッケージと統一された世界観を活用することで、ブランドは運営負荷を最小限に抑えながら、信頼性の高い文脈で現地の消費者にアプローチすることができます。

特に今回初の取り組みとなった3地域の「ベスコスウォール」のように、アジア各地のベストコスメを横断展示する仕掛けは、単なる商品紹介を超えて「今アジアで最も支持されている」という絶大な説得力を現地生活者に与え、購買へのハードルを大きく下げる役割を果たしました。

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「知る・試す・繋がる」を滑らかに設計
テクノロジーとLINE連携で作る体験型OMO

リアルイベントの課題として「その場限りの体験で終わり、帰宅後の購買やデータCRMに繋がりにくい」点が挙げられます。多くの来場者が行き交うイベントにおいて、セルフサービス型の体験で最も重要なのは、機能を複雑にすることではなく「これは自分とどのような関係があるのか」を数秒で直感的に理解してもらうことです。今回は、消費者の自発的な行動を促す体験設計と、継続的な顧客接点を作るデータ連携を組み込みました。

特に今回の大きな特徴は、日本と同様に台湾でも最も利用率が高いSNSである「LINE」へのログインを会場体験の入口(エントリー)に設定した点です。高解像度分析による「AI肌診断(Focuskin)」(オンラインの簡易診断約1,800名体験、会場における詳細診断約700名体験)、四季カラーをベースとした「パーソナルカラー診断」(約2,400名参加)、「フレグランス心理診断」(約1,900名体験)の3つの診断が生活者の自己理解(Identify)を促進し、「自分に合うものは何か」を数秒で直感的に理解できます。各種コンテンツを試す際、LINEを通じてログインすることでスムーズに体験をスタートできます。さらに、QRコード読取(約700名利用)で膨大なクチコミからAIが要点を抽出する「AIクチコミサマリー」も導入しました。このセルフテクノロジーはBA(ビューティーアドバイザー)を代替するものでありながらも、生活者が自分のペースで比較・探索を始める『入口』として機能し、自身の悩みや目的をクリアにした上でBAへの相談や商品試用に向かえるように支援する、双方の相乗効果を生み出しています。そして、これらの診断結果やサンプリング受け取りなどの各種体験データは、LINEアカウントと紐づく台湾@cosmeの個人マイページ(MBD:My Beauty Diary)へリアルタイムで自動的に蓄積・統合される仕組みを構築しています。

@cosmeが本イベントで何より大切にしているのは、会場で生まれたひとつひとつの出会いや体験をその場限りにせず、帰宅後も生活者一人ひとりに寄り添いながら、ブランドとの心地よい関係性を育んでいくことです。例えば、サンプリングマシンでサンプルを手に取られた方やミニコスメを購入された方に対し、イベント終了後1〜2週間が経ったベストなタイミングで、該当ブランドの丁寧な製品解説やおすすめの使い方、EC・店舗へのご案内といったアフターコミュニケーションをお届けしています。一回限りのイベントで終わらせず、生活者とブランドの温かい繋がりを深めていくこの仕組みは、出展ブランド様からも高く評価されています。

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公式プロモーションを超える「自発的バイラル」はなぜ起きたのか?

本イベントでは、公式SNSでの事前発信や134名の招待KOL施策といった公式プロモーションを展開しましたが、実際の現場ではそれを遥かに超える自発的な投稿(UGC)の連鎖とバズが巻き起こりました。この想定以上の自発的バイラルは、なぜ生まれたのでしょうか。その背景には、「商圏(土地)の特性とThreadsの親和性(土地のマッチ)」、そして「思わず発信したくなる体験空間の設計」という2つの要素の掛け合わせがありました。

まず、トレンド発信地である「中山エリア」という開催地の特性に加え、台湾が若年層を中心に世界屈指の利用率を誇る「Threads大国」である背景が重なり、情報がリアルタイムに拡散されやすい素地がありました。公式SNSでの熱量醸成に加え、初日にはフォロワー数わずか9名の一般ユーザーによるThreads投稿が急拡散。「台湾で日本の店舗体験ができる」と若年層の間で一気に話題化しました。さらに、会場内には美容系(新商品の試用感想)、ライフスタイル系(空間の世界観)、若年層向け(フォトスポットや体験ミッション)など、ジャンルごとに発信しやすい切り口を多角的に用意しました。こうした緻密な空間設計がクリエイターの意欲を刺激し、招待枠外のKOL(約40名・約130投稿)による自主的な来場と自発的な発信を強力に誘発しました。

そして、オンライン上で巻き起こった若年層の熱量は、リアル会場での行動(体験結果)へダイレクトに波及しました。その成果はLINE連携サンプリングマシン(約4,000個配布)の利用者データにも顕著に現れており、15〜24歳の若年層(Z世代)構成比が23.0%(前年比約+10ポイント)へ跳ね上がり、新規会員比率も約68%(同約+9ポイント)へ急増。デジタル上の自発的バイラルが、リアル会場でのサンプリング体験および新規ファン獲得へと直結したことが実証されました。

非招待KOLが自主的に集まったのは、単に発信しやすい仕掛けがあったからだけではありません。2023年からの実績によって『@cosmeのイベントに行けば間違いない』という確固たる信頼とブランド価値が、台湾のクリエイターコミュニティに定着していたことも大きな要因となっています。

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データから読み解く
台湾市場で「今売れる」価格帯と人気カテゴリー

イベントでの実購買データは、台湾進出やMD展開を検討する上で貴重なマーケットインサイトとなります。

購入価格帯を見ると、取引件数の最多は約5,000円以下(1,000元以下)、売上金額の最多は約5,001〜10,000円(1,001〜2,000元)となりました。トライアルサイズやセレクト商品の複数買い(ついで買い)が定着し、総販売点数は約1万6,000点に達しました。また、カテゴリー別の売上構成比では、スキンケア(28%)、ヘアケア(20%)、ポイントメイク(15%)、ベースメイク(15%)、クレンジング・洗顔(9%)、メイクツール・化粧小物(6%)という結果が得られました。なお、ヘアケアが売上第2位となった背景には今回はヘアケアの協賛ブランド数が充実していた点が挙げられますが、実際の会場内ではポイントメイクやベースメイクを熱心に試す生活者の姿も数多く見られ、メイクカテゴリーに対する体験ニーズの高さも窺えました。

1,000元以下が最多の購入件数を生み出し、1,001〜2,000元が売上の主要ゾーンとなった要因には、仕掛けとしての「Mini Cosme(ミニコスメ)」コーナーの存在があります。
この「Mini Cosme」コーナーは、単に小容量商品を一箇所に集めただけの展示ではなく、エリア内でも利用シーンや購買モチベーションに応じたきめ細やかな「キュレーション型体験空間」として展開しました。単なるミニサイズの販売にとどまらず、生活者のシチュエーションに寄り添った空間づくりを行ったことで、新しいブランドやテクスチャーを試す心理的ハードルを大きく下げ、会場内での自然な「ついで買い」や複数点購入を誘発しました。これは生活者への試用促進にとどまらず、ブランド様にとっても『海外の新規顧客に自社商品を実際に持ち帰って使ってもらい、リアルな使用体験(ファン化への初回接点)を確実に築く』という戦略的なフックとして機能しています。
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協賛・視察ブランドの反応と今後の展開

出展ブランドからは会場作りの丁寧さやターゲットユーザーとの親和性、OMO効果などについての高評価を多く寄せていただきました。また、イベント企画やデータ分析など今後の継続的な協業についても、高い関心と具体的な検討意向を示されました。

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@cosme(台湾)のポップアップは、これまで毎年夏に2週間のイベントとして開催してきましたが、2026年12月1日から2027年2月28日までの3ヶ月間、新光三越(信義エリア)にてテーマ型の期間限定店舗「POP-UP STORE」を展開する新たなプロジェクトを始動します。

12月はベストコスメ、1月は日韓話題コスメ、2月は旧正月に合わせたテーマなど、月替わりで大きな特集を展開する予定です。短期イベントの爆発力と中長期の店舗体験を融合させることで、日本のコスメブランドが台湾・アジア市場で着実にファンを増やせるプラットフォームとして、@cosmeはこれからも支援体制を拡張してまいります。

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【ブランドご担当者様へ】
台湾ポップアップイベントへの出展・協賛や海外進出支援のご相談を承っております

@cosmeは、台湾での定期的なポップアップ開催および新たな3ヶ月限定ストア展開をはじめ、海外市場への進出を目指すブランドを強力にサポートするプラットフォームを提供しています。

「自社単独での海外進出はハードルが高いが、J-Beautyのプラットフォームを通じてテスト販売をしたい」「KOLを活用して現地での認知を急速に拡大させたい」「詳細な体験者データをもとにCRMリマーケティングを行いたい」といったブランドご担当者様は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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