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コロナで高まる「美容医療・整形」への興味/「美容医療・整形」コンセプトの化粧品も注目

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する「リサーチチーム」があります。1,700万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの知見をご紹介します。今回のテーマは、「美容医療は化粧品の脅威となるのか?」  です!

はじめに:コロナで高まる「美容医療・整形」への興味/「美容医療・整形」コンセプトの化粧品も注目

ベースメイクが薄くなりシミが気になるようになった、マスク生活、人に会わないこの期間を利用して、などコロナ禍で「美容医療・整形」に興味を持つ人が増えていると聞きます。2022年1月に15~59歳の@cosmeメンバー1万人に対し実施した調査では、3割強が、コロナ禍によって顔の「美容医療・整形」への関心が「とても興味があがった/やや興味があがった」(5段階で聴取)と回答しました。

また、@cosmeのクチコミの中で「美容医療」というワードがどの程度投稿されるのかを調べたところ、まだまだ件数は多くはないものの2021年は前年比の2.8倍の出現率となり、関心の高まりを感じさせます。加えて、昨年末に発表した@cosmeベストコスメアワード2021では、「ベスト二重・涙袋ライナー」部門が新設されるなど、「美容医療・整形」を連想させる化粧品へのニーズも注目されます。

では、顔の「美容医療・整形」へ興味を持つ人が増えることは、化粧品業界にとってマイナスの影響となり得るのか? ウェビナーなどでブランド様からも質問をいただくことが増えてきたこの問いに対し、@cosmeメンバーに対する調査(Web・インタビュー)からみえてきた現状をお伝えしたいと思います。化粧品への興味や支出金額が高い人達の声としてヒントとなれば幸いです。

顔の「美容医療・整形」経験者は約3割/メイク系目的(アートメイク、二重埋没法、涙袋形成など)は1割未満

@cosmeメンバーのうち、顔の「美容医療・整形」経験者は約3割。スキンケア系目的(毛穴、シミ取り、しわ取りなど)及びメイク系目的(アートメイク、二重埋没法、涙袋形成など)に分けると、スキンケア系目的が2割台半ば、メイク系目的が1割弱とスキンケア系を目的とした利用が、経験者の9割弱に及びます。さらにメイク系目的のみの経験者は全体の3%と少なく、スキンケア系目的との併用者の方が多いことが分かります。

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次に、それぞれの目的別での経験者の年代分布を比較すると、メイク系を目的とした経験者で20代の率が高く、若年層でより利用されている様です。

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続いて職業をみてみると、年代では全体と比較して大きな違いがみられませんでしたが、経験者で「会社員」の比率が高く、自由に使用できるお金や他者との接触の多さなどが影響を与えている可能性が考えられます。「会社員」という立場上、ダウンタイムをより気にする人たちが多いことが予想されます。化粧品の視点でいうと、ダウンタイム中も気にせず安心して使用できるスキンケアや施術後の肌を目立たなくカバーできるメイクアイテムなどにチャンスがあるかもしれません。

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経験者は化粧品への支出高く、さらに化粧品以外の興味も高い

続いて、嗜好性をみていきます。経験者で「最先端の技術や成分」や「ドクターズコスメ」への興味が高いことや、また「クリニックやエステ系の化粧品」を利用する人が比較的高いことが特徴として挙げられます。広い意味で「医療や技術」に対しての感度が高い人達と言えそうです。

さらに、「インナーケアへの興味」「美容家電・美顔器の使用率」「エステ利用率」の高さなど化粧品以外のものの受け入れが比較的多い人達である様子も窺えます。

(なお、スキンケア目的、メイク目的それぞれの経験者別による大きな違いはみられなかったためグラフでは割愛しています)

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次に、月々の化粧品への支出金額を調べたところ、スキンケア・メイクアップアイテムともに、経験者で支出金額が高いことが分かりました。「美容医療・整形」にお金をかける分、化粧品には安く済ませるという考えではなく、化粧品業界にとっても良顧客となり得る人たちであると推察されます。

顔への「美容医療・整形」経験が化粧品への興味を押し上げる

最後に、経験者に対し「【顔】への施術やサービスを受けたことにより、あなたの化粧品への関心/化粧品にお金をかけてもいいと思う気持ち/化粧品でケアを頑張りたい気持ちに変化があったのか?」という直接的な問いかけをしたところ、スキンケアで7割弱、メイクアップ・ベースメイクで5割半ばが「とても増えた/やや増えた」(5段階で聴取)と回答しました。

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顔への「美容医療・整形」は、化粧品に取って代わるものではなく、むしろより化粧品への関心を高める影響があるとも言えそうです。

さらにインタビューでは、以下の様に「美容医療・整形」経験後、積極的に化粧品を購入する声が聞かれました。

<シミ取り施術経験者>

・薄いシミがとれただけでこんなに印象が変わるんだと思い、さらに化粧品にお金をかけるようになった。今まではメイクで隠そうと思っていたが、肌の質感が変わると印象がすごくかわるということに改めて気が付いた。そこから、スキンケアやファンデーションに注力するようになった

<二重まぶた施術経験者>

・二重にしてから、目を大きく見せることにこだわりを持たなくてよくなり、選ぶ色の幅が広がった。メザイクやアイテープ、アイプチをしてもよれない前提でアイシャドウやベースメイクを選んでいたが、オイルやリキッドタイプなども気にせず選べるようになった

特にスキンケアは「化粧品は予防のため」、「美容医療はできてしまったもののケアのため」と目的を分けて捉えている様子がみられ、受けた施術の効果を高めたい、継続させたいといった気持ちから、日々の化粧品によるケアも頑張りたいという気持ちが強くなるという側面もあるのではないでしょうか。「美容医療後の肌に」「次の施術までの間に」といったコミュニケーションも有効となるかもしれません。

「美容医療・整形」を連想させる化粧品もチャンスあり?

続いて、「美容医療・整形」を連想させる化粧品の広告・コンセプトに魅力を感じるか聴取したところ、スキンケア化粧品、メイク・ベースメイク化粧品ともに4割弱が「あてはまる/ややあてはまる」(5段階で聴取)と回答しました。特に「美容医療・整形」経験者が少ないメイクでの受け入れがスキンケアと同等であることが注目されます。スキンケアのメニューを調べる中で、メイク系の知識も培っていたり、メイク系の意向はあるものの、施術を受けるに至らないといったケースもあるのかもしれません。

さらに、顔への「美容医療・整形」経験別にみると、「経験者」及び「経験はないが意向がある人」で比較的高い結果となりました。経験者のみならず、未経験意向者も「美容医療・整形」を連想させる化粧品のターゲットと言えそうです。

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あったら魅力的なアイテムはスキンケアなら「美容液」。20代以下は「美白」/30代以上は「エイジング」

次にコンセプト受容者に対して、どんなアイテムとの相性がいいと思うかと尋ねたところ、スキンケアでは「美容液」が6割強で最も高く、次いで「ピーリング」「ブースター・導入液」と続きました。また、魅力的な効果は「エイジングケア」が7割強で最も高く、次いで「美白ケア」「毛穴ケア」となりました。

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年代別で見てみると、20代以下では「美白ケア」、30代以上では「エイジングケア」が最も高い結果となりました。

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また、インタビューでは、「美容医療・整形」を謳うスキンケアに対して、効果の高さや研究開発に裏付けされているイメージを抱く、高価格帯の商品が多いのではないかという声が聞かれています。 

あったら魅力的なアイテムはメイクアップアイテムなら「二重・涙袋ライナー」

「メイクアップ・ベースメイク化粧品」のアイテムは、「二重・涙袋ライナー」が4割強で最も高く、次いで「ファンデーション」「アイブロウ・眉毛」でした。

「二重・涙袋ライナー」とは、二重の線や涙袋(下まぶたのふくらみ)の影を描くためのアイライナーで、クチコミでは使用することで「目元が整形級に変わる」など言われるメイクアップ化粧品です。

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年代別で見てみると、30代以下は「二重・涙袋ライナー」、40代以上は「ファンデーション」が最も高くあげられました。「二重・涙袋ライナー」は、全ての年代で上位3位に入り、「美容医療・整形」を連想させるメイクアップ化粧品として全ての年代に支持されていることが窺えます。

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インタビューでも、「”二重・涙袋ライナー”など直接的な表現の方が特徴が分かりやすい、商品がたくさんあるので、特化しているということが分かる方がいいと思う」との声が聞かれ、「二重・涙袋ライナー」という表現から二重延長や涙袋成形といった美容医療・整形を施したような仕上がりを連想する様子が見られました。また、スキンケアでは高価格帯の商品がイメージされたのに対し、メイクアップアイテムでは試しやすい価格帯の商品の受け入れが高く、スキンケアよりハードルが低く、より多くの人たちに手に取ってもらえる可能性を感じました。

おわりに

ここまで示した通り、「美容医療・整形」への興味の高まりは化粧品業界に対してプラスの影響を与えうるだろうと考えています。@cosmeメンバーの約7割が顔への「美容医療・整形」に「興味がある」と回答しており、今後の動きも引き続き注目していきたいと思います。

■調査概要
美容に関するアンケート
調査地域 :全国
調査方法 :Web調査
調査時期 :2022年1月14日(金)~16日(日)
調査対象者:@cosmeプロデュースメンバー/全国/女性/15-59歳
(@cosmeの年代構成比に合わせ割付)
調査対象者数:10,290人

>>結果詳細はこちらをご覧ください

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