COLUMN

トレンドコラム

大賞はディオール「ディオール アディクト リップ マキシマイザー」 @cosme上半期ベストコスメレポート2023

大賞はディオール「ディオール アディクト リップ マキシマイザー」 @cosme上半期ベストコスメレポート2023 サムネイル画像

アイスタイルには、「@cosme(アットコスメ)」に蓄積された1,800万件を超える膨大なクチコミをはじめ、アクセスデータや意識調査・インタビューを通して、生活者に触れ続けているリサーチチームがあります。今回のテーマは『大賞はディオール「ディオール アディクト リップ マキシマイザー」マスク着用緩和でメイク&リップ需要本格復活!|@cosme上半期新作ベストコスメレポート2023』です!

本コラムでは未公開のデータを含むデータ集のダウンロードはこちら>>

<はじめに>「@cosmeベストコスメアワード2023上半期新作ベストコスメ」とは

「@cosmeベストコスメアワード」とは、@cosmeメンバーから寄せられたクチコミ投稿をベースに、今、生活者が支持している商品を表彰するアワードです。
「@cosmeベストコスメアワード」の選定方法はこちら

なかでも「@cosmeベストコスメアワード2023上半期新作ベストコスメ」は、この半年間(昨年11月1 日~本年 4月30日)に発売された新商品を対象としており、「@cosmeベストコスメアワード」の上半期における新人賞となっています。

集計対象期間: 2022年11月1日~2023年4月30日
集計対象クチコミ件数: 107,628件
集計対象アイテム数: 3,727アイテム

「@cosmeベストコスメアワード2023 上半期新作ベストコスメ」ハイライト

 ■総評
 ■2023年ベスコス全体傾向

 ■メイク・リップ需要復活、総合大賞受賞の背景
 ■受賞商品からみえるトレンド分析
 1)商品選択はますます賢く
  ①顔タイプ診断 ②ミドルコスメ ③サブスク
 2)透明感は首や爪先まで「爆上げ」
 3)スキンケアのニーズは成分・〇〇フリー・角質ケア
 4)マスク着用緩和で、ベースメイクニーズが多様化
 5)新作コスメは形状・素材・技術が進化!

<総評>メイク需要本格復活の兆し!マスク着用緩和をうけて生活者も前向きな気持ちに!

新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいた化粧品業界。昨年後半からは、外出機会が増えてきたことやマスク着用の緩和を受けて、本格復活の兆しを見せています。
@cosmeの旗艦店「@cosme TOKYO」では、2023年4月の月間売上が4.5億円を超え、2020年1月のオープン以降最高を更新し、昨対比165%となりました。なかでもメイクカテゴリの売上は昨対比171%となり、メイク意欲の回復がうかがえます。また、訪日外国人客数も増加傾向で、4月の免税売上比率は全体売上の約20%を占めるなど、随所に化粧品需要の回復が感じられる半年間でした。

2023年5月に実施した@cosmeユーザーを対象とした「化粧品に関するアンケート」(以下、ユーザーアンケート)によると、ここ半年で「漠然とした不安」を感じるようになったと回答した人が、前回調査の2022年11月と比較すると、57.1%から47.5%へと9.6ポイント減少し、反対に「将来への期待」を感じるようになったと回答した人は、24.4%から31.6%へと、7.2ポイント上昇しました。この半年間で、生活者が前向きな気持ちに変化したことがうかがえます。
また「人前でマスクを外す機会」が増えたと回答した人は53.4%と半数以上を占め、前回調査の26.0%から倍増する結果となりました。今年3月にマスク着用が個人の判断となったことも後押しとなり、生活に大きな変化が起きているようです。

上半期ベスコス1-1

※本コラムでは未公開のデータを含むデータ集も近日公開予定です※

<2023上半期新作ベストコスメ全体傾向>
コロナ禍3年を経て、総合TOP3がメイクカテゴリに!

外出自粛やマスク着用の影響を受け、総合TOP3をすべてスキンケア商品が占めたコロナ禍1年目の2020年から3年を経て、@cosmeベストコスメアワード2023上半期新作ベストコスメ総合TOP3は、大賞と2位がリップ、3位がチークとメイクカテゴリが占め、メイク需要の本格復活を裏付ける結果となりました。
上半期ベスコス2

ユーザーアンケートでも、この半年間の意識や行動の変化として、「ファンデーション/チーク/アイメイク/リップメイクが薄くなった/しなくなった」という回答が、前回調査に比べ全体で約10ポイント減少し、メイクをする習慣や気持ちが戻ってきた様子がうかがえます。

総合大賞受賞の背景~メイク・リップ需要復活~

新商品を中心に生活者のニーズが「マスクにつかない」より「メイクの楽しさ」に変化?!

前述の通り、2023年上半期はメイク需要が本格復活した半年となりました。2023上半期新作ベストコスメ総合大賞に輝いたディオール「ディオール アディクト リップ マキシマイザー」はその象徴といえるでしょう。

同時にリップアイテムの人気の傾向にも変化が起きました。

ユーザーアンケートでは、リップメイクに対する気持ちや行動にあてはまるものとして「リップメイクを楽しみたいという気持ちが戻ってきた」と回答した人が全体の約半数の48.7%に及びました。さらに、「マスク移りを気にせず、ツヤを楽しみたい」と回答した人も43.9%おり、「リップを塗る機会が増え、改めてマスクにつかないリップアイテムが気になるようになった」という回答を約13ポイント上回る結果になりました。

上半期ベスコス

この変化は、ディオール「ディオール アディクト リップ マキシマイザー」について投稿されたクチコミにも現れています。同期間に投稿された同カテゴリ商品へのクチコミと比較してみると、この商品には「テンション-上がる」や「色-かわいい」といった特徴的なワードが見られました。

上半期ベスコス4

一方で、マスクにつかないことや、落ちにくさがまったく意識されなくなったというわけではないようです。@cosme TOKYOの売上をみても、「マスクにつきにくい」ことをうたった商品が引き続きリップカテゴリの売上上位になっています。とはいえ、生活者の支持をもっとも受けた商品である総合大賞が「ディオール アディクト リップ マキシマイザー」であることから、新商品を中心に、生活者の商品選択において「マスクつかないという機能」よりも「メイクを楽しみたいという気持ち」の優先度が高くなりつつあるといえそうです。

また、総合大賞と2位の両方が、唇にツヤやふっくら感を与えるアイテム「リッププランパー」であることも、2023年上半期新作ベストコスメの特徴です。クチコミにおけるワードの出現率でも「プランパー」が昨年比180%、「リッププランパー」は昨年比210%と伸長しており、関心が高まっていることがうかがえます。

受賞商品からみえるトレンド分析

1)商品選択はますます賢く

①顔タイプ診断
数年前から、パーソナルカラーといって、その人の肌や瞳、唇などの色、雰囲気に合う色の診断が流行しましたが、診断によるタイプ分けはさらに進化し、2023年上半期は顔の輪郭やパーツの形、バランスなどから似合うメイクや洋服のテイストを診断する「顔タイプ診断」が注目されました。

クチコミでも「顔タイプ」というワードの出現率が昨対比340%となったほか、「盛り耐性」(昨年比620%)、「奥目」(昨年比290%)、「毛穴タイプ」(昨年比190%)といった自分をタイプ分けするようなワードの伸長が目立っています。

ユーザーアンケートでメイクアップにおけるここ半年間の意識や行動の変化として、「顔タイプ・骨格タイプを意識することが増えた」と回答した人にその理由を聴取したところ、「自分の特徴を知りたい」という回答が最も多く、いずれの年代でも共通していました。

次いで、「自分を好きになりたい、自己肯定感をあげたい」「選択肢を絞ることができる、効率的に商品を選べる」「失敗するリスクを減らせる」「自分らしさを大切にしたい」の4つの理由が全体の5割前後で並んでいます。このアンケート結果からは、自分の特徴を知りたい/好きになりたい/自分らしさを大切にしたいという「自己肯定」の気持ちと、効率的に商品を選びたい/失敗するリスクを減らしたい「リスクヘッジ」の両方を満たせることが診断系コンテンツの人気の理由であることがうかがえます。

また、最も多くあげられた「自分の特徴を知りたい」以外の理由は、年代によって回答傾向に違いがみられました。10-20代の若年層では「自分を好きになりたい、自己肯定感をあげたい」、40代以上では「自分らしさを大切にしたい」という理由が2番目に多く挙げられました。若年層は一般的に、自分らしさを大切にしたい意識が強いといわれていますが、自分らしさを見つける前段階として、こうした診断をうまく取り入れているようです。
今後は「顔タイプ診断」によって知った自分の特徴に合うかどうかが、商品選択のひとつの基準として一般化するかもしれません。

②サブスク(美容家電)
今回、ベスト美容家電を受賞したのは、第1位Panasonic「バイタリフト RF EH-SR85」、第2位ReFa「ReFa BEAUTECH DRYER SMART」でした。いずれも高価格帯に分類される商品です。

近年、美容家電をお試しでレンタルしたり、月額制のサブスクで低価格で使用したりできるサービスが登場しています。前述の受賞商品におけるクチコミでは、このようなサービスが購入のきっかけになったという声が見受けられました。低価格で気軽に試用することは、失敗リスクを最小限にし、余計なモノを持たないエコなライフスタイルにも繋がる新しい消費行動だといえそうです。

ユーザーアンケートでも、自身の考えや気持ちに当てはまるものとして、「美容家電のレンタル・サブスクは魅力的だ」と回答した人が1割強おり、まだまだ少数派ではあるものの、今後もこのようなサービスが商品の購入のきっかけとして広がっていく可能性もありそうです。

②ミドルコスメ
コスメを価格帯で分けるときの一般的なカテゴライズとして、「プチプラコスメ」や「デパコス」がありますが、今クチコミでは、新たなカテゴライズワードとして「ミドルコスメ」や「ミドルプライス」といった言葉が伸長しています。

明確な定義ではありませんが、これまで化粧品業界では一般的に、「中価格帯コスメ」とは、ドラッグストアやバラエティショップなどのセルフチャネルで購入できる3000円前後の商品であると理解されてきました。

しかし、生活者の想起する「ミドルコスメ」や「ミドルプライス」の中には、既存の「中価格帯コスメ」と異なり、流通チャネルに囚われず、「少し高めのプチプラコスメ」や「少し安めのデパコス」も含まれていることがポイントです。

<価格別賞 ミドルプライス部門には、様々な流通チャネルの商品がランクイン>

「ミドルコスメ」や「ミドルプライス」のワードの出現数自体は多くありませんが、今後、この言葉が浸透していくことでニーズが顕在化し、プチプラコスメとデパコスという既存のカテゴライズに並ぶ第三の選択肢となっていくことが期待されます。

2)透明感は首や爪先まで「爆上げ」

ここ最近、「純欲メイク」や「白湯メイク」など、透明感を意識したメイクが流行しましたが、2023上半期新作ベストコスメ総合受賞商品でも、カラー展開がある商品は、「ラベンダー」「ライラックカラー」といった透明感を与えるカラーが人気でした。

https://www.istyle.co.jp/news/uploads/df40273b5b947e4d8a05b75b354e247fa1f99439.png
クチコミにおけるワードの出現率を見ると、透明感に関する新たな表現である「透明感爆上がり」というワードが昨対比190%となっています。またユーザーアンケートでは、メイクアップにおけるここ半年間の意識や行動の変化として、約40%が「透明感を意識したメイクをすることが増えた」と回答しました。

 さらに、最近では化粧下地などのクチコミで「首まで塗る」という声が聞かれるようになっています。これまでは首の色に合わせてベースメイクの色を選ぶことが主流でしたが、ユーザーアンケートでは全体で25.8%、特に10代の40.3%が「自分の肌よりも明るめなベースメイクを選ぶことが多い」と回答しており、トーンアップした顔の色にあわせて、首にも透明感を求めているようです。

また、ネイルカラー、ハンドケア、ヘアカラーなどのカテゴリの2023上半期新作ベストコスメの受賞商品でも、商品説明で「透明感」が訴求されおり、いまや透明感を意識するパーツは首や爪先などの細部まで広がっていることがわかります。

さらに、最近では化粧下地などのクチコミで「首まで塗る」という声が聞かれるようになっています。これまでは首の色に合わせてベースメイクの色を選ぶことが主流でしたが、ユーザーアンケートでは全体で25.8%、特に10代の40.3%が「自分の肌よりも明るめなベースメイクを選ぶことが多い」と回答しており、トーンアップした顔の色にあわせて、首にも透明感を求めているようです。

3)スキンケアのニーズは成分・〇〇フリー・角質ケア

ユーザーアンケートで、スキンケアにおけるここ半年間の意識や行動の変化を聴取したところ、「スキンケア化粧品に安心感を求めるようになった」という回答が前回調査から7ポイント以上減少しています。コロナ禍では、長時間のマスク着用よる肌荒れが影響し、鎮静効果のある商品に人気が集まったり、「肌のコンディションを一定に保つための守りのケア」へのニーズがありましたが、マスク着用が任意となったいま、徐々に「肌のアップデートを求めた攻めのケア」へとニーズが変化しつつあるのかもしれません。

上半期のスキンケアトレンドをみてみると、近年人気が高まった成分である「レチノール」というワードのクチコミ出現率が2020年からいまだに右肩上がりで伸びています。しかし一方で、刺激となる成分が入っていない「アルコールフリー」や、敏感肌の人でも使いやすい「酸化亜鉛フリー」といった「○○フリー」への関心も高まっていることが特徴的でした。総合10位にランクインしたナチュリエ「ハトムギ化粧水」もリニューアルによってアルコールフリー処方になったことが生活者から評価されています。

その他、総合9位にはKANEBOのふき取り化粧水「カネボウ ラディアント スキン リファイナー」が選ばれました。「ベスト化粧水」第1位にもこの商品が選ばれていることから、角質ケアのニーズがあることがうかがえます。

また、この上半期には新しい肌悩みとして「ビニール肌」というワードが出現し、昨対比200%と伸長しています。ビニール肌は、過度なピーリングやスクラブなどの角質ケアによる摩擦で角質層が薄くなり、肌のキメが失われて肌が弱くなっている状態を現したワードです。ビニール肌という悩みが出現したのは、角質ケアが一般に浸透したからこそともいえるでしょう。今後はビニール肌の対策や改善ができる商品の登場も期待されます。

スキンケアについては、「@cosmeベストコスメアワード2023 上半期新作ベストコスメ」と同時発表の「2023下半期トレンド予測」でも注目しています。マスクが外れる機会が増え、これまで隠れていた部分が露わになるようになったことで、スキンケアの意欲が改めて高まると予測しています。詳細はこちらをご覧下さい。
リリースURL:https://www.istyle.co.jp/news/press/2023/06/0608-trend.html

4)マスク着用緩和で、ベースメイクニーズが多様化

ベースメイクのトレンドをみてみると、コロナ禍でのマスク生活で増えた、化粧下地や日焼け止め、フェイスパウダーだけでベースメイクを仕上げる「ノーファンデ派」は上半期も健在でした。クチコミにおける「ノーファンデ」というワードの出現率も引き続き増加し、5年で380%と伸長しています。

また、2023上半期新作ベストコスメの総合第5位には生活者から「ファンデいらず」などと評価されているコスメデコルテの化粧下地「サンシェルター マルチ プロテクション トーンアップCC」がランクインしています。

一方で、総合第8位には、ファンデーションと合わせて使う「化粧下地」として、ファンデ派から評価されるマキアージュの化粧下地「ドラマティックスキンセンサーベース NEO」もランクインしました。

加えて総合第6位にランクインしたディオールのコンシーラー「ディオールスキン フォーエヴァー スキン コレクト コンシーラー」は、クチコミで、ノーファンデ派からは、ファンデーションを使わなくても肌をきれいに見せることのできるアイテムとして、ファンデ派にはコンシーラーとして評価されており、ノーファンデ派とファンデ派とが混在する受賞ラインナップとなりました。
ファンデクチコミなし.png

マスクの着用が任意になった今、今後のベースメイクのトレンド動向に注目です。

5)新作コスメは形状・素材・技術が進化!

2023年上半期新作ベストコスメは、革新的な商品が豊作でした。総合第7位のシートマスクであるルルルン「ルルルン ハイドラ V マスク」は、新開発された「HIFU感覚シート」が使われており、クチコミでもシートそのものが高評価でした。

また定番の形状以外の商品も登場しました。ベスト日焼け止め第2位のアディクション「アディクション スキンケアUV タッチアップ クッション」は、ファンデーションで一般的な形状のクッションタイプの日焼止めで、持ち運びに便利かつメイクの上から塗り直すことができる画期的な商品です。

更に、@cosme STORE ベストヒット賞 総合第8位のシュウ ウエムラ「クロマティックス クワッド」は、異業種である、自動車メーカーのマツダの塗装技術にインスパイアされたテクスチャが特長というこれまでにないアイテムです。

挿入画像4.JPG

おわりに

株式会社アイスタイルは、「@cosmeトレンド予測部」が、売上動向やクチコミ、その他関連データからみえる意識変化と、美容プラットフォーマーとしての知⾒から今後の生活者インサイトや美容トレンドを予測する「2023下半期トレンド予測」を発表いたしました。

ここでは、今後トレンドとなり得る芽をご紹介しています。生活者に向き合うためのヒントとなりましたら幸いです。

2023nexttrend_all.png

「@cosmeベストコスメアワード2023上半期トレンド予測2023 下半期トレンド予測」は@cosmeベストコスメアワードの企画であり、@cosmeに投稿されたクチコミや@cosme STORE/@cosme TOKYOでの売り上げ等の分析、その他ユーザーアンケートなど関連情報からみえる生活者の意識変化と美容プラットフォーマーとしての知見から、今後の生活者インサイトや美容トレンドを予測するべく発足された「@cosmeトレンド予測部」が、2023年の下半期のトレンドをキーワード化したものです。
>>詳細はプレスリリースをご参照ください

>>同時日発表「香港・台湾 上半期ベストコスメ2023」についてはこちら

本コラムでは未公開のデータを含むデータ集のダウンロードはこちら>>

CTAテスト画像
  1. 前の記事

  2. 次の記事

トレンドコラム一覧へ戻る