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「コロナと共に生きる時代」~化粧品における【ストレス】軽減を目指して

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Photo by Philipp Berndt on Unsplash

アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する「リサーチチーム」があります。1500万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの知見をご紹介します。今回のテーマは「コロナと共に生きる時代」~化粧品における【ストレス】軽減を目指して、です。

はじめに

皆様ご存知の通り、2020年5月4日、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、厚生労働省からは、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例が示されました。

自身のみならず、大事な家族や友人、隣人の命を守ることにつながる大切な行動だと分かっていつつも、「新しい生活様式」に慣れるまでのしばらくのあいだは、我慢を強いられ、【ストレス】を感じる日々が続くであろうことが予想されます。

大きな不満とまではいかなくても、化粧品を使うたびになんとなく【ストレス】を感じる瞬間があります。

「せめて、1つでもストレス源となり得ることを減らせたら」

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@cosmeは匿名ということもあり、不満の声が他のSNSなどと比較し、投稿されやすい場です。そうした特徴からも、@cosmeに寄せられた生活者の本音が、コロナと共に生きる時代へのヒントとなり得るのではないかと考えました。

以下、@cosmeのクチコミを元に分析した結果です。これからの製品開発やコミュニケーションを考えるうえで、何かのお役に立てますと幸いです。

市場全体を見渡せば、こうした消費の傾向はごく一部なものに過ぎないかもしれません。

ただ、そこには何かしらのヒントがあると考えています。

化粧品のどんなところに【ストレス】を感じる?

まず、@cosmeの中で、化粧品を使用して【ストレス】を「感じた」もしくは「感じなかった」と記述されたクチコミをランダムに抽出し、5年前の傾向と比較しました。

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世の中の流れに目を向けてみると、この5年間でスマートフォンの普及率は大幅に伸長。通信環境の向上などに伴い、より時間効率に対する欲求が高まった、我慢することができなくなったという声を耳にします。

そのため、化粧品に対しても許容できる範囲が狭くなったのでは?という仮説を持っていましたが、直近1年間と、5年前を比較して、【ストレス】を「感じた」という記述が、大幅に増加していることはないようです。

続いて、もう少し詳細に見ていくために化粧品に【ストレス】を感じる点を、大きく以下の5つに分類しました。

  1. パッケージ
  2. 効果感・機能・仕上がり(崩れ、落ちにくさ、発色など)
  3. 使い心地(テクスチャー、べたつき、伸び、なじみ、香りなど)
  4. 使い勝手(時短、速乾、使いやすい、便利など)
  5. 刺激や肌へのストレス

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最も【ストレス】を感じる人が多い点として『パッケージ』が約4割とトップに挙げられます。次いで、『効果感・機能性・仕上がり』『使い心地』が2割台半ばで続きます。

【ストレス】を感じることが多いとされた、上位3つの点について、特にどんなアイテムで言われているのかを調べてみました。

分析対象数が300件のため各アイテムの出現数は多くても5件前後となっています。あくまでも参考データとしてご覧ください。

■『パッケージ』で最も多かったのは、シャンプー・コンディショナー 

“トリートメントが残量半分切ったあたりから出てこなくなりました…!!!仕方なく蓋をあけて逆さにして出して使っていましたがなかなか出てこず、それがとてもストレスに。。。他はとても良いのに残念です。容器が改善されるまでリピは無しです”

ここ数年、シャンプー・コンディショナーのパッケージデザインはシンプルで洗練されたものが増えました。パッケージデザインに対する記述が増え、満足度が高まっている一方で、容器そのものについては、まだまだ改善の余地があるのかもしれません。

■『効果感・機能性・仕上がり』で最も多かったのは、マスカラ

“翌朝マスカラを塗ろうとすると前日のマスカラが綺麗に落ちていないのでとても汚くなってしまい物凄くストレスでした。説明にある通りお湯でふやかしてからメイク落としでオフすれば良いのかもしれませんが、オイルクレンジング利用なのでクレンジング前に顔を濡らすとメイクの落ちが悪くなってしまう。。私の生活スタイルには合わず”

お湯で落ちるマスカラへのニーズは高いものの、「お湯で落ちる(ほど手間がかからない)」という安心感を求めているのであって、実際はクレンジングで落としている人も多いのではないでしょうか。購入前のコミュニケーションやパッケージの使用方法の記載方法などを見直すことで、ストレスを軽減できる可能性があるように感じています。

■『使い心地』で最も多かったのは、クレンジング

“何回すすいでもジェルが残っている感じがしていつもストレスを感じていました。”

使い心地のよいジェルやクリーム、バームなどの需要も増える一方で、新しい感覚に慣れないという人も多いのかもしれません。技術力への期待はもちろんのことですが、こちらも『効果感・機能性・仕上がり』同様、コミュニケーションで補える部分はあるのではないでしょうか。

総じて言えることは、生活者の思い込みや過度な期待を取り除いてあげることも大事な役割であるということです。

5年前に比べて「ストレス」を感じる・感じなくなったものとは?

次に、これらの項目が5年前と比べてどのような変化があったのかを調べてみたいと思います。

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変化のあった項目の詳細をみていきましょう。

①まず、5年前と比較し<【ストレス】を感じられづらくなった

と思われるものとして『使い心地』『使い勝手』2つが挙げられます。

『使い心地』は、例えばクチコミ全体の中で「べたつく」というワードの出現率が年々減少しているというデータなどからも、ストレスを感じられづらくなっている様子が垣間見られます。

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また、『使い心地』の【ストレス】が減った背景には、おそらく技術・開発力の向上があるのではないでしょうか。

最近では「ジェル」といった中間材のクチコミが増加しているのも特徴です。例えばアイライナーの事例で見ると、今まで「落ちないこと」と「描き心地のよさ」は両立しないと思われていた中、描き心地を我慢しなくてもよい製品が増え選ばれていると言えます。

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『使い勝手』については、質の良い「時短アイテム」や、顔にも髪にも使えるといったような「マルチアイテム」が増えたことが【ストレス】軽減に寄与したのではないでしょうか。以前、最近の傾向として(参照)まとめていますが、「さぼる」ことではない時短提案が増えたこともうれしい変化であると考えられます。

②続いて、5年前と比較し<【ストレス】を感じられやすくなった>

と思われるものとして『パッケージ』が挙げられます。

この5年間で『パッケージ』の質が著しく劣化したということは考えづらいでしょう。もちろんパッケージが変わらなくても剤型の変化に伴い、【ストレス】と感じるようになった人が増えたということも考えられますが、10ポイント以上の増加はそれだけではないように思います。

おそらく『使い心地』や『使い勝手』への【ストレス】が軽減した分、今まで意識していなかった『パッケージ』により注意が向くようになったのではないでしょうか。

おわりに

この5年間、化粧品に対する『使い心地』や『使い勝手』に対する【ストレス】が軽減した流れは、今後も技術やアイディアの進化によってますます加速するでしょう。

しかし1つ快適になると新たな【ストレス】が生み出されるようです。今後、化粧品における【ストレス】を軽減するためには、化粧品そのものだけでなく、『パッケージ』をはじめとした周辺領域、つまりはライフスタイル全般への理解がこれまで以上に求められるのではないでしょうか。

最近は、おうち時間の増加や通販利用機会の拡大に伴い、ゴミが増えたという話を聞きます。通販の同梱物に大量のチラシが入っていることで「コスパが悪い」と感じるというクチコミも目にするようになりました。

「新しい生活様式」の下、生活者がどんな気持ちでいるかを想像することが今は最も必要であると感じています。

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