Qoo10メガ割セールをフックに@cosmeのクチコミが増加。複数プラットフォームを活用したブランド販促事例
2023年5月17日、Z世代、ミレニアル世代女性に人気のECモール「Qoo10」を運営するeBay Japan合同会社とスキンケアブランド「Anua」の担当者様をゲストに、ウェビナー「Qoo10 メガ割にて2回連続総合売上1位に輝いた『Anua』に聞く、複数プラットフォーム活用の背景やそのメリット」を開催しました。Qoo10では韓国ブランドだけでなく日本ブランドも購入できる場所として若い世代から支持を受けています。今回はQoo10を入口に、@cosmeを活用してブランド認知と売り上げを伸ばしているAnua の事例が語られました。
「メガ割」セール期間に連動し、関連キーワードの出現率が@cosmeでも増加
Qoo10は、営業チームによる出店者向けのコンサルティングに定評がありますが、 2023年にSeller Growthチームを発足し、ウェビナーをはじめとする出店者教育を「Qoo10大学」にて行っています。 営業チームとSeller Growthチームの両輪で出店者の売上アップをサポートしています。
ウェビナーにおいて、eBay Japan合同会社 Seller Growthチーム 吉田園佳氏(以下、吉田氏)は、同社が運営する総合ECモールQoo10を「Z世代、ミレニアル世代にとって最もホットなマーケットプレイス」と表現。コスメやファッションはじめ、あらゆるジャンルの商品が購入できる同サイトの購入者の80%近くは女性、そのうち70%を10代から30代が占めているそうです。特に人気なのが、年4回開催するビッグセールイベント「メガ割」で、2019年の初開催から現在まで15回連続で売上の最高記録を更新、「初日の0時は驚異的なアクセスがある」と吉田氏はいいます。
日本最大級のコスメ・美容の総合サイトである@cosmeでも、このQoo10のメガ割や、楽天市場の「楽天スーパーセール」などのECモールのセール時期に、それらセールの関連キーワードがクチコミの中に増えたり、同セール情報を含んだブランドのブログのPVが増加したりする傾向が見られます。
@cosme内での「メガ割」「楽天」出現キーワード数の推移
このことから、生活者がメガ割や、楽天スーパーセールで買ったものについても@cosmeにクチコミを残したり、それらのクチコミやブランドのブログ投稿を見て、同セールでの購買を検討したりしている活発な様子が垣間みえます。
一方で、@cosmeの公式通販である@cosme SHOPPINGおよび実店舗の@cosmeSTORE、@cosmeTOKYOで購入された商品のクチコミは@cosmeの全クチコミ中10.2%と高い割合を占めており、@cosmeのコアユーザーによる熱量の高いクチコミが、そのクチコミを見た他の生活者の商品購入の検討材料になる好循環が生まれています。
ウェビナーでは、Qoo10と@cosmeという2つのプラットフォームを掛け合わせ、どんなことができるのかが語られました。
Qoo10で売り上げを伸ばすにはまず「入り口商品」を確立すること
まず吉田氏はQoo10で売り上げを伸ばす出店者が行なっていることとして、
- ブランドを知ってもらうきっかけになる「入り口商品」を確立
- Qoo10内広告を活用して、入り口商品やショップの認知を拡大
- 圧倒的な集客力があるメガ割で入り口商品やお得感のあるセットを販売
- 入り口商品と並行して違う商品も訴求していく
というサイクルを紹介しました。
とくに「入り口商品」については、「ショップが売りたい商品と、お客様が求めている商品は違う」と提起し「Qoo10のランキングや、人気検索ワードの分析もおこなったうえで、ショップの商品の中で閲覧数が多く、転換率が高いものを入り口商品とすると良い」といいます。
また、メガ割ではよりお得感のある、複数の商品をまとめたセットや福袋が人気となるなか、そうしたセット商品を「かわいいパッケージ」や「Qoo10限定品」とすることが重要なポイントだと吉田氏はいいます。SNS映えするかわいいパッケージは#メガ割 #メガ割購入品といったハッシュタグをつけた投稿を購入者にうながし、さらにその投稿を見た生活者を購買に向かわせる効果があります。さらにQoo10限定品であるということで、希少感や特別感も高まるというのです。
そして、Qoo10で売り上げを伸ばすこうしたTipsを実践しているのがAnuaだと紹介しました。「Anuaは入り口商品の『ドクダミ77% スージングトナー』とQoo限定セットを軸に、Qoo10内の『プラス展示のキーワード広告※』や『タイムセール広告』などで認知を広げて、多くの閲覧者を獲得し、メガ割での売り上げに繋げている」(吉田氏)。
※Qoo10内でユーザーが特定キーワードを検索した時に、検索結果ページの上段に商品が展示される広告。一つのキーワードに対して、オークション形式で枠を落札する
メガ割で2回連続 売上総合1位を達成したAnua
ドクダミエキスを77%配合した「ドクダミ77% スージングトナー」などAnuaのドクダミライン
出典:Anua 公式サイト
2019年に日本上陸した韓国発のスキンケアブランド「Anua」は、2022年11月、2023年3月のQoo10 メガ割で2回連続、売上総合1位を達成しています。
Anuaの日本市場担当者であるThe Founders Inc. Global Business Team 1 Brand MKT 担当 シム氏は「日本ではまずQoo10、つぎに@cosme SHOPPING、そして独立した自社ECサイトの順番で販売を開始した。日本においてQoo10は、韓国好きなユーザーや若いユーザーも多くいるプラットフォーム。韓国コスメAnuaを認知してもらう最も初めの段階として出店している。対して@cosme SHOPPINGを利用するのは日本のコスメ好きの一般ユーザーが多い」とし、まずQoo10で認知を得てから、最終的な目標である日本市場での浸透のために、@cosmeで一般ユーザーとの接点を増やしていると、それぞれのユーザー特性や使いわけについて説明します。自社ECサイトは、どちらかというとブランドの世界観や商品のラインナップをじっくり見てもらうためのカタログ的な役割としているそうです。
シム氏はさらに「Qoo10にいる韓国コスメが好きなユーザー、@cosme を見て@cosme SHOPPINGで買う日本のコスメ好きな一般ユーザー、それぞれに合わせたアプローチをしている。Qoo10は自社ECサイト同様に直接管理運営をおこなう方式で、スケジュールの自由がある程度利くため、いろいろな限定セットを作ったりして、韓国コスメが好きなユーザーにアプローチしている」といいます。
吉田氏が勧めた「かわいいパッケージ」についても言及し、「Anuaのもともとの容器デザインとしては、白地に黒い文字が並ぶ、ごくシンプルなもの。しかしセール期間中の特別な限定セットに関しては、ターゲット層であるZ世代が好みそうなパッケージを制作している。しっかりとターゲットを定め、そこに刺さるようなパッケージや限定セットづくりを心がけている」と話しました。
限定パッケージで訴求したAnuaのメガ割 告知ビジュアル
日本のコスメ好きからの認知度を高めるために@cosmeを活用
ではAnuaは@cosmeのことはどのように活用しているのでしょうか。
2022年5月に@cosme SHOPPINGでAnua取り扱いが開始となった後、同8月からは@cosmeのブランドページでデータ分析や自由な情報発信ができるブランドオフィシャルを利用開始。同10月と2023年2月には、@cosmeユーザーにブランドや商品の認知・理解を促進しつつ、プレゼントやサンプリングを通して商品使用の機会を提供する体験型コンテンツも実施しました。
「日本のコスメ好きの方々にAnuaがちゃんと知られているのかというとまだ十分ではないだろうというのが、@cosmeをつかう理由だ。@cosmeというプラットフォームの中で、どれだけAnuaの認知度を高めていけるのかを主に考えながら展開している」(シム氏)
ブランドオフィシャルでは、2023年3月のメガ割に向け、同2月中に3回ブログを更新。限定セットの訴求を行いました。
@cosme内のAnuaのブログ投稿
「いきなり『出ました』『発売します』という話をするのではなく、少しずつ情報を知っていただくのが、興味や購入意欲を醸成できて良いと考えている。まずは概要を伝えて、その次は、セット内容や、もう少し詳しい情報を開示、そして発売直前には、メガ割のイベント情報と共に、商品の金額感や、販売期間といった詳しい情報を発信した」(シム氏)。
メガ割期間には@cosme上で「メガ割購入前にクチコミをチェックした」「購入後にクチコミを投稿した」といった、「メガ割」というキーワードや関連のクチコミ投稿が増加。@cosmeのAnuaブランドページのPV数も通常時より大きく増えました。ブログでメガ割を認知して、クチコミを見て購入を検討し、購入後にクチコミを残し、それを他のユーザーがまた購入の検討材料にするという良いサイクルが@cosme上で見られたといいます。
2022年5月、8月のメガ割開催時期における@cosmeのAnuaブランドページのPV数・UU数の増加を示すグラフ。上段が5月、下段が8月の@cosme上での推移
チャネルの特徴に合わせ情報を発信
Qoo10や@cosme以外にも複数のSNSやEC、メディアと、様々なチャンネルを活用して、いかに生活者の購買意欲に訴えたり、ブランドのファンを増やしたりしていくのか、コミュニケーションで工夫していることもシム氏から語られました。
先述の@cosmeのブログのように、少しずつ情報を伝えていくこを基本に、Anuaでは複数のチャネルそれぞれの特性にあわせた発信を行っているといいます。「例えばTwitterは拡散しやすいチャンネルであるため、より拡散しやすいよう短いメッセージで投稿する。Instagramであれば、検索された際にフィードに上がってくる投稿の数を多くするために、ハッシュタグの指定をちゃんとしておくことが大事だと思う。文字数に制約があるTwitter、ユーザーが文字をあまり読まないInstagramという特性の一方で、ブログではより詳しい情報を発信するようにしている」(シム氏)
ウェビナーでは他にもQoo10の特徴の詳細やメガ割に向けた効果的な広告の活用法などが語られました。
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