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「困ったらアイスタイルに相談」ブランドのマーケティング全般をサポートできる企業となるために必要なこと

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20229月に株式会社アイスタイル 代表取締役社長 COOに就任した遠藤宗が、この1年の歩みを振り返るとともに、思い描いている今後のアイスタイルのあり方、そして、変わりつつある化粧品業界の展望について語ります。

社内の一人ひとりがオープンな視点で最適解を考えていく意識の浸透

前回、社長に就任直後の@cosme for BUSINESS編集部によるインタビューでは、「ユーザーとブランドから信頼されるプラットフォームであること」「オープンで情報をシェアしやすい環境づくり」を大テーマに挙げていた遠藤ですが、この1年でどのような進展があったのでしょうか。

「信頼関係を築くためには、ブランドとユーザーをもっと知ろうと社内に呼びかけてきた。そして、そうした意識は社員やスタッフにしっかり根付いてきていると感じている。良い例が、20239月にオープンした@cosme OSAKA だ。ただ単にたくさんのブランドが出店して並んでいるだけではない。@cosmeのデータをうまく使って、ユーザーとブランドが出会い、セレンディピティな体験が生まれる店として機能している。これは、どうすれば生活者がもっと喜んでくれるのか、クライアントであるブランドにどうすれば価値を見出してもらえるか、アイスタイルのみんなが考え、店舗に関わるさまざまな人々の思いを想像する力を身につけて成長してきたからだ。@cosme OSAKAは我々じゃなければ作れなかった店だと思う」(遠藤)

西日本の旗艦店として大阪・梅田の商業施設ルクアイーレ3階に開設した@cosme OSAKAは、20239月初月の売上が想定の約2倍を達成しました。遠藤も「@cosme OSAKAはいいスタートを切った。『うちは意外にやるじゃん』と、社員にわかりやすく自信をもたらしてくれた」と評価します。

同時に、アイスタイル社内の人々の“意識のオープン化”も進化した1年だったと遠藤は振り返ります。「相手を知ろうという気持ちが浸透したことで、ユーザー、ブランド、ステークホルダーなど、異なる立場の人々に目を向ける、視点のオープン化が進んだ。最適解を一人ひとりが考えるようになり、自分の意見を述べて話しあい、みんなでより良いものを作ろうというポジティブな流れが出てきている。ユーザーインサイトやトレンドのデータ、アイスタイルがこれまで蓄積してきた知見などをシェアしていく“情報のオープン化”は、技術的な課題もありまだ途上だが、アイスタイルのスタッフの意識は確実に向上している」(遠藤)

【@cosme for BUSINESSトレンドコラム】「信頼」と「オープン化」がキーワード。遠藤新社長に聞く、アイスタイルのこれから

クライアントの課題を解決に導く企業を目指して 

こうした積極的にコミットしていこうという社内の機運を受け、アイスタイルは、リテール、B to Bなど、いろいろな領域でもっとアップデートしていけると遠藤は考えています。「企業としての姿勢もオープンにして、何か困ったらアイスタイルに相談しようとメーカーやブランドに思ってもらえるようになることが、目指すべき次の段階ではないか」として、「クライアント企業の課題を解決できるアイスタイルとなる」ことを目標に掲げていくとします。

とくにB to B事業においては、「@cosmeは、今は広告事業を中心に展開している段階だが、一歩踏み込んで、マーケティング全般をサポートする企業になることを目指している」と遠藤は言います。「このサービスを買ってくださいではなく、クライアントの悩みを理解して的確な提案をし、支援を実行していく、本当の意味でのブランドパートナーにならなければいけない」(遠藤)

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「小売、メディア、ユーザー理解データを自社で持ち、広い範囲をカバーするアイスタイルだからこそできるマーケティング支援があると考えている。クライアントに寄り添い一緒にマーケットをデザインしていくイメージだ」(遠藤)

遠藤が言うとおり、@cosme、実店舗やECからとれる、ユーザー、クライアント双方の膨大なデータがアイスタイルには集まっています。これを単に情報として提供するのではなく、そこから、ブランドの課題を知り理解して解決策の提示までを行う、いわば「データにもとづく、課題ドリブンの提案力」を上げていくべきだと遠藤は話します。

各種マーケティングプランなど@cosmeの具体的なサービスを導入してもらう手前の、データの段階から各ブランドが本当に必要としていることを見出し、そのための最適解を導き、施策をともに実行していく、それが遠藤の考えるマーケットデザイン、すなわち、より深くブランドにコミットする新しいビジネスの設計図を描くことであり、マーケティング支援のあり方です。 

「それを実現するためには、我々がブランドの課題をしっかり引き出せる能力をさらに磨く必要がある。今まで以上に相手を知ろうと思う気持ちや、インプットを増やし知見を高めることが求められるし、さまざまな声をすくいとる『聞く力』も重要だ」(遠藤)

遠藤は、個々人の意識のオープン化と社内の一体感が高まった今、次への一歩はすでに踏み出したとみています。そして、「今期を経て、クライアントの役にたつマーケティング支援ができる企業を目指すうえで、今、我々が何を頑張るべきかがはっきりしてきた。これからの1年はそれをやり切る年にしたい」と意気込みを示します。

チャレンジをし続け、変わろうとするビューティビジネス

では、遠藤は現在のビューティ業界をどうみているのでしょうか。

「今、ビューティ業界はいろいろな分岐点にあると感じている。世界的にも社会のあり方や価値観が変わりつつある。そんななかで『今のままじゃダメだ、今までと同じことをしていてはいけない』と、多くのビューティ企業・ブランドが考え始めたのが2023年だ。実際、食など違う領域に進出したり、サステナブル・エシカルを徹底させたりと、各社が新しい試みに取り組んでいる例も増えている。何が成功するかはわからないけれど、チャレンジすることをやめてはいけない、チャレンジしなかったところが衰退すると考える、『変わらなきゃ』という空気がある。競争も激しくなるかもしれないが、あれこれ面白いことが起きそうで、個人的にはワクワクする状況だ。ワクワクしながら挑戦して、アイスタイルも進化していかなきゃなと思っている」(遠藤)

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その一方で、経営サイドとして10年後、20年後の目指すアイスタイルのあり方そのものはぶれていないと、遠藤は明言します。「アイスタイルの根底にあるVision『生活者中心の市場の創造』と、Missionである『Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう』を実践する意味で、チャレンジをし続けていくということだ」(遠藤)

そして、前述したマーケットデザインの推進も、まさにその挑戦の1つだと遠藤は話します。 

「たとえば、店舗を例に考えるなら、ブランドにとっては、商品が売れたらそこで終わりとなりがち。だが、@cosmeでは商品を購入したお客様が感想を投稿してくれるかもしれない。さらにそれを見た人がクチコミで拡散してくれて、次につながる可能性が高い。つまり、1つの入り口がそこで終わらずに、次の入り口を作っていくことができる。それが我々の一番の強みとなっている。では、この強みを活かして、どんな新しい出会いや体験、ビジネスの種を生み出していけるのか。そこを考えていくのは、エキサイティングな挑戦だ。生活者が我々がつくり出すリアルもオンライン空間もとことん楽しんでくれて、そしてその楽しさをほかの生活者にも伝えていく。そのデータをしっかり我々とブランドで活用し、その結果、生活者に新たな喜びやときめきを提供する。こういうサイクルをより進化させて、化粧品業界全体にとってよりよい影響を与えることができるように努力していきたい」(遠藤)

遠藤宗プロフィール

20220927_1株式会社アイスタイル 代表取締役社長 兼 COO
遠藤 宗(えんどう はじめ)
1973年生まれ。伊藤忠商事傘下の輸入車および中古車の販売業者であるヤナセでキャリアをスタート。経営コンサルティングの船井総合研究や化粧品リテールのたしろ薬品などを経て、2007年にコスメネクスト(現アイスタイルリテール)の取締役に就任。2012年アイスタイルに入社後、アイスタイルトレーディングの代表取締役やアイスタイルキャリアの代表取締役を歴任し、現職に就任

Text: そごうあやこ

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