2026年4月15日に開催されたOver The Border(以下、OTB)のオンラインウェビナー「日本の熱量を世界への購買へ @cosme店舗の熱量を海外へ届ける翻訳マーケティング」のダイジェストをご紹介します。日本ブランドが直面する海外展開の壁をどう乗り越えるべきか、Douyin(抖音)をはじめとする中国・アジアの最新EC事情や、@cosmeの店舗体験とインフルエンサー(KOL)を掛け合わせた「翻訳マーケティング」の実践的な戦略について語られました。
施策だけでは超えられない「海外展開の壁」とは
近年、日本の化粧品を取り巻くマクロ環境は変化しています。2020年以降、中国向けの輸出減少を背景に化粧品の輸出額は減少傾向にある一方で、韓国コスメなどの輸入額が大きく伸長しています。「日本製品だから安心して海外でも売れる」という時代が変わりつつあるなか、現地のニーズ(スキンケア習慣や気候など)と日本製品とのギャップを埋めるコミュニケーションがますます重要になっています。
現代の海外マーケティングの課題について、越境ECの出店やSNS・KOLの活用、POPUPなどのリアルイベントの開催など「やれること(手段)」はすでに出揃っているものの、間接的な「認知拡大」と直接的な「販促施策」を線でつなぐことができず、事業の方針に合わせて何から始めるべきか、その適切な時期や各施策のつながりが見いだせないまま点で終わってしまい、望む成果が出ないというご相談をブランド様から多く頂きます。

海外展開における各施策の目的と課題(ウェビナー資料より)
@cosmeはなぜ「Douyin」に旗艦店を置くのか? 一気通貫のECエコシステム
中国EC市場は、Tmall(天猫)やRED(小紅書)などそれぞれ特性をもったプラットフォームが多岐に渡ります。その中で、現在最も勢いがあるのがユーザー数ナンバーワンの巨大アプリ「Douyin(抖音)」です。Douyinの最大の特徴は、動画コンテンツを通して商品と出会う「発見型」のメディアであり、認知から購買までを一気通貫して利用できる点にあります。この『すべてのプロセスに介在できる』という強みは、@cosmeが大切にしているプラットフォーム価値と非常に近しいものであり、まさにDouyinに旗艦店を開設した最大の理由でもありました。

5年連続で右肩上がりの成長を続けるDouyin旗艦店(ウェビナー資料より)
アイスタイルグループが運営するDouyin内の「@cosme海外旗艦店」では、月間80時間以上、週4回以上の頻度で自社ライブ配信を実施しています。@cosme TOKYOの売り場の空気感やベスコス情報を現地の環境に合わせて翻訳して届けることで、「リアルな日本からの発信」としての客観的な信頼性を担保し、独自のポジションを確立しています。その結果、直近90日間のリピート率は約70%という高いロイヤリティを実現しています。
客観的信頼×主観的熱量で心を動かす「翻訳マーケティング」
免税売上のデータを見ると、中国だけでなく台湾や東南アジアなど、インバウンド客の多国籍化が顕著に進んでいます。各国のユーザーに商品を届けるためには、商品の機能や成分をただ直訳して伝えるだけでは不十分で、訪日のお客様が使ってみたいと興味を持てるような情報を提供する必要があります。「日本製品だから安心して売れる」という時代が変わりつつある今、消費者が最も重視しているのは成分そのものよりも「その商品が自分の肌や生活に合うか」です。
そこで不可欠となるのが、現地の生活習慣や気候によるニーズに合わせて文脈を変換する「文化の翻訳」です。例えば、日本のスキンケアは導入液、化粧水、美容液など手順が複雑な場合がありますが、現地の感覚に合わせて「なぜこのステップが必要なのか」を有益な情報として翻訳し、納得感を持たせることが求められます。また、一方的な情報発信で終わるのではなく、現地のユーザーの生活文脈(ライフスタイル)に寄り添ったコミュニケーションへと変換することが、実際の購買行動に直結します。
Douyinの@cosme旗艦店から情報を届ける際の実践においても日本で作成したTikTokのコンテンツを中国向けのDouyin用に活用する場合、そのまま流すのではなく、現地向けにわかりやすく内容を変換しており、日々の運用の中で文脈の変換プロセスが徹底されています。
@cosmeを通して海外にいるユーザーと日本のブランドを繋げる強みはなにか。それは現地の事情に精通したインフルエンサー(KOL/KOC)が持つ「専門的かつ感性的な言語化をする力(主観的な熱量)」と、@cosme店舗が持つ「日本のユーザーの評価を可視化した場所(客観的な信頼)」の掛け合わせです。

主観的な熱量と客観的な信頼の掛け合わせ(ウェビナー資料より)
インフルエンサーが現地の感覚に合わせて商品を「ジブンゴト化」できる文脈へ翻訳し、店舗でのリアルな体験や正直な声とともにSNS上のUGCとして発信することで、それは一時的なバズで終わらず、信頼できる「資産型コンテンツ」としてストックされます。これが海外から商品を検索した他のユーザーにとっても強力な「買う前の根拠」となり、結果としてインバウンドでの免税売上や越境ECでの購買を大きく後押しするエコシステム(循環)を生み出せています。
ウェビナーでは、このエコシステムが機能した実際の事例も紹介されました。ある高級スキンケアブランドでは、KOLを通じて使い方やブランド価値を翻訳し、RED(小紅書)にコンテンツとして保存してもらうことで、免税売上が大きく伸長したといいます。
店舗×ヒトが国境を越える、一気通貫のグローバルマーケティング
具体的な多国籍アプローチとして、例えば台湾や香港のトップライバーを@cosme TOKYOに招き、行っている ライブコマースでは、リアルなトレンドが可視化されている店舗から発信されることで、「日本で実際に流行っている」というライブ感が圧倒的な信頼材料となり、現地での知名度がなかったブランドが一気に認知を獲得し、販売数を大きく伸ばした成功事例があります。

在日外国人インフルエンサーを招いたPRイベントの様子(ウェビナー資料より)
日本在住のアジア各国のインフルエンサーを招いたPRイベントは、季節の訴求時期やベスコス受賞後のタイミングに合わせて開催しています。店舗や協賛ブランドとの交流体験を通じて、開発秘話やブランドヒストリーなど商品への深い理解が促進され、それがインフルエンサーによって現地の文脈へと咀嚼・編集されることで、現地ユーザーの興味を強く惹きつけるコンテンツとなり、SNS上で高いエンゲージメントを生み出す結果に繋がっています。
ウェビナーの最後に、「ブランドの皆様が単独でやれることや判断できることには限界があるかもしれない。だからこそ、私たちと一緒にやりましょう」と語りかけ、「日本ブランドのポテンシャルを解放しよう。一緒に乗り越えていきましょう」と視聴者に向けて力強いメッセージを送りました。
■登壇者プロフィール(左から)

- 坂井 亮介(株式会社アイスタイル 越境貿易ユニット 副ユニット長/株式会社Over The Border 取締役) 旗艦店「@cosme TOKYO」の事業責任者や「Retail-CX本部」の立ち上げを経て、2024年10月より現職。国内リテールの最前線で培った知見を活かし、現在は日本と世界をつなぐユーザー体験・ブランド体験のグローバル展開を支援している。
- 岡崎 友理子(株式会社Over The Border Brand Development部) 2016年アイスタイル入社。約9年にわたり、国内外の化粧品メーカーに対する@cosmeを活用したプロモーション支援に従事。国内市場における豊富な知見を基盤に、現在はアジアを中心としたブランドの海外展開およびインバウンドマーケティング支援に注力している。
- 于(ユ) クアン(株式会社Over The Border MCN部) 中華圏における@cosmeの公式情報発信および販売チャンネルの運用を担当。世界各国のKOLとの連携を通じて、海外での販路拡大やブランド認知向上を目指す日本企業のグローバル展開を支援している。Douyin(抖音)などでの実践的なライブコマースの最前線に立ち、現地のトレンドとユーザーの熱量を熟知している。
アジアや世界に向けてマーケティングやライブコマースを展開したい、インバウンド施策をさらに強化したいとお考えのブランド様は、ユーザーの認知から購買までの全プロセスに伴走するアイスタイルグループへ、ぜひ一度ご相談ください。
※上記資料記載の在日外国人インフルエンサーを招いたPRイベントを6月に開催予定です。ご興味のあるブランド様がいらっしゃいましたら今回特別に見学が可能ですのでぜひお問い合わせください。ご案内枠に限りがございますので、どうぞお早めにご連絡お待ちしております。
