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40〜60代の「大人女子」がもつ美容・コスメ意識、効果的なコミュニケーションとは

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20241017日のウェビナー「大人世代の美容やコスメに対する意識・実態把握〜1000名調査から見えた効果的なコミュニケーション〜」では、アイスタイルと電通マクロミルインサイト4060代女性の美容・コスメ意識をひも解き、大人女子に向けたコミュニケーションの在り方を考察しました。

2022年頃から増加するワード「大人女子」、その価値観とは

@cosmeに投稿されるクチコミの中で、2022年ごろから増加傾向にある「大人女子」や「大人世代」というワード。使用している投稿者の年齢を調べると約8割が40代以上となっています。「これなら大人女子でも使えます」「大人世代にも使いやすくおすすめです」といったように、40代以上の世代がクチコミの中で自分たちの世代のことを表現するのに使用し、浸透してきています。

20241122_2「大人女子」「大人世代」というワードは2022年ごろから増加

ウェビナーでは、電通マクロミルインサイトが全国の20~60代女性を対象に20247月に実施したコスメ意識調査の結果を、2030代と4060代で比較し、4060代の「大人女子」の特徴を探りました。また同調査結果と20166月実施の同様の意識調査の調査結果を比較し、時系列で大人女子の意識・価値観の変化を探りました。

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2024年の2030代と4060代の回答の比較では「年齢に抗わず、自然体でいたい」「飾らず、自然体でいたい」「周りからの評価よりも、自分がどうしたいか/どうありたいかを大切にしたい」と考える人の割合は、2030代より4060代の方が高い結果となりました。

またこうした考えの一方で「可能な限り老化を抑えたい」と考える人の割合も4060代の方が高い結果となりました。加えて、「自分をバージョンアップさせるためにお金や時間を使いたい」「好奇心を満たしたい、遊び心のある体験をしたい」といった「自分をバージョンアップするための投資」や「好奇心」の意識は20~30代と比べて4060代は割合が低いことがわかりました。

具体的に美容や化粧品についてたずねた設問では「『自分らしい美しさ』を求めたい」「『流行・トレンド』は気にせず、自分がしたいメイクを楽しみたい」という、流行よりも自分らしさをもとめる割合は4060代の方が高い結果となりました。

その一方で、「自分らしい美しさ」を求めることが実際にできているのかを問う設問では、当てはまると回答した人は20%ほどで、意識と実態では50ポイント以上の開きがあることがわかりました。

20241122_4自分らしい美しさを求めている人と、そのための自分の対応に自信が持てている人の数の割合には50ポイント以上の開きがあった

 加えて「『自分らしい美しさ』が何かわからない」「自分の魅力がわからない」「自分の年齢に合ったメイクがわからないと感じる」「自分に似合う色がわからない」といった不満を持つ人の割合は7割以上にのぼりました。こうした不満・悩みに対し自分の対応に自信がもてている人がごくわずかであることもわかり、多くの人の不満・悩みは解消されないまま残っていることが浮き彫りになりました。

しかし、なぜ不満・悩みの解消に取り組めていないのでしょうか。

株式会社電通マクロミルインサイト リサーチャー 中村祐貴氏は、アンケート結果のコレスポンデンス分析を解説。「『昔からやってきたメイクが似合わないと感じる』といったエイジングに伴う悩みは、対処法がわからないこと、年齢や体質などで仕方のないことだからという諦めが理由になっているようだ。自分に似合う色といった、自分らしさに関する悩みも、どうしたら見つけられるのかわからないという状況が推察される。また、デジタル社会である現代は、本来なら様々な情報の中で自分にあったものを選択できる環境であるはずだが、多すぎる情報によってかえって信用できる情報を得にくく、『気になる商品と出会っても、情報が正しいかどうかを確認するのに時間や手間がかかったり、面倒で、手を出せない』といった状況を生んでいるようで、つまり大人女子については、情報に対する困惑が機会の損失につながっていると考えられる」とします。

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実際、信用できる情報源の数をたずねる設問では、大人女子の7割近くが「信用できる情報源を持っていない」という回答でした。

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また、大人女子では、20〜30代と比べてInstagramなどSNSの活用率が低く、商品を知るきっかけとしては「テレビ」が最も高く、「ドラッグストア」「ブランド・メーカーの公式サイト/アプリ」や「@cosme」が購入検討時に活用されているということも調査結果からわかりました。

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中村氏は「年齢に関係なく自分らしい美しさを求めても批判されない世の中になりつつあるが、大人女子は自分らしい美しさを求めるものの、それに出会えている人は少ない様子だ。若年層と比べて、流行・トレンド情報への関心や自己投資意識は低く、新たな情報が自然と入ってきにくい状況におかれている。また、信用できる情報源は少ないと感じる人が多く、氾濫する情報に困惑する様子もうかがえる。SNSをあまり活用しないため、個人最適化された情報ともリーチしにくい環境にあり、結果いつものコスメで妥協してしまっている様子もうかがえる」と大人女子の悩みを考察します。

美容感度の高い大人女子から糸口をさぐる

こうした大人女子に美容業界としてどう寄り添えばいいのでしょうか。

中村氏は大人女子の中から美容感度が高い層、つまり「雑誌やSNSなど様々な情報源で、美容やコスメに関する情報収集をしている」「美容やコスメについて、友人、知人から聞かれる/アドバイスを求められることがある」「美容やコスメについての話題・トレンドは必ずチェックする」「新発売のコスメは積極的に試す」「美容にかける時間は惜しまない」「自分なりの美容法やメイク方法、スキンケア方法など、こだわりがある」などの指標を設けて、分布が高い人達を「美容感度が高い層」とし、大人女子全体や美容感度の低い層と比較するなど分析を行いました。

そして「美容感度の高い層は、年齢を重ねていくことに前向きである一方、若く見られたい意識も高く、成長意欲や好奇心、自分への投資意向が高い。それも影響してか、『なりたい自分」が見つかっている人が多い。『自分らしい美しさ』について悩む度合いも低い。いっぽうで、自分のメイクが『トレンドとずれているのではないか』『痛い人だと思われていないか』との心配・不安の度合いは高く、美容高感度層であっても、情報に対する困惑や不安は存在する」(中村氏)とします。

また、「美容高感度層では、メイクやスキンケアに対して、自信を与えてくれる、気分や気持ちを高めてくれるといったポジティブな存在や役割が見られた。日常の中にある小さなハレの日需要が注目されるなか、日常・ライフスタイルにおけるメイクやスキンケアのポテンシャルは非常に高い」(中村氏)といい、大人女子全体が、躊躇せずになりたい自分に向かえるような、後押しになる情報を発信していくことが必要ではないかと説明します。

大人女子に向けたコミュニケーションのあり方とは

ウェビナーでは、美容感度が高いユーザーが多く集まる@cosmeでどのような動きが見られているのか、どのようにアプローチしていくのが効率的か、大人女子に向けたコミュニケーションの事例も紹介しました。

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@cosme体験型コンテンツを利用した花王メリットやBIOHEAL BOHのランディングページでは、大人世代を含む様々な年代のクチコミを掲載しました。ロート製薬 50の恵が同じく体験型コンテンツを活用し@cosmeで展開したランディングページでは、@cosme編集部のメンバーの悩み別にコンテンツを作成。「近年はSNSでバズった商品が全年代でよく売れるなど、世代間で使われる商品の違いがあまり見られなくなってきている。いっぽうでクチコミは同世代であることに加え、例えば子どもの有無、時間やお金の余裕など、バックボーンやライフスタイルも自分に近いものが参考にされている。こうした状況のなかでは有効な見せ方だ」とアイスタイル @cosmeリサーチプランナー 原田彩子はいいます。

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ブランドオフィシャルを利用したmanyoのブログでは、「今さら聞けない」と題して、商品を使う順番や使い方のコツといった基本的な情報を発信しました。

「大人女子は若年層と比べ、流行・トレンド情報への関心や、新たな情報をとりにいく力が衰え、情報が自然と入ってきにくい状況にある。自分で取りに行けない分、ブランド側でまとめた情報でアプローチしていくのも良いだろう。その際に忘れてはならないのは、基本的な情報でも知らない可能性がある、ということだ。商品のことをまったく知らない人を置いてきぼりにしないように配慮するべきだ」(原田)

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大人世代が商品の購入を検討する場として小売店の店頭が上位にあるため、原田は「店頭でみつけてもらいやすくなるように、SNS@cosmeなどネット上の情報と店頭の情報をうまくリンクさせる工夫も必要」といいます。JR東日本の車両サイネージ「TRAIN TV」で配信している@cosmeのコラボ番組「Rebeauty by @cosme」は大人世代含め様々な人の目に触れるため、誰にでもわかりやすいよう、商品の外箱や実際の売り場の写真などを交えて商品を紹介しています。

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また、美容感度が高い人ほど誰かに相談したいというスコアが高いという前述の電通マクロミルインサイトのアンケート調査結果があるものの、年齢を重ねるにしたがい、美容や化粧品に関する話を友人としなくなるという声も聞くと原田は指摘します。

「友人と美容の話をすると、例えば子育てよりも化粧品にお金をかけていると思われるのではないか、コミュニティの中で浮いた存在になってしまうのではないか、と話題にしづらいという声もある。また、エイジングや更年期の悩みはリアルには誰かに相談するのが難しいという面もある」(原田)。そして、こうしたニーズに対応した事例としてトワニーのデリケートゾーンケア商品を紹介した「教えて!美容部員さんライブショッピング」を紹介。同施策では、@cosme美容部員が視聴者から寄せられた質問にリアルタイムで回答し、好評を得ました。

@cosmeプロデュースメンバーへのアンケートで「メイクアップ商品はきれいな若い人のPRが多いのであまり参考になる情報がない。同じものを40代以降が使った場合の情報が知りたい」といった回答が寄せられたことも紹介した原田。「まずはSNSWeb上に大人世代に対する情報を増やしていくことが優先事項だが、情報が増えてくれば、さらに大人世代のセグメントを細分化して発信していくことも意識すべきだろう」とまとめました。

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