アイスタイルは新サービス「データドリブンソリューション」を発表するとともに、同事業を推進する新会社「アイスタイルデータコンサルティング株式会社(ISDC)」をCXコンサルティングファームの株式会社NODEと共同設立しました。@cosmeのカスタマージャーニーを一気通貫した統合データ基盤(CDP)を活用し、ブランドの体験設計や包括的なマーケティング活動を支援する新サービスの詳細をご紹介します。
新サービス「データドリブンソリューション」の3つの柱
新サービス「データドリブンソリューション」は、@cosmeのメディア、EC、実店舗におけるカスタマージャーニーを活用して、完全オーダーメイドでブランドの課題整理から打ち手の提案、実行までを行う「データコンサルティングサービス」と、クチコミの分析に特化したAI分析ツール「@cosme Copilot」、そして@cosmeメンバーに対しての各種ユーザー調査やクチコミ分析レポートを行う「リサーチサービス」という3つのサービスを提供するものです。状況やニーズに応じ、これらを組み合わせて利用することが可能です。
このサービスを支えるのが膨大なデータを統合した統合データ基盤(CDP)で、下記の図のように、@cosme経済圏のあらゆるデータが活用しやすく整備されました。
@cosmeの統合データ基盤(CDP)イメージ
完全オーダーメイドでブランドの課題整理から打ち手の提案、実行までを行う「データコンサルティングサービス」
1つめの「データコンサルティングサービス」は、アイスタイルが保有する膨大なデータを活用し、ブランドの規模やフェーズを問わず、クライアントの課題解決に向け、完全オーダーメイドでコンサルタントやアナリストが伴走するサービスです。
全ブランドの全商品の情報が登録される美容プラットフォームである@cosmeに、日々蓄積されるクチコミやユーザーの行動データ。こうしたデータの活用により、「誰が」「いつ」「何を」「なぜ」購入したかを一気通貫で把握。
具体的には、「自社製品が、どんなユーザーに売れているのか?」「なぜ買われたのか/なぜ買われなかったのか?」「同じユーザーがどの競合ブランドの商品を使っているか?」「年代ごとのユーザーのライフスタイルや関心ごとは何か?」など、ブランド単体では取得が難しかった競合ブランドやクチコミ、ライフスタイルなども横断したユーザー行動データをひも解くことができます。
資生堂との3カ月間のPoCでは、同社で課題感のあった「ある美容液Aのローンチ2年目以降の失速」や「新商品に頼った顧客獲得モデルによるROI(投資利益率)の低下」を解決するために、@cosmeのデータを利用したコンサルティングを行いました。
「そもそもなぜローンチ2年目に失速するのか」「継続的な顧客獲得を目指せるマーケティングモデルとは」「今後どのような投資優先度で実行すべきか」という論点で、これまで同社が捉えられていなかった顧客の動き・競合の動きをデータから可視化し、マーケティングモデルのリデザインを行いました。
ローンチ1年後に失速しないための対策を探るために、まずは美容液Aに関しての累計クチコミ数が多いユーザーを発信意欲が高い「イノベーター」、逆にクチコミ数が少ないユーザーを「マス」と定義し、他社の競合商品と比較して分析。その結果、美容液Aのマス顧客による購入は競合商品Bと比較して少なかったことがわかりました。
その結果から、マスが獲得できていないことが美容液Aのローンチ2年目以降の失速の原因ではないかと仮説をたて、さらに分析を進めると、イノベーターのクチコミが盛り上がるとマスの購買が増えるという相関性が見えてきました。さらに、競合商品Bがどのようにマス層の購買を増やしているのかの分析を行ったところ、イノベーターとマスそれぞれの興味に合わせた異なるコミュニケーション手法をとっており、ここが美容液Bがローンチ後も順調に伸びた要因のひとつだということが判明しました。このように、仮説をたて競合アイテムとの比較分析から課題を特定し、優先的に予算配分をすべき施策について検討を行いました。
データコンサルティングサービスは、こうしたマーケティングモデルのリデザイン等を支援し、実際にその施策を含めてPDCAサイクルを回し、精度を高めていくために伴走していくものです。
クチコミの分析に特化したAI分析ツール「@cosme Copilot」
2つめの「@cosme Copilot」は、Microsoft Azure をベースに、@cosmeに蓄積したクチコミ情報に特化した自然言語対応のAI分析ツールです。条件に合ったクチコミを絞り込んで表示でき、それらを要約して表示することもできるクチコミ検索機能や、クチコミ内で出現度の高いワード等を抽出したりその数の遷移をグラフで表示したりする分析機能のほか、ターゲットユーザーのペルソナをAIで自動生成する機能もあり、そのペルソナとチャットをすることでユーザーインサイトを深掘りしたり、他ブランドユーザーとの比較をすることができ、マーケティング活動や商品開発、施策キャンペーンの振り返りなどにも役立ちます。
@cosme Copilotではターゲットユーザーのペルソナを自動生成、そのペルソナとチャットもできる
@cosme Copilotは、例えば、あるクチコミワードの発信傾向を分析し、それに関連する他のワードの出現傾向を統計データとして可視化することで、顧客の関心やニーズを把握できます。また、競合商品のクチコミデータを分析し、市場における未開拓のニーズ(ホワイトスペース)を特定することで、新ブランドの開発方針策定にも活用できます。
前述のデータコンサルティングサービスと掛け合わせ、データの分析結果をISDCに蓄積しているナレッジと考えあわせてクライアントとISDCでディスカッションを重ねることで、仮説の精度はより向上します。
@cosmeメンバーに対してのアンケート調査やモニター調査、クチコミ分析レポートなどを行う「リサーチサービス」
3つめの「リサーチサービス」では、@cosmeメンバーに対してのアンケート調査やモニター調査、クチコミ分析レポートが可能です。このうちアンケート調査、モニター調査は商品企画・開発、リニューアル、プロモーションの前後などのタイミングで調査を行うことを想定しています。年代・職業といった基本属性だけでなく、使用アイテムやブランド、化粧品購入チャネルや嗜好性でのセグメントも可能です。
クチコミ分析レポートは、@cosmeに蓄積したクチコミを集計・抽出し、クチコミの中身を詳細に把握し、商品の特徴(強み・弱み)や期待する効果、時系列で見る商品の評価の変化などの分析をレポートとして提供します。
NODEとアイスタイルの協業でコスメ・美容業界全体の成長を支援
ISDC取締役 副社長 押野卓也は、これまでアイスタイルに要望が寄せられてきた一気通貫のコンサルティングサービスがこの新会社によって実現するとともに、CDPや生成AIを活用して膨大なデータをブランドが活用できることの意義をこう強調します。
「CXコンサルティングファームであるNODEの持つ『戦略から実行まで徹底して寄り添う顧客伴走型支援』という強みと、アイスタイルの『日本一の美容プラットフォームを運営し多岐にわたる事業展開をしてきた経験による業界の知見』という強みを掛け合わせ、データ・ドリブンな戦略策定と実行支援を行うとともに、コスメ・美容業界全体の成長を支援していく」