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@cosmeベスコス受賞ブランドが語る商品力と今後目指すものとは

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20211217日、「@cosmeベストコスメアワード2021」を総括するウェビナー「クチコミから読み解く生活者の『今』と『これから』」が開催されました。二部構成のプログラムのなかから、ベストコスメ受賞ブランドの担当者が登壇した後半の内容をレポートします。

2021年の@cosmeベストコスメアワードを振り返るとともに、この1年のトレンドについて考察する同ウェビナーでは、@cosmeリサーチプランナーの原田彩子と西原羽衣子による「ベスコス受賞商品・投稿クチコミから読み解く2021年」をテーマにしたセッションに続き、資生堂ジャパン株式会社の家谷直嗣氏と中西友美氏、株式会社伊勢半の安田沙織氏をゲストに迎え、「ベスコス受賞ブランドに聞く!商品への想いと生活者へのコミュニケーション」と題したセッションが行われました。

第一部セッション「ベスコス受賞商品・投稿クチコミから読み解く2021年」の内容はこちらの記事で概要をご紹介しています

殿堂入りを果たしたエリクシールのリンクルクリーム

第二部の最初に登場したのは、発売以来、4年連続で@cosmeのランキング上位にランクインし、2021年ついに殿堂入りを果たした「エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリーム」のマーケティングを手がける、資生堂ジャパン株式会社 エリクシール担当の家谷氏と中西氏です。

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「エリクシール」は1983年に誕生したエイジングケアブランドで、頰の高い位置に光るみずみずしいつやを「つや玉」と名付け、「すこやかに満ち足りている、美しい肌のしるし」として定義することで認知を広げてきました。2017年からはスキンケア(全チャネル・全年代)市場で年間シェア1位を毎年獲得しています(※1)。

(※1)インテージ SRI.SRI+ 基礎化粧品(スキンケア)市場 メインシリーズランキング 期間2006/102021/9 推計販売金額

中西氏は、継続して使用することで効果が実感できるエイジングケア(※2)というカテゴリーの性質上、エリクシールには3つのトライアルバリアがあると説明します。1つは、多くの製品があるなかで、ユーザーが「何を選んで良いかわからない」と感じること、2つめに「効果が感じられるまでに時間がかかる」こと、3つめに一般的に「価格が高い」ことです。このハードルを下げるために、ユーザーに継続使用してもらうことに最注力したことが、リンクルクリームが殿堂入りした要因の1つであると中西氏はみています

(※2)年齢に応じたうるおいケア

具体的には、美容家の石井美保氏を起用し、エリクシールPR担当である中西氏と「しわ改善」について深掘りトークする内容の約8分のYouTube動画を制作。この動画は2021年12月現在で、約143万回視聴され、視聴完了率も2030%で推移しているといいます。あわせて、1カ月で1本を使い切るのが使用の目安である同リンクルクリームを、2本買い続けるともう1本プレゼントする「#2ヶ月チャレンジ」を実施しました

そして、リンクルクリームのベスコスアワード受賞のもう1つの要因として、@cosmeのクチコミを重視してきたことを中西氏はあげます。製品がローンチした2017年以降、常に1位、2位につけてきたリンクルクリームは、2,000件を超えるクチコミを獲得。薬機法にもとづき、ブランド側が主語では書くことができない「効果、効能の実感を、生活者の方が正直な感想として書き込み、高く評価してくれていることは大きい」と売上向上の後押しになったとします。

ヒロインメイクは3商品がアワード受賞

続いてのスピーカーの株式会社伊勢半の安田氏は、担当している「ヒロインメイク」3商品が、今回のアワードにおいて受賞しました。マスカラ部門で「ロング&カールマスカラ アドバンストフィルム」が1位、「ロングUPマスカラ スーバーWP」が3位、そしてクレンジング部門の3位に「スピーディーマスカラリムーバー」が入賞する快挙です。 

202101_bc_webinar_3受賞した「ヒロインメイク」の3商品

「いかなる時も完璧に美しい、少女漫画のヒロインのような自分を叶える超・耐久アイメイクシリーズ」をうたうヒロインメイクは、マスカラとアイライナーを主力商品として目元関連アイテムをラインナップ。受賞商品のロング&カールマスカラ アドバンストフィルムはフィルムとウォータープルーフの長所を両立した進化系の第3のマスカラとして、カールのキープ力とオフのしやすさが特長で、8年ぶりにリニューアルをしたロングUPマスカラは、汗・水・こすれに強い、耐久性に優れたマスカラです。

@cosmeリサーチプランナーによる第一部セッションのクチコミ・トレンド分析でも、まつ毛の「カールキープ」ニーズが再燃していることが取り上げられました。需要の変化について安田氏は「長さへの需要は変わらずあるが、カールさせることで、目がくっきりぱっちり自然に大きくなったと実感しやすい。コロナ下で目元メイクに注目が集まったこと、マスクによる蒸気でカールが下がりやすいということもあり、カール力が求められたのではないか」と分析します。

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またコロナ下では常時マスクを着けているため、鼻や口からの呼気やムレでカールが下がりやすいとの悩みが広がっていることも指摘されています。こうした状況で、ヒロインメイクのマスカラの特長である耐久力とカールキープ力がユーザーに再認識された結果として、1位と3位のランクインにつながったとみられます。

また、マスカラリムーバーも「こすりたくない」という生活者の気持ちにフィットしたのが、高評価を集めた要因と考えられます。店頭では「(リムーバーを)ヒロインメイクのマスカラと一緒に使って欲しい」とのメッセージを込め、セットでダブル推しの販促をしたと話す安田氏は、それと同時にヒロインメイク以外のマスカラユーザーも購入している手応えがあるとして、新しい層へのアプローチがうまくいっていることを示唆します。

本質的なニーズと次のニーズの両方を捉える

エリクシールのリンクルクリームも、ヒロインメイクのマスカラも、発売から一定期間が経って認知度も高く安定した商品といえます。しかし、両社ともより多くの人に使ってもらえるように努力する姿勢は欠かせないとします。 

資生堂ジャパンの家谷氏は、「しわケアが化粧品でできること」をまだ知らない層がいると話し、マーケットリーダーとして今後も「化粧品でしわ対策」という概念をさまざまな形で訴えていくとします。一方、安田氏もヒロインメイクでもミニサイズを出すなど、商品を体験し機能を実感してもらう機会を増やす工夫をしていきたいとして、広告やSNSなどアプローチを変えながら、商品のプレゼンスを高めるチャレンジを続けると語りました。

さらに2022年に注力していきたいことを問われた家谷氏は、「変化する部分と変化しない部分をあわせて考えていくことが大事だと思う」と話します。つまり、コロナの影響や生活習慣の変化など移り変わるビジネス環境に対応し、顧客が「この商品が欲しい」と思うような設定や文脈をつくっていくと同時に、たとえば顧客の本質的なニーズなど、変わらない普遍的な部分に応える価値の提供について、しっかり考え抜くことが重要だというのです。「どうすれば買ってくれるのか、基本的なことではあるが、このあたりをきちんと意識していきたい」と家谷氏は答えました。

これを受け安田氏も、変わらない本質を押さえつつ、次のニーズをいち早くキャッチして即応する必要性があると同意します。実際、緊急事態宣言解除後は、マスクの着け外しをする場面が増えて、メイク需要に変化が出始めていることを感じているとし、ブランドとして力を入れていく部分を見定めたうえで、「顧客との接点であるIF(インターフェイス)のところと掛け合わせた商品づくりが肝となる」と2022年に向けた思いを明かしました。

>>本記事の該当ウェビナー(アーカイブ動画)はこちら

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