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KATE ブランドストーリー×デジタルで、顧客に「変わる体験」をもたらすUX価値創造

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顔タイプ診断にとどまらず、新たな発見のあるメイクアップ提案に一歩踏み込んだLINE公式アカウント「KATE MAKEUP LAB.」や、診断結果をもとにその場でカスタマイズした商品購入ができる自動販売機型什器「KATE iCON BOX」など、独自のデジタルソリューションでパーソナライズされた体験価値を創造するKATE。ユーザーからの反響も大きいこれらの施策をいかにして実現したのか、株式会社カネボウ化粧品 KATE国内マーケティング担当 松本典子氏と、同社 KATE PRの若井麻衣氏にうかがいました。

「ユーザーがなりたい姿に変われる」を徹底したデジタル施策

カネボウ化粧品のメイクアップブランドKATEでは、2021年2月にLINE公式アカウント内サービス「KATE MAKEUP LAB.を開設しました。ユーザーがスマートフォンで自身の顔を読み取るだけで、AI(Perfect Corp.の「AI フェイス アトリビュート」を採用)が顔の特徴点を測り、黄金三角比率や5眼比率などのパーツ比率を測定。その結果をもとにKATE独自のロジックで解析し、顔タイプとして分類表示しながら各自の魅力を引き出すパーソナルメイクメソッドを提案する仕組みです。開設から約1カ月で友だち登録者数30万人を突破、2021年12月現在で、友だち登録者数約52万人、診断コンテンツ体験人数約29万人の人気コンテンツとなっています。

image5KATE MAKEUP LAB. 顔タイプ診断結果

さらに同年9月には、自動販売機型の店頭デジタル什器として「KATE iCON BOX」をリリース。AI技術とKATE独自ロジックを掛け合わせた顔印象分析を行い、単色アイシャドウ「ザ アイカラー」全26色のなかから、ユーザー一人ひとりに似合うアイカラー4色を組み合わせた「KATEオリジナルアイシャドウパレット」とメイク法を提案。自分の好みでカラーをカスタマイズして選ぶことも可能で、購入もできます。

image4KATE iCON BOX

KATEはこれら独自のデジタルソリューションを「ユーザーとの直接接点の場を設けることで、ユーザーを最も理解し、圧倒的な体験(UX)を提供」するためのものと位置付けています。その根底にあるのは「自分に似合うだけではなく、なりたい姿に変われる体験」です。一連のデジタル施策を協働したPerfect Corp.(以下パーフェクト)主催のウェビナーに登壇した際に、KATE国内マーケティング担当 松本典子氏は以下のように語っています。

image7株式会社カネボウ化粧品 KATE国内マーケティング担当 松本典子氏

「ライブコマースなど生活者のデジタル化が進むなかで、これまでの商品中心のビジネスモデルが通用しなくなったことを感じていた。しかし、ブランドとしてのDX視点でのビジョンや戦略がなく、ユーザーとつながれる関係に至っていないという課題があった」。松本氏はその解決を目指し、「メイクを通してユーザーがなりたい姿に変われる体験をもたらすことで、ユーザーとの出会いからロイヤル化まで連続した接点を創出し、LTVを最大化すること」をブランドの方向性として定めたと、デジタルソリューション開発の背景を説明します。

だからといって、KATE MAKEUP LAB.のプロジェクトチームには、ビジネス×顧客×デジタルと全方位に通じたプロフェッショナルがいたわけではないと話すのは、KATE PRの若井麻衣氏です。

「もともとKATEの商品開発を担当していたメンバーが中心となり、どういう体験ができれば、ユーザーにとって嬉しいかとの発想からスタートした」と若井氏は振り返り、メイクの楽しさを感じてもらえる、ユーザーのことを考えた商品づくりをしてきたメンバーが核となって率いたプロジェクトであるとします。「(ユーザーを喜ばせる)こういうことがやりたいという明確なビジョンを持つチームに、パーフェクトをはじめとする外部企業のデジタルの専門家の協力が加わってワンチームとなれた。その掛け合わせが成功した」として、思いのこもった商品設計をどのような技術やツールで現実化するかという思考にもとづいた、デジタルに引っ張られるのではなく、ものづくりの一環としてのデジタル施策であることを若井氏は示しました。

コンバージョンより「ユーザーの変化」を重要視

KATEではオンラインでのコンバージョン率などの定量定性分析をしつつも、より重視しているのは、「このサービスを利用してどう変わったか」を問う、定期的に実施する約1万5,000人を対象にしたユーザーアンケートだといいます。そのなかで、「なりたい自分になれる楽しさや高揚感が得られた」と回答した人は92.2%、「新しく、または継続的に買いたいと思った」人は、93.4%にのぼるといい、KATE MAKEUP LAB.によってユーザーを楽しませたいという基本メッセージが、ユーザーにしっかり受けとめられていることがうかがえます。

KATE MAKEUP LAB.は、顔の特徴を示して顔タイプを診断するだけではなく、自分では短所と思っていたパーツが長所に変わる、あるいは、気がついていなかったパーツの魅力を新たに発見する体験ができるのが最大の特徴です。「自身の顔の上でおすすめのメイクをバーチャルに試すことで、なりたい顔になるための具体的なアイディアや自分に合った商品情報が得られる」と若井氏は説明し、「似合う」ではなく、「変われる」メイクメソッドをワンストップでデジタル体験できる点が、ほかの診断サービスとの一番の違いだと強調します。

image6株式会社カネボウ化粧品 KATE PR 若井麻衣氏

KATE iCON BOXの開発にあたっても、最初に考えたのは「店頭というリアルの場でも、ワクワクしながら商品を選べる場所をつくりたい」ということだったと松本氏は語リます。その結果、友人同士やカップルで訪れて、一緒にワイワイおしゃべりしながら顔分析を受け、お勧めのメイク法やレコメンドされた4色について、みんなで吟味しあうなど、実店舗での活発なコミュニケーションが生まれるツールになったといいます。ここでも、ユーザーにどういう体験をしてもらいたいかの目的を定め、それを実現するデジタルツールを製作するというKATEの姿勢は一貫しているのです。

KATE iCON BOXは現在、東京・原宿にある@cosmeの旗艦店「@cosme TOKYO」に2022年1月12日から2月8日までの期間限定で設置されており、体験が可能です。

リップモンスターのヒットの背景にも同じ哲学

顧客の成功体験というぶれない方針でデジタル施策ができている理由には、もう1つ、「no more rules.(ノーモアルールズ)」というKATEのブランドステートメントの存在があります。

2021年2月、KATEは「エヴァンゲリオン」とコラボし、パッケージに綾波レイが描かれた、2色セットのクリームルージュ「ケイト レッドヌードルージュ(EV)」をWeb限定・数量限定で発売しました。イメージキャラクターに綾波レイを選んだのは、海外での認知促進を意識した側面もあるが、何より、赤い下地にベージュを重ねづけすることで色味を自分でコントロールできる「自分の色は自分で決める」という商品メッセージと、ノーモアルールズというKATEの根幹をなす思想に、次第に自我が芽生えてゆく綾波レイの心の成長がぴったり合致したからだと若井氏は話します。

image2出典:@cosmeブログ

また、2021年のコロナ禍の逆風にありながら、4カ月で累計出荷数100万本を記録し“怪物的”ともいわれるヒットとなった「リップモンスター」においては、「マスクがニューノーマルの日常でも、こういう時だからメイクをして気分を上げたい」「マスクを外したとき、たとえ一瞬でもキレイに見せたい」など、「どんな時でもメイクを楽しみたい」というユーザーが心に秘めている思いや呟きを代弁し、ノーモアルールズを掲げるKATEにこそできることとして開発を行なったといいます。

リップモンスターは「欲望の塊」「ラスボス」といったキャッチ―な色名をはじめとする、思わずSNSで共有したくなる情報設計に加え、Instagramや@cosme、LIPS、Twitterなどのプラットフォームを駆使し、SNS上に特化して、事前にユーザーにとって「気になるワード」を数多く発信する“種まき”をしました。さらに発売後はKATE MAKEUP LAB.での色提案やデジタルテスターによるバーチャルトライ、TikTokでエフェクト機能を使った体験動画を公開するなど、「ワクワクするデジタル体験」を提供するプロモーション施策をとりました。こうした点から、表面的にはSNSでバズを起こした現象に目がいきがちながら、実は商品のつくり手側のブランド愛と確たるビジョン、そして、表にはなかなか出てこないユーザーの潜在的な要望を丁寧にすくいとる力が、プロジェクトの成功を支えているのです。

image1出典:KATE公式サイト

デジタル施策を企画するにあたっては「商品そのものの良さとデジタル起点での楽しさがあるか、そして、『それはKATEらしいか?』と常に自分たちに問いかけている」と松本氏。つまり、KATEはこういうブランドであるとしっかり理解したうえで、どうすればそれを具現化できるかを考えて、クリエイティブに落とし込んでいくのです。松本氏は「デジタル化を目的にするのではなく、ブランドとしてやりたいことや世界観がブレないことが一番大切だと思う」と話します。

2022年度は、KATE MAKEUP LAB.をもっと多くの人に試してもらえるよう、認知を一層拡大していくのが目標だといいます。リリース以降、スマートフォンカメラを店頭のテスターにかざすとメイクの仕上がり画像が動き出す「TESTER PLAY」機能追加や、アイブロウ診断機能を加えるなどの拡充を進めており、今後は、同サービスが目指す「圧倒的価値提案」のために、デイリーに使える診断コンテンツをさらに増やしたいとします。それにより、KATEブランドに共感してくれる人々とのより深い関係を築き、LTVやデジタルコンテンツ内での回遊率を上げていくことを目指します。

Top image & photo提供: KATE

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