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~競合ではなく、協働。「遺伝子レベルで自分を知る」未来へ~「RNA共創コンソーシアム」が「CEATEC 2025」出展レポート

~競合ではなく、協働。「遺伝子レベルで自分を知る」未来へ~「RNA共創コンソーシアム」が「CEATEC 2025」出展レポート サムネイル画像

「RNA共創コンソーシアム」*1は、「RNA-Tech Drivien Society ~RNAテックで変わる暮らしの8の新基準~」をテーマに、2025年10月14日(火)~17日(金)に幕張メッセで開催される世界中の最先端テクノロジーが集まる展示会「CEATEC 2025」に出展しました。
理事企業である花王株式会社(社長・長谷部佳宏)、株式会社アイスタイル(社長・遠藤宗)、共創パートナーのキリンホールディングス株式会社(社長・南方健志)が、RNAによって今の自分の肌や身体の状態を知り、さまざまな場面で利活用する現在の取り組みと未来の姿を提案。美容と健康のあり方に、いま変化の波が起きようとしています。その中心にあるのが、「皮脂RNAモニタリング技術」という、世界初のテクノロジーです。
今回は展示会当日のブースやカンファレンスの様子をレポートします。
*1「RNA共創コンソーシアム」公式サイト:https://www.rna-co-creation.jp/
2024年3月11日 RNA共創コンソーシアムニュースリリース:花王とアイスタイルが『RNA共創コンソーシアム』を設立

「CEATEC 2025」開催概要

名称:CEATEC 2025
テーマ:Innovation for All
会期:2025年10月14日(火)~17日(金)10:00~17:00
会場:幕張メッセ(千葉市美浜区中瀬2-1)
出展ブース:RNA共創コンソーシアム(ホール4、小間番号4H213)
主催:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
公式サイト:https://www.ceatec.com/ja/

出展のねらい

RNA共創コンソーシアム」は、2024年、花王と日本最大の美容プラットフォーム「@cosme」を運営するアイスタイルにより、花王の「皮脂RNAモニタリング(あぶらとりフィルムで顔の皮脂を採取し、RNAを抽出して網羅的に解析する)」技術*2を基盤として設立されました。その背景には、モノや情報があふれる現代に、生活者が自分に合うものを的確に選ぶことが難しいという課題があります。そこで、各業界をリードする企業がRNAをモノサシとして利用することで、新たな美容・健康価値を創出することを目的として連携。生活者に役立つサービスや製品のための基盤づくり、検証を行っています。

今回のCEATEC出展『ビューティ&ヘルスケアを変革する、産業を越えた共創 ―RNAで繋がる花王・アイスタイル・キリンによる未来創出―』は、3社によるRNA関連の現在の取り組みを提示するとともに、RNAが暮らしにとってどのような価値をもたらすか、将来に向けた展望を示しています。これにより、RNAテックの認知を高め、社会的価値と実装可能性を広く訴求し、新たな共創、活動の拡大をめざします。

*2 2019年6月4日 花王ニュースリリース:皮脂中に人のRNAが存在することを発見 独自の解析技術「RNA Monitoring(RNAモニタリング)」を開発

展示ブースの内容

「遺伝子レベルで自分を知り、一人ひとり輝く社会へ。」をブースの大きなパネルに掲げてブースを展開。

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■RNA共創コンソーシアム
パネル展示:「RNAテックで変わる8つの暮らし」
近未来の社会においてRNAテクノロジーがどのように暮らしを変えていくのかを、生活者視点で描いています。「美容」だけでなく、例えば「健康」「旅行」「育児」など、より広い文脈で人の生き方を支える技術へと広がっていく可能性を感じることができます。

画像ブース内に展示された「RNAテックで変わる暮らしの8の新基準」

・RNAテック体験:「肌遺伝子モード」を応用したSKIN・HOLISTIC・HEALTH解析
スマートフォンで素顔を撮影するだけで、皮脂RNA発現情報に基づく肌タイプを推定*3(「肌遺伝子モード」判定)し、さまざまな観点から今の自分の肌や身体の状態をわかりやすく可視化。

*3 2025年5月21日 花王ニュースリリース:皮脂RNA発現情報に基づく肌タイプを、顔画像から推定するモデルを構築

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2日間のセッションで語られた、“共創”のこれから

今回、RNA共創コンソーシアムでは、15日・16日の2日間にわたりセッションを実施。どちらの回も盛況で、多くの来場者が耳を傾けていました。

<カンファレンス概要>
テーマ:RNAテックが切り拓く新しい暮らしの基準 ~肌・免疫・ライフスタイルの未来~
日 時:2025年10月15日(水)14:30~15:30

登壇者:
・花王株式会社 スキンケア研究所グループリーダー 菊池 祥
・株式会社アイスタイル 上級執行役員 CSO 兼 経営戦略室室長 濱田 健作 
・キリンホールディングス株式会社 ヘルスサイエンス事業本部 ヘルスサイエンス研究所 主査 牛田 悠介

1日目:花王・キリン・アイスタイルの3社が登壇

15日は、コンソーシアムという形で企業・業界を横断した取り組みを進めることになった経緯や、連携によって期待されるシナジー効果について語られました。新たに参画したキリンによるヘルスサイエンス領域での可能性など、RNAを活用して、ヘルスケア・ライフケアといった「セルフケア」の体験を大きく変えていくことへの展望が期待されています。
「共創」を目指すこの仕組みを活用し、美容領域を超えてグローバル展開も見据えています。技術を独占するのではなく、仲間を増やし、強みを活かしあっていくことで、皮脂RNAモニタリング技術を活用した未来を目指していく一貫した姿勢が伝わる内容となりました。

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2日目セッション:「お肌のケアどき診断」について

花王の中田氏・菊池氏、アイスタイル大久保が登壇。ここでは@cosmeアプリ「お肌のケアどき診断」の最新成果と今後のロードマップについてご紹介。より実践的な視点から、RNAテックの社会実装と共創の意義について展開。
皮脂RNAモニタリング技術という世界初の技術をどう活かすか。「お肌のケアどき診断」を例に、「スキンケア選びの確かさをどう高めるか」「情報をどうわかりやすく届けるか」といった課題まで、幅広く語られました。

「この技術を自社のためではなく、化粧品市場全体のために使いたい。悩める生活者や化粧品迷子を救う仕組みにしていきたいんです。」という言葉は、特に印象的です。

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競合ではなく、協働へ。その先にあるのは、生活者の“確かな選択”を支える未来です。オープンに課題を共有しながら、業界全体・社会全体を見据えた新しい価値づくりに挑む姿勢が強く心に残りました。

広がるRNAテックの可能性

セッションでは、RNAテックが美容だけでなく、健康・医療・街づくり・金融などさまざまな領域に拡張できるポテンシャルがあることにも触れられました。実際に、他業種からも「一緒に何かできないか」という声が寄せられているそうです。

RNAによって「自分の体を知ること」がもっと手軽になれば、誰もが自分に合った方法で、健康や美容と向き合える時代が来るのかもしれません。

「遺伝子レベルで自分を知り、一人ひとり輝く社会へ。」

そのキャッチコピーが、単なる理想ではなく、もうすぐそこにある未来像として感じられる時間でした。

おわりに

今回は、単なる製品発表や技術デモではなく「生活者と企業が未来を共に創るプロジェクト」であるということが非常につたわる展示会でした。

RNA共創コンソーシアムは、テクノロジーを軸にしながらも、最終的に見ているのは“人の幸せ”です

その原点に、「生活者中心の市場の創造」という、アイスタイルが創業以来、大切にしてきた想いの重なりも感じることができました。この取り組みを通じて、美容・健康の未来、そして“自分らしく輝ける社会”がどう変わっていくのか──。

これからの展開に、ぜひご注目ください。


「RNA共創コンソーシアム」について

正式名称:「RNA共創コンソーシアム」(RNA Co-creation Consortium)
公式サイト:https://www.rna-co-creation.jp  
理事企業(運営委員会):
・花王株式会社 https://www.kao.com/jp/ 
・株式会社アイスタイル https://www.istyle.co.jp/
参画企業(幹事):
・株式会社コーセー https://corp.kose.co.jp/
・株式会社マツキヨココカラ&カンパニー https://www.matsukiyococokara.com/
・キリンホールディングス株式会社 https://www.kirinholdings.com/jp/
・パーフェクト株式会社 https://www.perfectcorp.com/ja/ 
・株式会社ヘルスケアシステムズ https://hc-sys.com/ 

>詳細はプレスリリースもご覧ください。

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