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たったひとりの誰かに届けるために|連載:@cosme編集長の「いつもなにかを考えている」Vol.1

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@cosme編集長・篠田による定期連載。ユーザーの姿を通して気づいたこと、そしてちょっと先の未来のことなどについて独自の目線で語ります。Vol.1のテーマは、コロナ禍におけるユーザーとのコミュニケーション。いま、ユーザーとどう向き合うべきか。また、アウトプットの工夫について。

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私の脳みそはとてもおしゃべりゆえ、常に色々なトピックが乱立している。そのなかから、いま気になっていることをテーマにやっていこうと思う。

目下、常に脳みそにあるのは、コロナ禍におけるユーザーの心理。

コロナ禍におけるユーザーアンケートの回答を見てみると…

人と会う機会が減り、メイクをする機会が減った。
時間に余裕ができたので、きちんとスキンケアするようになった。
マスク生活が当然になり、肌荒れが気になる。
体が大事なので、免疫力アップしたい。
誰にも会わないけど、リップを塗ってテンション上げてる。
ぜんぜん美容に興味がなくなった…最低限してればそれでいい…。

見てわかるように人によってぜんぜん異なる。

つまり何が言いたいかというと、ユーザーの心理は、ひとことでは言い表せないほど多様であるということ。これは、コロナ禍だから、ではなく、コロナ以前も当然にそうだったはず。「マーケティング」という名のもとに、大きくカテゴライズして気づかないふりをしていただけのように思う。

そもそも、人間はひとりとして同じ人間はいないし、考え方も違って当然。さらに言うと、24時間ずっと美容のことを考えている人は稀で、仕事のことや学校のこと、家族のこと、友人や恋愛のこと、趣味のことなどなど、様々なことを考えながら生きている。

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そんななか美容をビジネスとしている私たちはこの現実をどう捉えたらいいのだろうか。

あらゆるビジネス / サービスはユーザーとのコミュニケーションが肝だ。ユーザーの心に届かない情報発信は、何もしていないのと同じだから。

さらに、一方通行ではなく双方向な1対1のコミュニケーションを意識したい。どんな情報も「スマホ」を通せば、企業が相手だったとしても、ユーザーからすると1対1のコミュニケーションでしかなくなる。

そのため画面を通してだとしても、たったひとりの誰かに語りかけられているかどうかがスタート地点になる。より多くの人に届けたいなら尚更、たったひとりの誰かに届くようなアウトプットを心がけた方がいい。

では、どういうアウトプットがいいのだろう…。ビジネスとして、ブランドの声としてアウトプットをするとなると頭を抱えてしまうかもしれない。

私のやり方はこうだ。まずは自分の親しい友人と会話をするように、アウトプットをしてみる。あるいは、ひとりごとを言うテイでアウトプットをする。そうすると、きれいごとを言わなくなるし、不安を煽るようなこともしないアウトプットが完成する。利害関係のない相手を想定して、アウトプットをしていくと、自然と1対1のコミュニケーションの精度が上がっていくような気がしている。

もちろん、世の中の情勢を踏まえることは大前提にある。環境問題やジェンダーのこと、なども加味する必要があるのは当然のこと。

これらを踏まえたうえで、嘘のないアウトプットをしていくことで、メッセージは届きやすくなるはずだ。

そして何よりコロナ禍において私たちが失ったのは、リアルなコミュニケーションの機会。オンライン・オフライン問わず、コミュニケーションが必要最低限になったいまこそ、ユーザーと1対1でコミュニケーションをとれる発信者が支持されていく、と感じている。

 

2020年春、緊急事態宣言が出てすぐに「コロナ時代の僕ら」という書籍を読んだ。イタリア人数学者・パオロ・ジョルダーノ氏によって書かれたもので、そのなかで書かれていた問いが、1年近く経ったいまでも忘れられない。

「すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか」

私はコロナ以前とまったく同じ世界は再現したくないと即座に思った。変化を柔軟に受け入れ、より良い方向へ進んでいくしかない。コロナによって変化のスピードが急激になっただけで、常に時代は変化していくのだ。

 

この連載に対するご意見・ご感想などぜひお聞かせください。より良い美容業界のためにみなさまと対話していけたらと思っております。

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写真・文/篠田慶子

 

 

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profile

篠田慶子(しのだ けいこ)

@cosme編集長。東京都生まれ。大学卒業後、ファッション誌でスタイリスト・編集者を経験。その後、フリーペーパーの編集者を経て、株式会社メディアジーンにてcafeglobe編集長、GLITTY編集長を経て、2017年10月に独立し、現職に至る。Pinterestのフォロワー数は26万人を超える。

 

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