2025年6月24日開催のウェビナー「小紅書(RED)徹底活用セミナー:中国市場攻略×最新インバウンドマーケティング 3億人の心を掴む実践的ブランド戦略と成功の秘訣」では、中国の人気SNS 小紅書(RED)の最新状況や、REDを活用したインバウンドマーケティングに必要な要素である「KFS」モデルについて、越境EC・インバウンドマーケティングの事例、KOP(キーオピニオン・プロフェッショナル)の立ち位置で情報発信を行い支持を得ている@cosmeの公式REDアカウントなどについて語られました。ダイジェストでご紹介します。
登壇者:Head of Japan & Korea and Overseas Niche Brands Beauty and Wellness Sector, Commercial Department(小紅書/REDの日本市場責任者)李哲威氏
概要:同プラットフォームの最新状況、訪日中国人にもたらしている影響、広告サービスやその具体的な事例について
第二部:REDにブランド公式アカウントを開設するなら、成功の鍵は「KFSモデル」
登壇者:J2C Business Consulting Co.,Ltd Co-founder & CSO張怡氏、株式会社Over The Border 代表取締役 倉島應介
概要:REDを活用した中国の越境EC・インバウンドマーケティングの攻略や事例について
第三部:@cosmeのRED公式アカウント「cosme 美粧」はフォロワー数19.6万人。インバウンドと越境を統合した独自のマーケティング施策を実施
登壇者:株式会社アイスタイル 越境貿易ユニット 副ユニット長 インバウンドTF TF長/株式会社アイスタイルトレーディング 取締役 坂井亮介、株式会社アイスタイルトレーディング コンテンツ部 五月女真里子
概要:@cosmeの公式REDアカウントおよび中国越境EC、日本の@cosme旗艦店などでみられる相関関係を紹介
RED(小紅書)プラットフォームの現在地

中国発の人気SNS「RED(小紅書)」は、2024年時点で月間アクティブユーザー数が4億人を突破。インスタグラムのようなSNS機能に加え、Googleのような検索性、Amazon的な購買導線、TikTokにも近い動画コンテンツなど、複合的な機能を備えた生活密着型アプリです。
いわゆるKOL(インフルエンサー)ではない一般ユーザーが投稿するUGC(ユーザー生成コンテンツ)がコンテンツの90%を占め、そうした信頼性の高い情報が集まる場となっていることが魅力です。「1年間で1億以上の人が投稿し、3億近くのユーザーが検索機能を使っている」と李氏はその規模感を紹介します。
REDの特徴のひとつは、「見る」「検索する」「購入する」「共有する」というユーザー行動が循環的に発生する点です。「いまや『何か困りことが出てきたらとりあえずREDで検索しよう』という風潮が生まれ、REDを使って活発な情報収集が行われている。中国全体が景気低迷する中、RED内のビューティーカテゴリーは2024年前年比53%成長を記録し、他のプラットフォームとは一線を画している」と李氏はいいます。

このREDのなかで、日本は最も人気の観光地として、特に観光とショッピング関連の検索や投稿がコロナ禍後に急増しています。@cosme関連の検索数も2024年は前年比155%増、さらに2025年1〜5月の累計検索数は2024年全体をすでに超えているという勢いです。

REDは広告サービスも展開しており、この広告活用においては、「一方的に広告を出すだけではなく、ユーザーの生活文脈に沿ったコンテンツづくりがカギ」と李氏はいいます。たとえば、あるスキンケアブランドの美白ボディクリームでは、運動する女性層をターゲットに、UV対策や日焼け後の肌修復を訴求するコンテンツを展開。この施策は「KFS(KOL、FEEDS、SEARCHの頭文字)モデル」を採用しており、KOL投稿、フィード広告、そして検索誘導の組み合わせによって高いCTRおよびCVRを実現しました。
そのほか、日系大手ブランドによる現地実店舗やDM、グループチャットへの導線を持たせた投稿で中国現地ユーザーとのエンゲージメントを強化した事例や、カナダ高級アパレル専門店によるカナダ現地在住の中国人ユーザーをターゲットにして高いCTRを獲得したキャンペーン事例など、さまざまな好事例が紹介されました。
こうした事例からは、REDが単なる広告媒体ではなく、検索、購買、共有、実店舗来店などをつなぐ包括的な消費体験を構築する場として、中国市場における有効なタッチポイントとなっていることが伺えます。
REDにブランド公式アカウントを開設するなら、成功の鍵は「KFSモデル」
次に、中国市場においてブランド戦略とマーケティングの支援を展開するJ2Cの張氏は、REDに公式アカウントを開設し、中華圏でのマーケティングをはじめていきたいブランド向けに解説を行いました。張氏は楽天、リクルート、アイスタイルチャイナでの経験を経て、日本企業の中国展開を多面的にサポートするJ2Cを創業しています。
張氏はREDが、多くのブランドがターゲットとする「大都市に住み、一定の消費量と感度をもつ20〜40代女性」が集まっているプラットフォームであると紹介。また「中国の若年層は、計画的な購買を好む傾向があり、その際にREDで商品情報を検索するのが一般的になっている」とし、「『どの商品が自分に合うか』を知りたいというニーズが強いため、そのニーズを満たす適切な情報を適切な形で届けることが大事」とし、そのためにはRED公式アカウント管理ツール等のデータ分析ツールを活用し、顧客インサイトを磨いていくことが必要だといいます。

また、情報は “活人感”、つまり、KOLがテンプレート通りに棒読みで商品を紹介するのではなく、使ってよかったものや新しく買ったものを仲の良い友達に知らせるような、人間味のあるリアルな感じを大事に発信するべきだといいます。そして、それを広くリーチさせる仕組みも必要だとし、おすすめの成功モデルとして、李氏の事例紹介でも出てきたKFSモデルを改めて紹介しました。
REDにおいて投稿は通常48時間をピークに露出が減りますが、KFSモデルでKOLによる信頼感のある情報発信に、広告やリスティングを組み合わせることで、投稿48時間以降も継続的に露出され、バズの可能性が広がるというのです。バズ投稿はRED内で長期的に露出され、ブランドにとって重要な資産にもなります。そして、この仕組みで「ブランドのヒット商品をREDでプッシュしていくこと」を張氏は提案します。

特にインバウンド向けマーケティングでは、「日本に来る前にREDで情報収集している人」と「来日中の旅行者」の両者を的確にターゲティングし、旅行する地域や関心事に応じた広告配信を行うことで、旅行中の購買体験を帰国後に中国現地での購買へと波及させ、好循環を生むことが可能だといいます。
張氏は「KOL任せではなく、KFSモデルを軸にした統合的な戦略が、REDを通じて中華圏市場で成果を出すうえで重要」と強調しました。また、@cosmeの公式REDアカウントがKOP(キー・オピニオン・プロフェッショナル、専門家からの発信)としての立ち位置で特に信頼性の高い情報を発信し、REDユーザーから支持を得ているとし、新規参入のブランドがREDユーザーと初期の信頼構築をおこなうために、同アカウントを活用するのも有効な手ではないかと提言しました。
@cosmeのRED公式アカウント「cosme 美粧」はフォロワー数19.6万人。インバウンドと越境を統合した独自のマーケティング施策を実施
アイスタイルは、中国においてはTmallやDouyinなど主要プラットフォームにおいて越境EC事業を展開するとともに、REDを活用したインバウンド マーケティングにも近年注力しています。「近年の傾向として、@cosmeの日本国内の3つの旗艦店 @cosme TOKYO・OSAKA・NAGOYAをはじめとする実店舗での体験や購入品がREDで紹介され、それが中国の越境ECでの売上に波及する例が増えており、SNSが国境を越えて消費行動をつなぐ時代であることを強く実感している」と坂井はいいます。
アイスタイルグループのグローバルボーダレスマーケティング
訪日観光客数はコロナ前を超える水準で推移しており、2025年5月単月でも約400万人のインバウンド客が日本を訪れました。いまや年間で日本の人口の半分がインバウンド客として来日するような状況の中、@cosme実店舗の免税売上も、主に中国・台湾からの旅行客によって大きく伸びています。
【関連記事】インバウンド客の店舗体験が鍵。アイスタイルが提唱するグローバルボーダレスマーケティングとは
こうしたなか、@cosmeのRED公式アカウント「cosme 美粧」も成長を続けており、2025年7月現在、約19万6,000人のフォロワーを抱えています。@cosmeが持つランキングや実店舗といったIP資産を活用し、ベストコスメ紹介や店舗・商品紹介など、公正で信頼性の高い、商品購入の判断材料になる情報を、専門家からの発信、つまりKOPとしてREDユーザーに提供しています。言い換えれば、購入や支持に繋がる確かな判断材料をKOLとは異なる文脈でユーザーに提供しています。


坂井は「近年インバウンドマーケティングと越境あるいはグローバルマーケティングは重複してきており、分けて考えることはできない」と言います。REDで情報発信する場合、日本に旅行予定の人を含め、中華圏在住ユーザー、また在日中国人のユーザーがその投稿を見ることになる。それを念頭に、ブランディングとROI(投資利益率)向上の両立をしていくべきだというのです。
坂井は具体的なブランド支援策として、旗艦店 @cosme TOKYO・OSAKA・NAGOYAにおける外国人旅行客をターゲットにしたポップアップや、@cosmeと強いリレーションシップのある在日中国人KOLによるPR施策等を挙げます。

「ポップアップイベントに実際に来てもらうだけではなく、その様子をREDで発信していくことも有益なマーケティング施策となるはずだ。RED公式代理店としての強みを活かし、在日KOLとのライブ配信や@cosme店内での撮影、独自のKFSモデルとデータに基づくPDCA運用など、立体的なプロモーション支援が可能」(坂井)とし、こうした旗艦店をメディアと位置づけたコンテンツ発信に今後力を入れていく方針です。
